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自分が一番の敵

◆何も出来ない

一社目をすぐ辞めて、二社目も休職した私に、母は「何ならできるの」と言った。
私もそう思う。
無能だ。社会不適合者。死にたい。もう生きていたくない。


しばらく泣くか寝るかしか出来ない日々が続いた。
幸いにも犬がいたので、犬を抱っこして匂いを嗅いで、お腹に乗せて過ごしていた。そんな環境があって幸せだね。

この時には出来なくなっていることが多いことに気がついた。

ハキハキ話すのが得意だったのに、とても滑舌が悪くなっていてうまく話すことができない。
集中できない。映画なんてもってのほか、ドラマもアニメも1話さえ見続けられない。本を買ってみても開くことが出来ない。読んだことのある漫画をパラパラとしか読めない。
雑音がしんどくてテレビをつけていられない。


休職する前からだが、シンデレラ体重レベルに痩せていた。勝手に痩せていくので、怖くてケーキを食べまくっていたのに。

そういえば心臓も痛いと思って、ホルター心電図をつけたこともあったな。何も見つからなくて、結局メンタルか、と落ち込んだ。

会社の人に会ってはいけない。実家にいなさい。が原則ルール。

病んでいる母と病んでいる私なので、お互いに理解が深い。でも引っ張り合って沈んでいくのだ。

病気

初めて行った日から、2週間に一回通院して、カウンセリングも受けるようになった。
認知行動療法を始めた。
自分のやっていた仕事、送っていた生活を書き出した。
何が嫌だったのか、しんどいと思っていたのかをちゃんと見つめた。
規則正しく寝起きしなさいと言われた。

あまり当時の記憶はないが、私はインスタストーリーポエマーだったので見返してみると、異常なくらい自分にがんばれがんばれと言っていた。

こうあるべきだ、というべき論や、完璧主義がとても強い私は、なかなか自分のことを認められない。
できないことから逃げてはいけない、絶対に戦い抜く、という強い意志があり、手を動かし続けられることは私のとてもいいところだとも思う。
だがそれが自分を追い込む。


私は周りにうつだとバレていなかった。
逆ににこにこと優しく明るい人と思われていた。そう見せたかったし、人に相談ができないタイプだったから。人に迷惑をかけたくない、私に時間を割いてほしくない。
弱く見られたくないとかではない。心配をかけたくないの。

根底にあるのはなんだろう。
運動以外出来て当たり前、出来ないといけない、努力すればなんとかなることはなんとかしないといけない。
できないと怒られる。こわい。
ルール、そういうもの、の強制力がつよい。
やりたくないことをやらないという選択肢がない。
ミスすることへの恐怖心が強い。何かあると、血の気が引いて冷や汗がびっしょりになる。異常だと思う。大したことじゃなくても、世界の終わりを感じるくらい。
一つだめだと全部だめだと思う。
自信がないから、数字や目に見えるもので事実が欲しい。



サッカー選手は競泳が強いか?数学者は小説が書けるか?
得意分野は人それぞれあるんだよ。
本当になにもできないの?できなかったら全部価値がないの?

親しい友達が今同じ状況だったらなんて言いますか?と心理士のお姉さんに言われていた。

何も考えずにとりあえず休んで欲しい、無理しないで欲しいって言うだろう。険しい山は必ず登らなければいけないわけではない。回り道だってしていいよ。あなたはあなたでいるだけで素晴らしいよ、と心から友達には言えるのに。自分にも言ってあげようよ。


自分のことを1番否定しているのは私。
鬱になってしまったこと、休職してしまったことを一番恥じているのは私。
あのとき病院に行ったことを後悔しているのは私。


何度も何度も何度も何度も書き出して自分に言い聞かせて、考え方を矯正した。
考えすぎるときには一回立ち止まって、方向を確認しないといけない自分の思考の癖を理解した。
完璧主義、べき論が顔を出したら、無理してそうなことを自覚する。


どうなったら危険信号か、わかる。
余暇を寝て過ごすようになったら、
漫画を楽しめなくなったら、
テレビが見れなくなったら、
休まないといけない合図だ。
涙を堪えるようになったらもうかなり危ない。

回り道をすることは、悪いことではない。危険を回避するのは、当たり前のことなんだから。
逃げちゃだめだ、を発揮する場面は選択しないと。
できないことだけじゃなく、できたことにも目を向ける。自分を褒める。

そうして、9ヶ月休職し、あと一月休んだら退職、というタイミングで職場復帰した。
無理しすぎないコントロールをできるようになるために。

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