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ニュートリノと戸塚洋二さん

戸塚さんは屈託なく笑った

「戸塚さんは、なぜこんな儲からない研究をしているのですか?」
「誰も研究しない。だから、利益と繋がらないから選んだのです」
「ノーベル賞に一番近い人だと言われているようですが・・・」
「そんなことはないでしょう。恩師がもらわないで、私ということは絶対にないです」と屈託なく笑った・・・
「今日は、カミオカンデの話をしますが、多分、全くわからないでしょう」
「でも、一生懸命に34枚のシートを作ってきました・・・」と笑った。

ニュートリノを研究しても、何も儲からないですよ

・・・ニュートリノは、素粒子物理学における基本粒子の一つですから、生活に役立つこともないし、これを使って製品をつくることもできないんですよ。
役立たずだから研究する価値があるんです。(笑い)

戸塚さんの話を、母校の後輩たちはキョトンとして聴いている。
静岡県立富士高校の体育館である。富士山の麓。のどかである・・・。
「わかる?」「わからない!」という顔ばかりで、友人の反応を確かめながら、しかし、静かに興味深そうに聞いている。

・・・ニュートリノは電荷を持たず、非常にわずかな質量を持ち、ほとんどが宇宙空間を通過する際に光速に近い速さで移動します。ニュートリノは通常、電子ニュートリノ、ミューオンニュートリノ、タウニュートリノの三種類に分類されます。

「はあ?」・・・という顔ばかりである。
しかし、ざわつかない・・・シーンとしてくらいついていく。

この若者たちは、やがて東大・京大・国立医学部などに進学し
大学教授・教育関係・企業人・マスコミ人になり華々しく活躍している。

ノーベル賞と戸塚さん


・・・「ニュートリノニュートリノ」というフレーズは、「ニュートリノと反ニュートリノの相互作用」からなり、素粒子物理学や宇宙物理学などのさまざまな分野で重要な役割を果たしています。

戸塚洋二さんは、2002年のノーベル物理学賞受賞者・小柴昌敏さんの愛弟子の一人だった。小柴さんは「あと十八か月、君が長生きしていれば、国民みんなが喜んだでしょう」と弔辞で述べた、と文芸春秋が書いている。
2015年に弟弟子の梶田隆章さんが、ノーベル物理学賞を受賞した。

後日、梶田さんが国際学会で、「これがニュートリノ振動の証拠です」と話すと、各 国から集まった研究者からの大きな拍手が止まらなかったそうですが、この時の高校生には理解できない。

カミオカンデの壮大な実験空間

・・・宇宙は、暗黒物質暗黒エネルギーで96%占められています。
ニュートリノが沢山「私の肉体」を通り抜けています。
宇宙はニュートリノで満ちています。ニュートリノは、原子と原子が反応した時に発生する「みえない粒子」で、スイ スの物理学者パウリが存在を予言し、イタリア人のフェルミが命名した「物質」で す。
これをアメリカの実験家のライネスとカウンが発見したのです。
理論上「重さがない」と思われていましたが、スーパーカミオカンデで 「ニュートリノ振動」を確認し、「質量がゼロでないことを世界で初めて示しました」。

カミオカンデ(Kamioka Nucleon Decay Experiment)は、日本の岐阜県に位置する神岡鉱山で行われている素粒子物理学の実験施設です。1980年代初頭から稼働しています。
カミオカンデの主な目的は、素粒子物理学、特に「超新星ニュートリノ」の研究が中心です。

超新星爆発の際に放出されるニュートリノを、カミオカンデでは、他の素粒子と相互作用する様子を観測し、性質・挙動を調査しているのです。
また、原子核の崩壊を観測することで、素粒子の理論的なモデルの検証も行っているといいますが、私の理解が追い付きません。(苦笑)

宇宙船地球号はどこに行く

 私は、宇宙船地球号 「Only one Earth 」がどこに行くのか心配しています。
ニュートリノ・ヒッグス粒子に関心があると同じように、
「生活者の私」の関心は、 日々の暮らしにあるからです。

1972 年のローマクラブの『成長の限界』から、 50 年以上が経過しました。
同じ年 に、国連は「人間環境宣言」を<Only One Earth=かけがえのない地球>というキャ ッチフレーズで採択しました。

あれから50 年です。ようやく SDGs(持続可能な開発目標)に繋がりました。 環境問題は、私たちに突き付けられた厳しいテーマです。

 戸塚洋二さんのように、理学の研究者が不足しているという声を聞きます。
効果効率・費用対効果を求める風潮が強く、基礎研究にエネルギーを費やす人財が枯渇しているという嘆きです。
異常気象・地球温暖化の危機が叫ばれる中にあって、今後の方向が心配です

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