空き家問題を考えるふり
空き家は結局、人が入れば解決するんだよ。
人が入ってないから、荒れていく。
あれぐらいは酷いもんだ。
まず動物が住み着く。
野良猫ぐらいならまだいい、僕が見たケースではラクダが住み着いていた。
おそらく野良のラクダだろう。
動物園から逃げ出してここに住み着いているとは思えない。
動物園育ちはそんなにワイルドではない。
途中で諦めて、戻っていくだろうよ。
そのラクダは、もうもともとそこの住民であるかのような顔で、僕を迎えてくれた。
いらっしゃい、と実際に言うわけがないが、僕にはそう聞こえた。
そして、熱いお茶を出してくれた。
あ、どうも、と僕は戸惑いながら会釈した。
ラクダは何をいうでもなく、ただ客をもてなすことに慣れているようで、僕がお茶をゆっくり飲み干していくのを見ていた。
ラクダですよね、と僕は尋ねてみる。
当然、何にも答えないし、答えたら怖い。
でも僕が飲み干したら、お茶を注ぎ出してくれた。
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