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ツンドク?読んどく ㉕

河津桜咲き始める。伊吹有喜と辻仁成  2022/03/02

伊吹有喜『彼方の友へ』と『四十九日のレシピ』を読む。
どちらも読後感清々しく、特に「四十九日のレシピ」のストーリー展開と死と向き合いながら振り返る生=日常の暮らしの描かれ方に涙。

大切なひとを亡くしたひとつの家族が、再生へ向かうまでの四十九日間を描いた、あたたかい感動の物語。

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ただ法要のあとの夢想?シーンはいらないかなと。
梨木香歩に通じるピュアで浄化される読後感。


『父ちゃんの料理教室』
を読んで以来、辻仁成のブログ Design Stories にドハマり。

すばる文学賞受賞『ピアニシモ』、芥川賞受賞『海峡の光』、そして『冷静と情熱のあいだ』を読み返す。

江國香織が評していたけれど「辻さんは上品である」というのが、よくわかる。文章が巧みというのではないけれど、透明感というか、エログロえげつなさといった不快感なし。
特に今回初めて読んだフェミナ賞外国小説賞受賞『白仏』は秀逸。
辻仁成の祖父の生涯を通して、生、死、愛、戦争、輪廻などが、舞台の福岡の島の方言によって綴られる。
哲学を上段から語るのではなく、生きる人々の生と死が、人々の肉声で素直に語られる。
死とはなにかという題材なのに、暗く締め付けられる不安はなく、解き放たれるような安心さを抱いた読後感。
もっと読まれていい作品だと思った。

筑後川下流の島で生まれ育った稔は、戦後、亡くなった人々の魂を弔うため、島中の骨で仏を作ろうと思い立つ。激動の日本を駆け抜けた男を描く長編小説。フェミナ賞外国文学賞受賞作。

解説/山口昌子


先日 NHKBSP のアナザーストーリーズ「愛を生き切った人〜瀬戸内寂聴の99年〜」をみた。
井上荒野を通しての視点、東日本大震災の被災者への法話の第二の視点と第三の視点に諸々なることをおもい、号泣。夫も泣いていた。
すぐに井上荒野『あちらにいる鬼』を図書館ネット予約、な、なんと、11人目!
番組を観た人たちが予約したのだろう。

気長に待とう。桜咲く季節だもん。

河津桜

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