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7インチ盤専門店雑記491「ルー・ドナルドソン」

80sのイベントの準備中でここのところ80s漬けになっております。流石に2日前ともなりますと、イベントの内容もある程度固まり、選曲等の細かい調整になります。ただし、1960年生まれの自分にとって80sは20代であって、10代の頃の熱量はなく、ある程度の量を超えて80sを聴くと脳ミソが飽和状態になります。これはいかんとブルースやら古いジャズやらを流し、バランスをとることになります。…イベント直前まできてモチベーションを下げるわけにも行きませんからね。

さて、1980年代でCDが定着し、リマスターが出始めた90年代前半頃は、アナログ・レコードのレーベルがサンプラーCDを随分リリースしてくれました。ズブズブにブルースにハマった後、ちょいと現世に舞い戻り、普通の人間のふりをしてジャズを掘りまくっていた頃で、ブルーノートのサンプラー「No Room For Squares」のシリーズなどは重宝しました。BNの4149番ハンク・モブレ―のアルバム・タイトルのまんまのシリーズですが、最初が4000番台の2枚組、24曲収録で定価2,000円、実質的に全BN音源でイチバン聴いたCDかもしれません。ジャズ本片手に4000番台や1500番台のアルバムを買い集めていましたが、これらのサンプラーは好き嫌いが少し知れるだけでも有り難かったですし、買う順番、優先順位を決めるのに大いに役立ちました。

No Room For Squaresシリーズはデザインもお気に入りでした。
オルガンものが集めてあったり、いろいろあったと思いますが、さすがに散逸してしまいました。

そんな中、リー・モーガンが好き、ハンク・モブレ―も好き、ソニー・クラークいいねぇ、ケニー・ドーハムもいいねぇ、と聴き漁り、…ルー・ドナルドソン…アカン、これはどうも好みではないらしい…となったわけで、ルー・ドナルドソンは今でも少し苦手意識があります。そういうアーティストは聴き流さず考えながら聴くので諸々リセットしてくれるところがあり、音楽的に煮詰まったとき、つい手を伸ばしてしまいます。また、好みではないと分かっているので、無理にアナログ盤には手を出しませんでした。今となっては、ン万円~十何万円といったお値段になっているようで、諦めもつきます。

何はともあれ、「アリゲーター・ブーガルー」がアカンでした。ジャケからして好みではなさそうな匂いプンプン、予想は見事に当りました。参加しているメンツも、コルネットのメルヴィン・ラスティ―・シニアとか全然知らんし、ドラムスのレオ・モリスという方も馴染がありません。ギターがなぜかジョージ・ベンソンだったりして驚かされます。…1967年のジョージ・ベンソンですからね。

ついでに「ラッシュ・ライフ」もダメでした。理由はアリゲーターと似たようなもので、ウェイン・ショーターやロン・カーターをはじめ少しは馴染みのある人がいても、よく知らない人が頑張っています。この盤、参加している個々人の存在意義が見出せなくて、メゲてしまいました。

ところが、「ブルース・ウォーク」というアルバムは何故か気に入りました。ルー・ドナルドソンの自作曲が3曲収録されており、そのうちアルバムのタイトル・チューン「ブルース・ウォーク」とラストの「コーリン・オール・キャッツ」の2曲がドスンと腹にきまして、しばらく聴きまくりました。

そして2003年、RVGエディションがリリースされたとき、待ち構えて買ったのが、ヘッダー写真のアルバム「ザ・ナチュラル・ソウル」でした。トミー・タレンタインのトランペット、ベン・ディクソンのドラムス、意外なほど好みでした。グラント・グリーンのギターとジョン・パットンのオルガン、オルガン・ジャズということでいくとジミー・スミス盤より好みでした。そして、アナログでは4108番でしたが、そこには収録されていないボーナス・トラック、ロジャース=ハマースタインの「People Will Say We're In Love」が妙に気に入ってしまったんです。アルバム本体側ではガーシュイン作の「Love Walked In」も好きでした。

アルバム冒頭のジョン・パットン作「Funky Mama」は直にこの曲が好きだったわけではないのですが、オルガン・ジャズは好きかもということを教えてくれ、そこからベビーフェイス・ウィレットにドハマりしたのでした。

ジンジャーというお店に関して、「ジャズ喫茶ではない」ということはそれなりに強くアピールしておりまして、店の営業時間内はあまりジャズはかけません。でも別にジャズが嫌いなわけではなくて、それなりに聴きます。

ルー・ドナルドソンのように、アナログレコードで聴くことを諦めているアーティストなどは、今さらですがCDでも構わないので、もう少し聴きたいな、聴こうかなと思います。本当にそれだけなのですが、アナログレコードをウリにしているお店などをやっていると、案外聴く機会が得られないものなんです。この辺の音源、案外自分がスタンダード・ナンバー好きであることも知れて、落ち着いたらその辺をしっかり整理しながら聴いてみたいなと思わせてくれます。

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