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7インチ盤専門店雑記420「ゴスペル?」

日本という国はお祭り好きと言うのか、…むしろそんな言葉で片づけてしまっていいのか、クリスマスも祝えばバレンタイン・デーも他国とは違った楽しみ方をするので、面白いことは面白いですね。ハロウィーンが終わると感謝祭はすっとばして、一気にクリスマス飾りにつけ替わる素早さも見事ですが、クリスマスが終わった途端に純和風の正月飾りにつけ替わるのも素早いというか、凄いですよね。…ハイ、正直、ついて行けてません。

クリスマスが終わったら、キリスト教関連の話題はタブーとなるわけでもないでしょうということで、ちょいとまだ余韻のようなゴスペル関連ネタです。ゴスペル、…あのコール・アンド・レスポンスの音楽スタイルのゴスペルとは少々ニュアンスが違って、教会の中で歌われる曲はみんなゴスペルと言われます。「アメイジング・グレーズ」や「漕げよマイケル」「オー・ハッピー・デイ」は、一般的というか、キリスト教の信者さん以外でも普通に知っておりますな。

さらにはもっと広く捉えて「神に関する曲はみんなゴスペル」という使われ方もありますね。サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」やジョン・レノンの「パワー・トゥ・ザ・ピープル」などもゴスペルと捉えられているようです。「Light という言葉がタイトルに含まれている曲は大抵ゴスペルだ」と言う方もいらっしゃいましたね。

以前、ウチのお店を貸し切って、某教会の牧師さんがゴスペル・イベントをやられたことがあるのですが、意外なほど幅広い曲をかけていらっしゃって驚きました。まあ、神に届けとばかり大声で歌うものなんでしょうから、牧師さんも爆音で鳴らしていました…。なかなか凄い迫力でしたね。…スピーカーの近くにいらした高齢のご婦人は、途中で具合が悪くなってらっしゃいましたが…、アレでいいんでしょうかね。まあご無体なという気もしましたが…。

ロック・ミュージシャンにも敬虔なキリスト教の方が結構いらっしゃいますな。ブルース・スプリングスティーンなんかも、よくゴスペルの話題で出てきたりします。ピート・シ―ガ―の曲集とかある人ですからね。スプリングスティーンのデビュー曲「光に目もくらみ」もそういう意味ではゴスペルと捉えていいのでしょう。あの曲をカヴァーして、ナンバー・ワン・ヒットにしたのがマンフレッド・マンズ・アース・バンドでした。国内盤は1976年10月頃のリリースですね。

60年代のマンフレッド・マンには、ここがプロ・デビューのジャック・ブルースがいたり、ビートルズ関連人脈のクラウス・ヴ―アマンがいたり、ヒット曲もいっぱいあって、面白いバンドでした。久々の大ヒットでは音が随分変わっていて驚いた人も多かったようですね。私はアース・バンドが先という世代ですから、遡って60年代の音源を聴いて驚いたクチです。

このときのアース・バンドはギターがデイヴ・フレット、シン・リジ―にも短期間在籍した人ですが、その後はあまり音楽活動に熱心ではなくて、依存症のカウンセラーなんぞをやっているようです。ドラムスはクリス・スレイド、ジミー・ペイジ&ポール・ロジャースのあのザ・ファームで叩いていたり、AC/DCだったり、なかなかパワフルないいドラマーです。そしてヴォーカルがクリス・トンプソンでした。

クリス・トンプソンといえば、ナイトですかね。ニッキー・ホプキンスやリック・マロッタがいたり、ジョン・マット・ランジの奥様、スティーヴィー・レインジ(ランジ)とのツイン・ヴォーカルで、なかなかいいバンドだと思いました。このファースト・アルバムは個人的に名盤だと思います。でも短命で終わってしまいます。権利関係の問題とかいろいろあったようで、スティーヴィー・レインジは音楽業界と距離を置いて、ヴォイス・トレーナー的な活動のみになってしまいます。…ゴタゴタしたんでしょうかね。

ゴタゴタの一つは泣ける映画「チャンプ」に提供された「幸せのかけら If You Remember Me」のようですね。この曲はそこそこ売れました。国内盤は名義がクリス・トンプソンになっておりますが、実際はまんまナイトのメンツでやっているようで、…まあ、そういうことなんですね。ゴスペルを歌っていれば人格者という短絡的なはなしでもなし、この辺の音源はみんな大好きなんですけど、残念なんですよね…。

ちなみに以前やっていたラジオ番組でも芋蔓トークの中でグチっぽく語ったりしたこともありましてね。ゴスペルという言葉とゴタゴタが自分の中でリンクしてしまったところがあるようなんですね。どうもいかんのです。

私はキリスト教は好きでも嫌いでもなし、できたら距離を置く方かもといったところです。ロシア正教会の幼稚園に通ってましたから、相当のレベルでゴスペルの幼児体験がありまして、意識の深い部分では信心深いところはあるようですが、どうもねぇ…。クリス・トンプソンとか、あの爆音牧師さんとか、素直に信心深くなれない一因かもしれません。…まあ、他人のせいにしておきます。


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