「聞く」ができなくなった私が、「聴く」を仕事にする最高のカウンセラーになるまでの物語。

上 田:「そこで鈴木がさ〜‥」
生徒 A:「ギャハハハハッ!!まじで上田の話おもしれ〜」
生徒 B:「ほんと、すべらない話出れるよ!!」

北海道のとある高校の昼休み。
襟足の外ハネ具合と前髪のストレート具合を気にしながら、俗にいう「ギャル男」風のヘアスタイルの男子校生は、クラスメイトの注目と笑いをかっさらっていた。


生徒A:「てかさ、上田聞いて聞いて!この前さ〜‥」
上   田:「ふ〜ん」
生徒B:「いや、上田人の話は聞かなさすぎ!返事に心なさすぎでしょ!」


上   田:「‥‥そう?」


この頃の私は、「話し上手」「芸人になれる!」と周囲からもてはやされる一方で、人の話を全く「聞けない」ただのギャル男だった。

これは、この後起こる事件をきっかけに「聞く」ができなくなった私が、「聴く」を仕事にする最高のカウンセラーになるまでの物語。



補欠のプライド

小学生の頃から、自分には何も取り柄がないと思っていた。

勉強もできない、スポーツもできない、ゲームも上手くない、モテもしない、特に秀でた個性もない私は、小学生の頃から「自分は何者か」を考える変わった子だった。友人からも「上田って何もかもが”普通”だよね」と言われたことがある。こんなに”普通”という言葉で傷ついたことはない。何も特徴ない自分はまるで世界の空気となり、誰にも見つけてもらえていない気がしていた。

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