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スーパーの横では 焼き立てパンの匂い おそば屋さんの横では ふんだんな鰹節の香り 一瞬 ク…
今では考えられないが かつては 小学校の門前に 下校時刻にちょうど合わせて ひよこ売りのお…
ふいに 聞こえた 鳴き声は キョッキョ キョキョキョキョ もう一度と 耳を澄ませる テッペ…
1年前 半地下の窓ごしに 川沿いを通り行く人の姿を ぼんやり追っていた きらきらした靴 不思…
四阿を後にして 池の方から 聞こえてきたのは 久しぶりの重低音 おたまじゃくしが すくすく育…
お試しのジュース屋さん 届いたばかりのブレンダー あっと言う間のスムージー 瞬く間に売り切…
時折 わからなくなる 私はたしかに ここにいて 頭で考え 動いている 私は私 ただそれだけ トランプの手札のように 取り換えはできない あるところまでは地の姿 途中からは貝のよう 記憶の抽斗は ミキサー車のごとく ゆっくりと 昔のことが手前に 最近の出来事は奥へ ぐるぐると回転 暗闇から抜け出し まばゆい光の中へ それでも不自由と感じならば 自ら課した枷のせい
あまりに驚き 後ずさり なぜ ここでブランコを? 大きな蜂がただ1匹 雨戸の紐にちょんと乗…
用事は3つ まとめてしまおう ついでの1つ これが曲者 ただ座って前を観る それだけの筈が 強…
初夏の山あいを 縫うように 列車はゴトゴトと進む 終点で待ち合わせのはずが 乗り継ぎ前に合…
水温む 田んぼの横で 麦の穂が 風に揺れている 行き来する度 発見がある 奥に連なる山々 …
ある時 米びつ代わりの タッパーの蓋が欠けていた よく見れば歯型 まさかと絶句 プラスチック…
爽やかな風を受けて 走り出した朝 犬を見かけて減速 花時計を目がけて加速 あっという間にゴ…
図太くは無く か細くもなく ただ鈍感なだけ トランプの10倍以上 めくっては確かめ 元に戻しての繰り返し 時折は手を休め 新緑を眺め 日の陰りを感じつつ 淡々と続ける 家路に着く頃 空は むらさき 続きは明日 気付かずにいた 不思議な景色