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真冬の水の冷たきことよ

久しぶりにサウナに行く。
温泉についているサウナである。

あくまでも僕がいくサウナは、家族も納得した上で入るものである。
一人でサウナを堪能する、など絵空事。
所詮、夢のまた夢。

いつか自分だけが楽しめるようなサウナにもいこうと思うけれど。

今は、家族同伴の、ファミリーサウナ。

必然的に、入りやすい、誰もが楽しめる施設であることが多い。

昨日、外は氷点下であった。

サウナが外にある!

水風呂は・・・、外にある!

すなわち、シングル確定である。
水風呂の温度が10度以下、氷点下の外にある水風呂であれば、いやがおうにも低いに決まっている。

予想通り、キン、とした冷たさだ。
これは30秒以上入っていると危険な香りがする。

長く入っていてはいけない。

一瞬でも入ることを躊躇するぐらいの冷たい水。

いつも以上に入念に、体の芯から温まるまでサウナを長めに入る。

これ以上はぼんやりしてフラフラして倒れるかもしれません、という手前で外に出る。

氷点下の夜空の下、水を浴びて汗を流す。
ひやあああ、と体が伸縮する。
心臓はバクバクいう。

意を決して、足を入れる。
ツン、という音が耳を貫く。

ここで怯んではいけない。
相手は所詮水である。
意思も持たないし、言葉も喋れない。
水である。
僕は負けてはいけない。

一気に、体を沈める。
すぐにぬくもりの膜が体の周りを覆う。
冬の水はその膜をいとも簡単に破って中に入ってくる。

まだ、無防備な僕を包む盾は、完全に壊れたわけではない。

だから、もう少し、この水を友達にして、僕はこの夜空を統べる風になるのかもしれない。

(くれぐれも気をつけてくださいね)

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