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7インチ盤専門店雑記442「サブカル近現代史各論1:50s60s終了!」

GINGER.TOKYOには、月一回開催している音楽のトーク・イベントがありまして、そのことがこのカフェめし屋の最大の特徴であるはずなのですが、そのことを理解している人間は参加されている数人の方々だけなのではと思います。このイベントに集まってくる方々は、それぞれに特異なバック・グラウンドをお持ちの方ばかりという気もしますが、おそらくご本人は皆さんそうは思ってないのでしょう。私も含め、無自覚な人間の集まりなんでしょう。まあ類友です。音楽が好き過ぎて海外に出てしまったとか、フツーではない音楽好きの皆さんです。

このイベントは開店後、比較的に早い段階で開催し始めましたが、最初の頃はフツーの音楽イベントだったんですけどね。だんだん年表的な資料が充実し始め、ご要望も細かく微妙にエスカレートし始め、こちらも「それならこれでどうだ」とばかりに資料を作り込んでみたり、「もう大学の講義だな」と言われるレベルにまで内容を濃くしたりしたもので、しかも休憩は各自勝手にということで、私はぶっ通しで3時間しゃべるので、あまりの熱量に逃げ出してしまった方も多くなってしまいました。

現在参加されている方は正直言って「強者」です。あの大学の講義みたいなサブカル論に3時間つきあえば、フツーは疲れるでしょうし、嫌にもなるかもと思います。でもイベントが終わった直後、開口一番「次はいつ?」ときます。皆さんニコニコと満面の笑みで「次回も参加します」とおっしゃいます。今回も「次は70年代だよね、3月は80年代やるんだよね」と確認され、全く「NO」という隙は与えてくれません。こちらも終了直後から、次回のプレイリストや構成を考え始めている…というか、60年代後半あたりの準備段階でもう70年代のことも考慮に入れておりますけどね。

正直言って、「カフェで開催しているDJイベント」ではありません。音楽は何十曲かは聴きますが、あくまでトークの流れの中での話であり、黙々とターンテーブルを回しているイベントとは質が異なります。例えば、次回70年代ですと、シンガー・ソングライター・ブーム、ニュー・ソウル、プログレやハードロックの勃興、グラムロック人気、日本国内のフォーク・ブームにアイドル人気、ディスコブームにフュージョンの萌芽、コペ転的パンク/ニューウェーヴ、産業ロックといった括りで音楽はかけます。

一方でトークは今思いつくだけでも、ヴェトナム戦争の泥沼化~サイゴン陥落、オイルショックとウォーターゲート事件の影響、列島改造論とインフラ整備、コンビニやファストフード登場によるライフスタイルの変化、鉄道100年と集団就職の終焉、73年出生数のピークアウトとコインロッカー・ベイビーズ、家族の変容、世紀末思想とパニック映画ブーム、オカルト映画ブーム、哲学の流行(デカンショ~ニーチェ)、連合赤軍~日本赤軍と学生運動の衰退、オーディオ・ブーム、ヴェトナム戦争の後遺症、音楽のポータブル化/パーソナル化…などといった切り口になります。

この音楽的な流行などと世相・歴史事象を縦糸と横糸にして紡いでいくようなもので、トークの流れに見合った曲をかけて行くことになります。…単にヒット曲や人気曲をかけるようなDJプレイとは別物であることは、ご理解いただけますでしょうか?ポスターからは全く読み取れない内容なんですけどね。

…案外面白いみたいですよ。

ポスターに載っているレコードをかけるわけではありません

せっかくですから、50s60sの回のプレイリストを掲載しておきます。9曲目の「テレビで流れた名曲紹介」という部分が30分ほどありまして、洋物ドラマのタイトルバックや各種番組のOP曲、各種CM、シャボン玉ホリデーでのクレイジーキャッツやザ・ピーナッツあたりなどを一気に楽しみました。テレビが娯楽の中心にあった時代ですからね。

70sは2月17日、80sは3月23日開催予定です。

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