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Day1: Beautiful Scones

まずはゼロから。
あまりに無知なところから始めます。

スコーンとは、イギリスのお菓子の名前です。

アメリカにも似たお菓子があって、これらはビスケットと呼ばれています。ケンタッキーフライドチキンで食べるビスケットは、それです。アメリカの方は本場のものを食べたことがないので、詳細はよくわかりません。


とにかく私は、長い間スコーンのファンで、スターバックスコーヒーのチョコレートチャンクスコーンを食べる習慣があったほど、好きでした。
しかしながら、スタバでスコーンを食べる時は、必ずホイップクリームをつけて注文し、パサパサをコーティングして食べていることに気づきました。スコーンそのものを楽しむというよりは、スコーンに塗られた、あるいはスコーン以外の何か、を楽しんでいたのです。スタバのそれは、電子レンジで温められた、甘くてとろけている魅惑的なチョコレートです。私は気を抜くと、ついチョコレートに心を奪われてしまいます。


さて、そんなスコーンファンの私が、運命のスコーンと出会いました。正確に言うと、出会ったというか、これもまた変な話ですが、舞い降りてきました。Day0で紹介した、とんでもなく美味しいスコーン、食べたときに美味しくて涙が出てしまったので、魂のスコーンと呼びましょうか。


私はこのスコーンを、何日経っても忘れることができませんでした。すると、次第に、自分で作ってみたくなったのです。食べたものを作ってみたいなんて気持ちが芽生えたのは、初めてかもしれません。ここから私の、スコーンの研究が始まります。スコーン様、よろしくお願いします。




始めに、スコーンとは、何でしょうか。
そもそも私には、パンと焼き菓子の区別もつきません。昨今はデニッシュのような甘いパンもあるものだから、お食事がパン、デザートが焼き菓子なんて単純な区別ではなさそうです。

パンとお菓子の違いは「酵母の有無」のような気もしました。しかしながら、今回スコーンを作るにあたって100程度のレシピを拝見したところ、イーストを使用するスコーンのレシピもありました。つまり、酵母のある、酵母のないスコーンがそれぞれあるようです。スコーンが何者か、いよいよわからなくなってきました。

ここで立ち止まると前に進めないので、私はスコーンのことを、パンでもなくデザートでもなく、ただただスコーンである、と仮定することにしました。



スコーンを作ろうとしているにもかかわらず、パンやお菓子に精通しているわけではなかったため、スコーンに何が入っているのか検討もつきませんでした。恥ずかしながら、これまでお菓子を食べるときに、原材料のことを考えていなかったのです。そこで、イギリスの友人のJadeに、彼女のお母さんの homemade scone の原材料を教えてもらいました。ここをベースにしてみようと思います。

225 g Self raising flour
Pinch of Salt
55 g Butter
25 g Caster Sugar
150 mL milk
an Egg (For Brushing Top of that)

驚くことに、意外とシンプルでした。
美味しいものは必ずしも複雑でないようです。


しかし、最初からつまづきました。
一つずつ、吟味しながら何を使うか決めなければならないからです。

まずは、小麦粉に苦戦しました。イギリスでは、ベーキングパウダー入りの小麦粉が、セルフレイジングフラワーとして販売されているようです。私は近所のスーパーマーケットで、これを見つけることができませんでした。

さらには、皆さんもご存知のように、小麦粉には、よくわからないけれど、薄力粉、中力粉、強力粉、というものがあります。お米のように品種もあります。Jadeは何も教えてくれませんでした。自分で見つける他にありません。

ホテルオータニの有名そうなシェフの強力粉のレシピと、クックパッドで一位に君臨する薄力粉のレシピを見つけました。結局のところ、どちらでもスコーンというものは作れるのですが、私のつくりたいスコーンはどちらで作る方がより理想に近いのかは、作って見ない限り分かりませんので、今回は薄力粉でチャレンジします。

悩んだ末に、今回選んだメンバーはこちらです。

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小麦粉は、いつも使用している北海道のドルチェを使用しました。今回スコーン作りの基準にしてみます。説明がきにも「スコーン」「サクサク」と書いてあるので、作れないことはないでしょう。これは薄力粉ですね。

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お塩は中国のお塩で、これも普段わたしが料理で使用しているものです。お塩を使用しないレシピも数多く見ましたが、Jadeも塩って言っていたのと、何よりも、海のエネルギーを入れてみたいという好奇心です。私はエネルギーという言葉に弱いようです。薄力、と小麦粉のパワーが弱そうなので、こちらの「光と風のエネルギー」で補います。

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すみません。大切なバターを忘れていました。人気者のよつ葉バターが手に入りました。バターは無塩にします。Jadeの記載には何も書いてなかったけど、塩を入れるんだからバターは無塩と推測しました。なんだか北海道Loverになりましたが、北海道は好きなところのひとつです。

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富沢商店の有機サトウキビ糖、もちろん牛乳は明治の「おいしい」牛乳です。私はおいしいという言葉にも弱いです。卵は、さほどこだわらず、手前に陳列されていた賞味期限の短いものにしました。胃腸には自信がありますし、それに、何か縁のようなものを感じるじゃないですか。



まずは、使用する器具をキンキンに冷やしてあげます。
おそらく、焼成でバターが溶けてそこにできる空気がサクサクの重要な構成要素であるように思ったためです。何よりもバターを溶かさないことを意識してみました。

バターは「1cm角に切る」というレシピが多かったのですが、包丁さばきに自信がなく、行動がとろいため、バターがとろとろに溶けてしまうことを恐れました。そこで、木の棒で薄く引き伸ばし(半ば強引に)、ペラペラにして、手を冷やしながら急いでちぎることにしました。

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いったんもめんみたいで可愛いですね。


ふるいは直前にかけました。前もってふるっておくと、上の粉の重力がボウルの底の子に迷惑をかけてしまうような気がしたためです。ずっと組体操をさせているようなものです。

ボウルは、熱伝導率のたかい金属(キンキンに冷えるけどすぐ室温になる)か、ガラス(結構冷たさが維持される)にしようか迷ったのですが、牛乳を冷やしていたのでそこまでバターの溶け出しに影響しないように考え、金属ボウルを選定しました。

秤量は1g単位の秤が家にありましたので、それを使用しました。小数点以下切り捨て、という勇気をここで発揮しました。化学者であることを捨てる覚悟。

困ったことは二つ。

一つに、お塩がJadeの配合表だと「Pinch=ひとつまみ」でした。こうゆうのが化学者の最も苦手な言葉のひとつです。Jadeの気持ちになって、ひとつまみしてみました。つまんだ時に、親指と人差し指の皮膚がおよそ40%重なっている程度。そうそう、紹介が遅れましたが、Jadeは同い年で、4歳と1歳のママです。イギリスの郊外のベーカリーで働いている愉快な友人です。

話を戻します。二つめに迷ったのが、粉を混ぜる順番です。あまりに未知の領域でしたので、今回は、直感でこれまでの経験から以下の通りとしました。①小麦+ベーキングパウダー②砂糖③塩④バター⑤牛乳。

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べちゃべちゃです。マヨネーズとポテトサラダの間くらいの粘度です。これ以上混ぜてもどうにもならなさそうです。Jadeのことを絶対的に信頼していたので、これは結構ショックな出来事でした。それとも、私の混ぜる順が悪かったのでしょうか。


これでは、生地を成形できません。

そこで、冷やせば少し固くなるかな、と思ったので、6時間くらい冷蔵庫で冷やし、円形にしたのちに包丁で四等分しました。

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Jadeへの信頼が少し薄まってきてしまっていたため、手前の2個は言われた通りに卵黄を塗りましたが、奥の二つは牛乳を塗ってみました。どのくらいテカテカするのか楽しみです。


焼成ですが、今回は190℃、23分。30分に設定して、表面の焼き色が少し着いたところで止めました。



今回の完成品がこちらです。


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なんということでしょう。

残念ながら、私の創りたいスコーンに、程遠いスコーンができました。ミルクの甘い香りはするものの、もちもちめの、むにゅっとする感じです。

クラックも、スイスのアルプス山脈のような、あるいは北欧のフィヨルドのような割れ目を期待しておりましたが、控えめに二箇所(二側面にそれぞれ一箇所ずつ)でした。

こんなスコーンもあるかもしれないけれど、これはちょっと違います。

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うーん
これはですね、なんと表現しましょう

ちょっといい例えが思い浮かばないので出直します。


その他 今回の反省点

次回はちゃんと爪を切ります。
ガラスのボウルの方が、良さそうです。
強力粉がいいのかもしれないので、次回は国産強力粉でやります。

Jadeに報告します。それではまた。

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