何かをつくること

家族はみな何かを作ることが好きだ。
父は俳句に興じており、兄は漫画を書くのがとびきり上手い。

私はこれといってクリエイティブな人間ではないが、小学生の時に七手詰めの詰将棋を思いついた。スーパーで買い物に連れて行かれたときにタイルを将棋盤に見立てていたときにひらめいた。棋譜に残していたのだが、忘れてしまった。それから3〜4作自作の詰将棋を作って父に解かせていた。
今思えば小さな創作だが、何かを作り出すことの楽しさを知った原点のような気がして、復元を試みたいと思った。

中学、高校のときは数学が好きで定理を編み出したいと思って数字をいじっていたが、新しい定理を作れるほどの頭はなかった。オイラーの公式を理解したいと思って誕生日に「オイラーの贈り物」という本を買ってもらったが、理解できなかった。

大学生の時は体育会系の寮に入って、一発芸や飲み会のコールを振られた。理論でいかない作り物は難しくて私はセンスがなくすべってばかりだった。人を楽しませるプロフェッショナルであるお笑い芸人を心から尊敬するようになった。

研究室に遊びにいかせてもらったがお手伝い程度で、自分で何かを作り出すという経験にはならなかった。しかしこのころに「人のつながりが健康に与える影響」について可視化したいと思うようになった。

医学生・医師になるとお作法を学ぶのに必死で、クリエイティブなことをするすべはなかった。そのフラストレーションが溜まったのか、研究したいという欲望がふつふつと湧いた。

研究はクリエイティブな側面と、地道な側面があるが、どちらも楽しい作業である。

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