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「千人同心がゆく 北のまほろば」連載開始

2024年4月26日(金)、先週完結した「千人同心がゆく」の特別編が連載開始となった。

日本から目と鼻の先にある国後島。
この未開の原野である蝦夷地に立った千人同心も、きっと同じ風景を目にしたことだろう。
開拓地は勇払(現在の苫小牧市)そして釧路に近い白糠が主な場所。しかしオホーツク側まで公的な役目で赴いていることが記録されている。
このときの開拓は、江戸基準で考えられた甘い認識故、不幸と甚大な被害が重なった。それでも北の大地に取り憑かれた男たちは、人生のすべてを開拓に捧げていく。
挫折。
その苦い言葉から30年の後に挑むのは七重村(函館市)、幕末の重い空気がこの希望の大地を踏み躙っていく。箱館戦争は幕府残党の生き残りを賭けた戊辰最後の抵抗だった。この幕臣が、開拓者を攻めてくるという悲劇。
千人同心が蝦夷地で負った苦難の多くを、江戸の者も、多摩の者も、八王子の者でさえ知らぬという声が多い。
こんな悲しいことが、あってたまるか。
本作品は、元々は「千人同心がゆく」の一篇にすぎなかった。しかし、その重さやスケールの大きさから、単体として扱うべきだと理解し、大幅に描き直した。

あらたな千人同心伝説を描くことが出来る御縁と導きに、深く感謝の意を申し上げます。

本編に取り組んだ動機のひとつであったウクライナ戦争
終息の兆しもまだ見えず、あらためてロシアという国家と人というものを見直すきっかけとなった事も、申し添える処である。