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今朝からサバラン

サバランさんである。

わたしはサバランさんはもっと市民権を得て良いのではないかと常々思うておるのだ。こちらの記事を拝見して「あ、自分サバラン好きやんか」とあらためて思い出したのである。この場合の「自分」は一人称である。 

みらっちさん、ありがとうございます。やっとサバラン記事を投稿できます。
この記事をご覧になっているサバランさん好きなあなたも、投稿してみてはいかがでしょう。



わたしはどういうわけか昔からラムレーズンが好きである。レーズンではなく、ラムレーズンが好きなのであった。いっちょまえな子供であったことよ。洋酒の風味が大人びていて、背伸びした気になるのである。これを口にすることで大人の世界を少し覗いた気になったのであった。とうぜん冬のチョコレートといえばラミーであった。

そういう子供が大きくなったらいったいどないなるのであろうか。サバランさんに魅了されるのである。自明の理である。そうなったら行かざるを得ない。どこへ。サバランさんのもとへ。わたしは東京はタカセ洋菓子店・池袋本店へ行ってきたのである。大正9年創業の老舗である。

 きっと昔からの「老舗」と呼ばれる洋菓子店さんにはおいてありそうですね。

みらっちさんの記事より


みらっちさん、さすが鋭い洞察力である。そういうところがたまりません。
さて池袋本店はビルディングであり2階は喫茶室になっている。ここでサバランさんをいただいたのである。朝の店内は常連さんとおぼしき方々が窓際の席でくつろいでおり、わたしは窓から離れた席に座った。それであっても大きな窓からは西武百貨店、明治通り、そこを行き交う車や人の流れを眺めることができるのであった。

モーニングの時間帯、他にも目移りする選択肢はあれども、今日お会いしたいのはサバランさんである。そうしたら注文はモーニングケーキセットである。ホットコーヒーと、サバランさんである。目移りする中あやまたず注文ができた。やったぞ。わたしは自分の額に「たいへんよくできました」のハンコを押してやりたいくらいの気持ちである。

平日の落ち着いた朝、運ばれてきたサバランさんはこちらである。
刮目せよ!

これがサバランさんだ!


まぶしい。お会いできました。ため息である。まず落ち着いてコーヒーをひと口含むのである。話はそれからだ。


昭和のおしゃれな洋菓子。これを切り分けようとするとお酒が浸み出してくる。これはスポンジではなくブリオッシュ生地ですか。午前中からお酒の背徳感があるとはいえ、これはアクセントのラム酒・洋酒である。それにしたってじゅわっと量が多いではないか。ありがたいことである。子供にゃあちょっときつい。これを楽しむのは大人の特権だぜ。鼻に抜ける香りが幼いころのラムレーズンを思わせて懐かしい、と思いつつ、そこはやはりお酒である。

ラム酒の後に味わう生クリーム。さすが洋菓子店。しっかりとしたテクスチャとコクがある。そして酸味のあるジャムがアクセントになる。甘さのなかに酸味をうまく配置することによって、お菓子はその良さが引き立つのである。イチゴもまた色合いと酸味で心と口をリフレッシュする役目を担っている。サバランさん。よいではないか。よいではないか。大事なことなので2回言いました。

そしてここにブラックコーヒー。アイリッシュではないが、お酒とコーヒーである。もう、わたしは言うことがなくなった。味と香りを黙って味わうことにする。



洋菓子の味と香りの余韻はどうしてむかしの記憶を呼んでくるのだろう。
ラムレーズンのアイスクリーム、わくわくして食べた誕生日のケーキ。昔も今もケーキにはイチゴが乗っていて。
おそるおそる飲んだ真っ黒いコーヒー。初めて味わう苦味への反応をじっと見ていた母親が笑った。

どれくらいそうしていたか、目を上げるとそこには西武百貨店。手前には文庫本に目を落とす常連さん。ここはタカセ洋菓子店。サバランさんとのひととき。




ほんとうは9階のコーヒーラウンジに行きたかったのであるが、開店時間より早かったのであった。9階はお見合いを経たであろう男女の初々しい会話が聞かれることがあり、雰囲気もほのかに甘くて、なんだか「世の中って悪くないよな」と思える場所であることよ。


#サバランさん同好会
■東京・池袋 タカセ洋菓子店 池袋本店2階 喫茶室
■2023年 5月1日 午前
■モーニングケーキセット サバランとホットコーヒー



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