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7インチ盤専門店雑記416「1973年に聴く60sヒット」

またまたローリング・ストーンズです。ストーンズの「テル・ミー/アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」のスペシャル・カップリング…再発盤です。ⓟは73年1月、幻の来日に合わせて4種の来日記念盤7インチ・シングルがリリースされたときに合わせて、ついでに発売になったものです。もうローリング・ストーンズ・レコードが立ち上がっており、本体はベロ・マークで売れまくっていた時期、古いヒット曲どうしのカップリングで売ったものです。契約の関係ですかね。London/キングからのリリースです。定価は500円、辻褄が合いますね。

73年の幻の来日公演に合わせてリリースされた7インチ盤は、状態にもよりますが、2,000円~3,000円程度といったオリジナル・リリース盤と変わらない相場が形成されております。なぜなら、…やはり幻に終わった来日公演の記念リリースの文言が刷り込まれているわけで、歴史を語る上でも貴重な素材だったりするわけです。また事情が事情ですから、あまり多く流通しておりません。このスペシャル・カップリング盤もさほど多く流通しているようには思えません。…ある意味、レア盤です。

そもそも70年代初頭のローリング・ストーンズは、契約の関係で、最新作からのリリースの合間にちょっと前のアルバムの収録曲がシングル・カットされたりする時期ですから、資料と照らし合わせて行かないと、正確な情報が得られません。「悲しみのアンジー」の次に「無情の世界」がリリースされたりします。「無情の世界」は69年に「ホンキ―・トンク・ウィメン」のB面にも収録されていた曲です。

では、ヘッダー写真のスペシャル・カップリング盤、どういった評価になるのでしょうか。もちろん公式音源ですし、状態も悪くないのでいい鳴りです。ただ、幻の来日記念盤4種のついでに出たものです。来日記念盤ではありません。…でも来日記念盤の広告が載っているんですよ。これをどう評価するかでしょうかね。

加えて「テル・ミー」は英国ではシングル・リリースがなかった曲ですが、アメリカと日本では出ております。しかも日本ではGS、グループ・サウンズの連中に人気で、複数のグループが取り上げていた人気曲だったりします。1964年の曲ですが、1973年の日本でどう鳴ったか、時代の空気感を読む資料としては、結構面白いものかと思います。ちなみにB面は「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」、人気曲です。マリアンヌ・フェイスフルに贈ったと言われる、アレですね。

1973年、ブルース・スプリングスティーン、エアロスミス、クイーンといったアーティストがデビューしてきた年です。日本では山口百恵さんにキャンディーズ、フィンガー5…,、ヴェトナム戦争は泥沼化していた頃、日本では出生率がピークを迎えておりました。この年にはオイルショックもありましたが、もう少し後ですね。アメリカでは古き良き時代、つまりヴェトナム開戦前にばかり目が向き、「アメリカン・グラフィティ」のような映画が作られた時代です。日本でこの盤がリリースされたということから想像を巡らせることができる事象は、予想外に多いかもしれません。…レコードは歴史の証言者ですから。


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