ナカモトサトシはネット上の二重使用問題の解決策が見つかったの
で、ビットコインを開発しようと論文を発表したことは前に述べました。

　二重支払い問題とは、取引の代金を支払う時、支払ったという情報が複数存在して、どの情報が正しいかわからなくなってしまうという問題です。この問題を抱えたままでは、支払い機能は使い物にはなりません。

　解決策は、「最初の支払いだけを有効にする」、つまり「支払い済みだから2回目の支払いは無効とする」ことができればよいわけです。

　以上を押さえておけばこの問題が理解できたことになります。読者が技術者でなければ、最初の支払いだけを有効にする方法がみつかった、実際のプログラムは技術者に任せる、ということで良いかと思います。技術者なら詳しい資料は下記を読むかネット上で適切な解説を探してください。

銀行が支払いを管理している場合

　問題の解決は簡単です。銀行が支払いを順番に受け付け、最初の支払いがあった時点で支払い済にします。同じ支払いがもう一度あったら、支払いは無効にすればよいわけです。

銀行のような支払いを管理するところがない場合

　最初の支払いと2度目の支払いが同じパソコンで行われるかどうかわかりません。別々のパソコンで支払いが行われたら、どちらも正しいとされてしまいます。
　解決策はブロックチェーンです。分散型台帳技術と訳されます。多くのPC上にある台帳のうち、最初に更新された台帳を有効、2番目以降を無効にするという仕組みです。下で詳しく解説します。

ブロックチェーン（以下台帳と呼ぶ）の構造

　ブロックには、日本で従来から使われてきた大福帳と同じように、多くの支払いデータが記載されています。台帳は、支払いデータが詰まったブロックがチェーンにつながれたものです。台帳のコピーがノードと呼ばれる多くのPC上にあります。

最初の支払いだけが有効になる仕組み

　多くの台帳のうち、時間的に最も早く更新された台帳に記載された支払いが有効、遅れて更新された支払いを無効にします。
　台帳が更新されると、多くのPCにその台帳がコピーされます。2か所で更新された場合、先に更新された方が勝ちで、後で更新した方は自分が作ったブロックを捨て、新たに次のブロックを作るという方法で順番を決めます。
この仕組みはPoLで仮想通貨・ブロックチェーン を学習の図が分かり易いです。

ブロックチェーンの図

　ネット上から最初の支払いだけが有効になる仕組みが分かり易い「台帳のコピーが各PC（スマホ含む）にある」図を選びました。ネット上の図は、「台帳の改ざんをいかに防ぐか」を説明するものが多く、今回の目的で読み解くのは難しいかもしれません。

本記事の重点

　多くのブロックチェーンの解説は「改ざんをいかに防ぐかに重点を置く」との視点で書かれています。
　本記事は「お金の仕組みシリーズ・ビットコイン編」であり、ナカモトサトシのビットコイン論文から書き始めています。そのため、彼が目標とした「金融機関を通さない直接の取引を可能にする」をいかに実現するかを解説したく、「二重支払い問題」を重視し、「改ざんをいかに防ぐか問題」を省略していることをご承知下さい。

【マガジン】BITCOIN
ビットコイン誕生前夜　Winny
ビットコイン誕生前夜　Napster
ビットコイン論文の先頭1ページを読むと見えてくること
ビットコイン実現のために解決すべき　二重使用問題
Peer to Peerネットワーク　ブロックチェーンの基礎技術　その１
大福帳　ブロックチェーンの基礎技術　その２
ビットコイン　マイニングとは
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