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連続短編小説集[int i]

【2:片思い】

 私には片思いしている人がいる。
 その人は狼系とでもいうのだろうか、孤高の存在で、ほかと離れているが、決して孤立しているわけではないという、男子の高望み的存在だった。
 その人は私が通う病院の担当医をしていて、年齢は25歳とかなり若い。
 一方私は27……。
 歳の差ってヤバイ……。
 それでも私は今日も診察なので病院に行く。
「こんにちは、春さん。最近の調子はいかがですか?」
「こんにちは先生。最近も問題なく生活できています」
 彼は日花ひばなおおかみという名前で、いかにも「狼系」というのを強調している。
「それならよかった。では軽くCTを取って今回も終わりましょうか」
「はい」
 そういって放射線治療室に向かい、頭部CTを取って病院を終了する。
 いい加減彼と出会って一目ぼれして一年に達する。
 私としても何も行動ができない自分がいるのが恥ずかしい。
 何事もなくCTを終え、再度診察室に戻る。
「うん、今回も問題なさそうですね。ほかに何かありますか?」
 今だ! いうんだ! 私!
「あの……よかったらまた疑問点などをすぐに聞いておきたいこともたくさんあるので連絡先を交換してもいいですか?」
 言えた! やっとだよ!
「なるほど。確かに疑問点はすぐに解消しておきたいですよね。特に自分の持病に関しては」
「そんな感じです」
「わかりました。ただし、本当は禁忌きんきなのでほかの人には内緒でお願いします」
「わかりました」
 私は平然を装っているものの、内心は嬉しさでにやけてしまいそうだった。
 そのまま診察を終え、会計も終了させて自宅に帰る。
 にしてもやっと気になってた人の連絡先交換できた……!
「えへへ~」
 どうしよう。
 にやけが止まらない。
 嬉しすぎてどうしよう。
 っと……挨拶もなしなんて失礼か。
「よろしくお願いします……と」
 犬のスタンプをちょいs……おばさん臭いかな?
 でも挨拶なら何でも送ってしまうのが私なのだ。
 犬のスタンプを送信してしばらく返事をまとう。
 三秒で既読が付いて「こちらこそお願いします」と帰ってきた。
 律儀な。
 でも、嬉しいからよし。

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「春さんってやっぱ鈍感だから気が付いてないよね……」

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