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マイノリティ・困っていること

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マイノリティ当事者として困っていること
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記事一覧

耳栓と職場

 私は、会社の本社勤務だ。  主に営業部メンバーが集まる場所なので、よく人が出たり入ったり、会議が行われたり、お客様の電話対応等が行われている。  最近はパソコンでSkype会議も行われるようになり、会議室が満員でも、自分の席で簡単に打ち合わせが出来るようになった。  よってーー 聴覚過敏がある私にとって、かなり過酷な環境になってしまったのだ。  耳が敏感な私は、賑やかな場所が苦手だ。  雑音が多過ぎると、動悸、目まい、吐き気や耳鳴りが起こり、ひどい場合

簡単な計算が出来ないマン

 私は計算力が非常に低い。  そこそこ出来るのはせいぜい10の位までの計算で、更にこれは一回きりの足し算・引き算の場合に限る。  四則計算が2回以上となると、もうお手上げだ。  そこに大きい数字や小数点が出てきたりするともうパニックで、自己防衛の為か、脳がオートロックをかけフリーズ状態に入ってしまう。  それ故、日常生活でも色々と苦労をしていて、例えばスーパーで「3割引」、「10%OFF」といった文言を見てもイメージが湧かず、「これは安くなるやつだ」ぐらいにしか理解

「一緒」がチームワークじゃない

 教会でクリスマス行事準備の為、青年部のみんなと買い出しに行った時のことだった。  クリスマス会に参加される子供達の為にお菓子を準備しようということで、大量に且つ安く買えれるという、東京にある駄菓子専門店で物色することにした。  週末の夜。  賑わうショッピングモールの中にあるその駄菓子屋さんは子供大人に関係なく、人で溢れていた。  おしゃれな店だった。  棚にはカラフルなパッケージに包まれたお菓子がぎっしりと並べられていた。  更に、より多くの人に注目され

脳内で順序立てが出来ない

 毎朝、私はメモ帳に一日の日程を書き出す。  それも要件の大まかを軽く箇条書きしたようなものでなくーー 6:15-6:45 朝食 6:45-7:00 着替え、バッグ用意 7:00-7:15 出発、ゴミ捨て ……  といった、作業時間帯までをも細かく表記したスケジュール表である。  なのでメモ帳はいつもぎっしりと書き込まれている。  更に一部作業に関しては、その作業の細分化作業までも書き出す。  「6:15-6:45 朝食」を例にすると: 6:15-6:45 朝食

超人向けの世の中

 この世の中には、体調不良になる要素が多過ぎる。  気圧に押しつぶされて、  体内ホルモンの乱れに打ちのめされ、  騒音と光でヘトヘトになり、  情報量の多さに頭がパンクする。  耳鳴り、目まい、吐き気は日常茶飯事。  偏頭痛とも、もう友達。  どんなに休んでも関係無く襲ってくるダルさ。  やる気が出てきても、長続き出来ず、急速にエネルギー切れ。  なにくそとエナジードリンクやコーヒーを飲んで無理矢理精を出すも、今度は身体のキャパオーバーで動かなくなる。

オウム返しと「脳内お返事リスト」

 教会の昼食の時間。  通りすがりの牧師先生に「お昼ご飯いっぱい召し上がれ!」と話しかけられ、そのまま先生が話した内容の語尾を繰り返し、 「召し上がれ!」 と返事をしてしまった。  その返事を聞いた先生が一瞬戸惑い、再び「いっぱいお昼ご飯食べてね!」と言い直してくれたが、それでも 「食べてね!」 としか返せなかった。  こんなんだから、よく「いい年の大人が、何子供のような返事をしているのか」と思われがちだ。  でも、私だってそのようなオウム返しの返事はおか

HSP気質にとって、映画やドラマは凶器

 映画やドラマを見るのが苦手だ。  いや、むしろ怖いと言って良い程だろう。  画面越しの一つ一つのシーンに傷つけられてしまう。  この気持ち、どれぐらいの人に理解してもらえるだろうか。  登場人物の怒鳴り声、叫び声が心に突き刺さり、  誰かが殴られている場面を見ると、自分がそうされたように感じてしまう。  これは偽物だ、作り話だと分かっていても、まるで現実であるような錯覚を起こしてしまう。  一話一話見続けるにつれて、心身共にズタボロになっていくのだ。  到

気圧を感じる人たち

 とあるマイノリティカフェにて、お客様同士で雑談をしていた時のこと。  ふと、誰かが「今日は気圧が低いねぇ」と一言。  「そうだね~」と相槌の声。  つられて私も、「頭の上に重くのしかかってくる感じだね」と返事をした。  自然にふっと出たその話はそれっきりとなったが、後になってふりかえると、実に「知る人ぞ知る」話題だったのではないかと思う。  全ての人が、このように敏感に気圧を感じ取れる訳ではないからだ。  私の含め、世の中には一部、体調が天気につられ

聴覚過敏のせいで、聞こえない

 私は、人の話がちゃんと聞けない。  ちゃんと耳を傾けているはずなのに、声が遠く感じる。  途中から話題が分からなくなる。  話していくうちに頭がぼんやりし始め、目が泳ぎ出す。  それ故、会話中によく「ちゃんと聞いてる?」と聞かれたりする。  耳が遠いのではないかと思われがちが、実はその反対だーー 聴覚過敏のせいで、聞こえないのだ。  所謂「健常者」達は、どうやら必要な音を拾って、焦点を当てて聞くことが出来るらしい。  電車やレストランのような賑やか

情報酔いと離脱現象

 この世界は、情報でいっぱいだ。  ガヤガヤ人の話す声、爆発のように急に鳴り出す車のクラクションの音、  目に飛び込んでくる商品棚の色達、チカチカと点滅するライト、  ただよう香水のにおい、それに混ざる、食べ物の香り。 ……  過敏にこれらを感じ取ってしまう私は、短い外出でもとても疲れてしまい、いつも家にたどり着くころは他の事が出来ない程、ぐったりしてしまう。  特に人混みが苦手だ。  一人一人に、それぞれ「色」があるように感じる。  普段は、その「色」のペンキ

偏頭痛と私

 私は偏頭痛持ちだ。  初めて発症したのは、中学の頃。  急に目の前に幾何学模様の透明なチカチカが出てきた。  それがプリントの字を隠し、一部見えなくなってしまった。  しばらくしたら、見えない範囲がどんどん広がり、ついに目の前の同級生の顔でさえ見えなくなった。  びっくりした。  右腕の感覚がマヒし、まるで自分のじゃないようだった。  ようやく目の前が見えたと思ったら、吐き気が伴う頭痛に襲われた。  後日、これを知った母が大急ぎで私をCT検査に連れてい

写真を撮られるのが苦手

 写真が苦手だ。  レンズを向けられた瞬間、全身が固まってぎこちなくなってしまう。  撮られた自分の写真を見るのもあまり好きではない。  自分の容姿に自信がないのかと思われがちだが、それよりも、 大して嬉しくもないのに、作り笑いをする。ということが苦痛だ。  最初は、自分以外の皆は全員写真好きで、撮られる度に楽しくなれるから自然な笑顔が出せると思っていたが、どうやらそうでもないらしい。  ただ「笑う」と考えれば、それなりに自然と笑顔が出来るそうだ。

お化粧は重労働

 発達障害の特性の一つーー感覚過敏が影響しているのかもしれませんが、decoは自分の身体に何かを塗り付けるのがあまり好きではありません。  とにかく重く感じます。  軽く口紅を塗っただけでも、唇が思うように動かせなくなり、微笑むのも一苦労です。  ましやBBクリームにファンデーション、更にチークにアイライナー、マスカラ……  苦痛でたまりません。  「みんな最初は不自然に感じるよ。今に慣れるよ。」と言われてもう約十年。  慣れることはなく、ようやくハンドクリームとリップ