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群ようこの世界

とおい昔、月間カドカワに無印旋風が吹き荒れた。
無印といっても、ショップじゃないよ。
群ようこの無印シリーズだ。
『無印良女(りょうひん)』を皮切りに、月間カドカワに無印シリーズのオムニバス小説が続いた。当時の夢酔は、野生時代よりもナチュラルなカドカワ愛読者だった。ミュージシャンのエッセイも多かったせいもある。そのなかで、群ようこは異彩を放っていた。
いまでも好きな作家のひとりである。

『トラちゃん』のビビットな切り口に衝撃を受けた。
うちではペットを飼っていないが、メダカだけは当時から飼育している。何やら人間以外の愛着を教えていただいた気が(勝手に)している。

そして、ナチュラルライフへの憧れを『かもめ食堂』から触発された。映画は何度繰り返したか分からない。おかげでガッチャマンの歌が脳内に蘇る。

日本大学藝術学部卒業ということで、世間の話題になっている林真理子の後輩にあたるらしい。
近頃は365日和服の人というイメージですが、ブレない群ようこの世界は、どこか憧れる。小説家というよりも、秀逸なエッセイストのカラーが強い。それでいて毒のない、いやらしくない気品も自然体だ。
ようは、自分にないものほど、人は憧れるものらしいと識る。