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春はお別れと出会い

この春、敬愛してやまない上司が退職した。
上司といっても、年齢的にはワタシよりひとまわりも下だろう。しかし実に頼もしい女性で、見た目の華やかさとはギャップに萌えるくらい男前だ。

彼女の下で働けた期間、本当にたのしかった。他の人たちも同様に寂しく感じているに違いない。直下の若手職員は、彼女のそばで仕事できたのは、本当に幸せなことだ、と噛み締めていた。学ぶことが多すぎて、日々新鮮だった、と。

この元上司の仕事ぶりは明快、最速で、根回しも問い合わせも「即」だ。単なるせっかちみたいに甘く見ているエライさんもいたが、実際には彼女の理解の速さと行動力にジリジリと押し込まれる。どちらかというと、元上司のさらに上司筋のおじさんたちの方が、思考で出遅れてる感じだった。老獪なエライさんからしたら、時に厄介な存在、「出る杭」として扱われるときもあったが、とにかくいちいち凹まず、あーまた怒られちゃった!と可愛らしい愚痴をこぼした。

元上司は、細かな業務分担にまで配慮して、慣習となって不均衡に割り振られた業務を適正配分するべく、他の部署と折衝したが、老害ジジイは利権を守るかのように屁理屈で抵抗し続けた。その度に、言葉をつくし、資料を調え、妥協点を探る。手ぶらでは帰らないわ!という固い決意が見えるような粘りの交渉。この諦めの悪さが、周囲を巻き込んでいく。
要するに、そういう大変な仕事のある部署なんだけど、周りの人達は、「勝手なことを」とか、「なんでも押し付けてくるな」とかいう。

4月から、業務分担での交渉相手だった部署の職員が異動になってきた。これまでは、いわゆる敵方だった。さて、いざ仲間になってみて約1週間。つい先月まで敵だと思っていた、その陣地に入り込んできた。彼は、初めこそ戸惑っていたが、こちらがフレンドリーに接していると、色々と内情が見えてきたらしい。
金曜日の夕方になって雑談していると「ここが大変な部署だということがよくわかった」と言うようなことをこぼした。
そう、無理難題を押し付けてくる相手だと思っていた、その部署は、実は本当に厄介仕事の多い、なかなか大変な島だったんだと気づいたようだ。
私が言われたわけじゃないけど、そんな話をしている若手職員を見て微笑ましくなった。やっぱり懐に入ってみないとわからないことってあるんだと。まだまだ前途多難な交渉事が山積みですが、これからも共に戦う職員の皆さん、頑張って。

いろんな仕事の仕方があるけど、諦めない、粘り強く交渉する、って結構大変だし、むずかしい。でも、元上司のまいた種は、ちゃんと次に目を出すことでしょう。

成長が楽しみだ。



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