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備忘録的サブカル近現代史考 011:黄色い目のクルマ

今村幸治郎さんの「夢の車」という画集(絵本?)をご存知でしょうか?1992年に二玄社から刊行されたものです。シトロエン好きとしても知られる氏の絵にはロボットが出てくるんですけど、これが妙にカワイイんです。しかもジャズが結構お好きなようで、実に愛すべき一冊です。

その昔、「ヨーロッパ車が好き」ということを何となく誤解されているように思えたカミサンにプレゼントしたものが我が家にも一冊ありました。バブルの頃、高級外車(嫌いな響きです)に憧れているように思われるのが嫌で、「そういうんじゃないんだけどね」という程度の意味で渡したものです。何せそれまでに乗っていたのがルノー5と旧型ミニでして、思い切りベーシックなヤツです。そこらの国産車よりもお安いオンボロ車を楽しんでおりましたからね。

その次の候補に、シトロエンAXにするか、BXにするか、2CVにするか、悩んでいたような頃にこの本は刊行されたんです。…その時点で乗っていた旧型ミニが台風で水没してしまい、いきなり不動車になったもので、急いで手に入るものとしてディーラーに相談したところ、展示車だったシトロエンAXを買うことになったんですけどね。

その頃のフランス車って、黄色い目だったんです。ハロゲン灯ですね。濃霧の中では目立つということでしたが、結構暗いんです。東京では意味ナーシということで、最近はグローバル・スタンダードに則ったものになってしまいました。でも時々思い出すんです。「そういえば、昔は黄色い目のヤツらが結構走っていたよなぁ」と。平成になってしばらくしてフツーになってしまったものですから、これは昭和時代の思い出というわけでもありませんが、街中のシーンでの時代考証とか、古さを演出する手段として、黄色い目のクルマってありなのかなと思うんですけど、いかがなものでしょう?

ちなみに2CVを買うなら絶対チャールストンというツートン・カラーが欲しくて、他の渋ーい色のヤツはアカンと思っておりました。圧倒的にチャールストンがカワイイと思っておりました。

結局それまで乗っていたミニがもの凄く手のかかるヤツで、エアホースを切っては繋ぎ直してを繰り返して、随分短くなっていたりもしたので、旧車に疲れていたというのもありましたし、2CVはグレーのヤツしかおらんということで、諦めもついたんですけどね。あのとき、チャールストンがもしいたなら、そして買っていたなら、また違った車歴になっていただろうなとは思いますけどね。AXの次はフォード・モンデオ、その次はマツダ・ロードスターという方向に行ってしまいましたからねぇ。

今でこそプジョーに3台続けて乗ってますが、フランス車にも疲れたという過去を持っているわけです。ルノー5もシトロエンAXもめちゃくちゃボロかったですからね。…もちろん、その分めちゃくちゃ楽しかったですけどね。今の時代、「クルマのボロさを楽しむ」という感覚は失われてしまったようですね。ボーダーレス化が進み、畳の国の住人が椅子の国の文化を嗅ぎ取って楽しむということ自体が難しくなってしまいましたしね。

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