SPHの特別授業の感想

2022/9/12に受講
【臨床医・総合内科医にできる臨床研究】
総合診療の領域で臨床研究のトップランナーとしてご活躍されていた先生で、総合内科フェローとして臨床を続けながら社会人大学院生としてSPHに入学した自分にとって大変貴重なお話を伺うことができました。自分自身の現在の悩み、病院に貢献できること、自分自身のキャリア、の3点についての感想です。
1点目に自分自身のことについてです。私は今年からSPHの博士後期課程に入学しました。前期は半年間臨床業務を離れ、座学を中心に疫学の基礎を学んできました。課題研究のテーマは自分の臨床経験から起きた疑問でPECOを考えましたが、実際にClinical Questionを実現可能なResearch Questionに落とし込む過程で苦労し、現在はテーマを変えようとしています。今検討中のテーマも総合医にとっては関連があるテーマではありますが、臨床に直結するとはいいがたい面もあります。お二人の先生方のお話をお聞きして、臨床医だからこそ思い浮かぶ切実な臨床疑問を解決する研究を行えるようになりたいと改めて強く感じました。また、臨床をしているとどうしても研究に割くことができる時間は短くなりますが、日々の臨床の中に研究のタネが潜んでおり、逆に臨床研究で学ぶ思考法自体が臨床に役立つことを認識できたので、大変なことがあっても前向きに取り組んでいきたいと思います。
2点目に、病院に貢献できることについてです。野口先生が「本当に大事だと感じるもの」について自分の利益のためではなく、他人のために行動することが人を感動させる、とおっしゃっていました。私も自分が勤めている病院に貢献できることがないか考えました。300床規模の市中病院であり、研究発信が課題になっています。幸い私はSPHに入学して素晴らしいメンターの先生方とお会いすることができたので、今度は仲間を作り四方先生の「研究やろう会」のような取り組みを自分の病院でも普及させて、職員の誇り・意欲向上につなげ、最終的に病院内の患者さんや、発表を通じて世界の患者さんのケアを改善させるために努力したいと考えています。また、総合内科では研修医の教育も重要な業務です。教育の本質は知識を伝えることではなく、感動を伝えること、という教えも心に留めておきたいと思います。患者さんを臓器ごとではなく全体をみて、心理社会因子も含めてケアをする総合内科の魅力と、臨床研究を学び未知の世界に飛び込んでいく感動を自分の後輩に伝えていきたいと思いました。
3点目に、自分の将来についてです。野口先生は自分史の中で留学の経験をおっしゃっていました。黒川清先生や福原俊一先生もよく、若いうちに海外に飛び出すことが大切とおっしゃっています。今年から新しい病院での勤務が始まり、SPHにも入学したばかりなので、1点目の自分の研究や、2点目の病院に貢献できることが形になるまで、現在の環境で精進したいと考えております。地域の病院でも世界と渡り合う研究を志し、タイミングと出会いに導かれて海外に出る機会をうかがいたいと思います。ただ自分自身の成功や出世を第一に考えるのではなく、仲間と一緒に、患者さんのために行動することを続けることが大切と学びました。現在のインターネット環境では日本にいてもできることはたくさんありますので、海外留学の夢は焦らずに温めておきます。
自分の人生についても振り返る機会をいただきありがとうございました。
【Cumulative meta-analysisの結果が変わりうるなんて!】
前期の講義でも、システマティックレビューやメタアナリシスの基本について学びました。しかし、本日の講義で新たに知った印象的なことは、Cumulative meta-analysisについてです。急性虫垂炎に愛する腹腔鏡下での虫垂切除 vs. 回復での虫垂切除の比較で、累積メタアナリシスを行うと、外科医の技術や機器の進歩によって結果が時間とともに反対の方向に変わった、これは薬剤では起こらず外科治療特有の現象であるということが興味深かったです。
また、メタアナリシスの結果が固定したかどうかを調べるTrial Sequential Analysisについても知っておくと、無用なRCTが繰り返されるのを防ぐことができると感銘を受けました。今回は概念を紹介いただいた形でしたので、機会があれば詳しく勉強してみようと思います。

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