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最近のドラマとわたし

いやー映画見てないんですよとにかく。映画館いけなくなってから。自宅で配信で2時間映画を観る集中力がなくなってる!!超絶ゲーマーの役員が「ずっと家にいていつでもできると思うと全然ゲームしなくなった」って言ってたけどそれと同じか。ドラマフリーク・映画フリークたちが「ずっと家にいるとかえってドラマも映画も観ねえ・・」ってなってそう。なんだか落ち着かないよね。いつもだったら、ダラダラ布団の上で5時間とかドラマ観られたのに、1時間で疲れちゃうよね。それでもまあちょこちょこドラマはずっと観ている。そんなわけでドラマのことでも書こうかな、どっこいしょ。と思って書きます。

1.ベター・コール・ソウル Better Call Saul

あの伝説のドラマ、ブレイキング・バッドのスピンオフドラマ。もはやスピンオフという言葉で定義しきれる範囲を優に超えた傑作。ブレイキング・バッド、ベター・コール・ソウルの2作合わせて、アルバカーキ・サーガとして、テレビドラマの最高傑作と再評価されるに違いない。

まだブレイキング・バッドも観ていないって?君・・・人生これから楽しいことしかないじゃないか。BBとBCS合わせて、全部で112時間も、至福の時間が確約されているんだよ。この112時間、それに加え、傑作ぶりに興奮して鼻血流して涙流して喜ぶ時間も合わせれば、緊急事態宣言なんてあっちゅーまに過ぎるぜ。

さて、そんなベター・コール・ソウルの待ちに待った Season5が2/24から公開され、10エピソードの配信が先週の火曜、4/21に終わった。この2ヶ月の間、リアルワールドは未曾有の変動・変容を経験した。わたし個人も、心身ともにどうにかアジャストしようと奮闘する間、心の錨のようにこのドラマを毎週楽しみにしていた。いやー、素晴らしかったよ。こんなにも素晴らしい作品を、リアルタイムで体験できることへの感謝で、なんとか毎週火曜日の夜、気持ちを持ち直す、そんな10週間だった。

このドラマの凄さは筆舌に尽くし難いわけだが、じゃーそもそもnoteなんて書くなよって話になるからな〜。言うとすれば・・・

人間の倫理観の危うさ・複雑さ、非合理性、予測不可能性を、抑制の効いた硬派な作劇で魅せる、硬質で乾いたドラッグ・カルテルと弁護士たちの仁義なき戦い・・というところか。

善悪の境をゆらゆらと綱渡りしながら、人生の手綱を握り締めようともがき、必死で生き残りを探る登場人物たちの魅力がまた素晴らしい。犯罪者、法律家、資産家、警察官・・それぞれ立場上、倫理のありようは明確であるはずのものたちの、曖昧で複雑な倫理観が混ざり合う様子が、リアルで、ディープで、観てて唸り声しが出る。それぞれの抱えた屈託、内面に秘めた謎が、えも言われぬ余韻を残す。

製作のヴィンス・ギリガンとその脚本チーム・製作チームのやり方が洗練されすぎているんだよなあ・・・派手さやわかりやすいドラマタイズはないのに、ドラッグ・カルテルものならではのアクション、バイオレンス、犯罪、ツイストの要素もバキバキに入っていて、「マーーーージーーーーでーーー!!」って展開も多々ある。巧すぎるよ・・・ってつぶやきながら観てる。

ああ、Season5終わってしまったよ・・とても寂しい。この機会にブレイキング・バッドから見直そうかな、なんていう廃人的発想もちらりと頭をかすめる、そんな自粛期間であった。

2.オザークへようこそ OZARK

これまたブレイキング・バッドに匹敵する、最高のドラッグ・カルテルドラマ。まじで何回でも顎が外れそうになるから!!!顎いくつあっても足りないよ。

ブレイキング・バッドはしがない化学教師、ベター・コール・ソウルはしがない小物弁護士を主人公に据え大成功したドラッグ・カルテルドラマだが、このOZARKはしがない会計士が主人公。またその平凡さと悲哀がいいよねえ・・・会計士だよ会計士・・・

しかしこの会計士、只者ではないのであるよ。夫婦共々、そもそものところから倫理観が普通じゃないし、深みにハマってどんどん常軌を逸していく。果ては子供たちまで・・・ものすごい独特な道徳教育だよね、あの一家。どこにでもいる中流階級の家庭だったはずが、資金洗浄をファミリービジネスとする家族に変貌する、っていう。

たまたま事務所を訪ねてきたやり手の実業家風の男に頼まれ、彼の会計帳簿をチェックした主人公・マーティ。数字が大好き、数字を信頼し、数字から見えた事実に忠実な、数字の虫マーティ。それ以外に取り立てて取り柄のないマーティ。しかし彼はそこで数時間で横領を見抜き、その実業家風の男の信頼を勝ち得てしまう。その男、メキシカン・ドラッグ・カルテルの幹部、デル。これがまたいい男なのよ・・・インテリ・ヤクザってこうじゃなくちゃ!って感じの知性と凄みに溢れたハンサムガイ・・・

なんと妻にも相談した上で、そのドラッグ・カルテルの資金洗浄を手伝うことになるマーティだが、数年後、会計事務所の共同経営者が洗浄の過程でカルテルの金を横領していたことが発覚し、目の前で殺される・・・

というお話。

最初はこのしがない会計士にフォーカスして物語が進行するわけだが、シーズンを重ねるごとに、次々と彼を取り巻く女史たちの物語へと変貌していく。

女がドラッグ・カルテルの金を回し、牛耳るというそのビジョンにもうただただわたしは胸熱である。若手の星・ジュリア・ガーナーが演じるルースがまた最高の役柄でさあ・・・ルースのために泣き、叫ぶよ。

各シーズン、全エピソード「まじで・・・・!!」の連続なのに、必ず最終エピソードで顎が3回くらい外れる。Season3もすごかった・・・

Season3がすごかったのは、もう一つ、Tom Pelphreyだ。彼の演じる双極性障害を抱えた、マーティの義理の弟の存在で、またこのドラマは別のレベルに達したと感じた。すごすぎてもう、全身凍りついたよね・・・

このドラマ、すごすぎて本当に1シーズン2日とかで観ちゃうからさ〜、やっぱり自粛期間中には時間がありあまりすぎるわけ。傑作からさっさと観ちゃってもう観るもんねえよ・・ってくらい。とはいえ、まだまだ紹介します。

3.ユーフォリア EUPHORIA

これまた卓越したドラマだった・・最初ちょっとだけナメてた・・・レオ様、グザヴィエ・ドランがフェイバリットに挙げるだけある。

真っ暗で真っ黒な夜空に、色とりどりに明滅する星々、今にも燃え尽きそうで、今にも爆発しそうで、最後の叫びみたいに、全力で発色している。そんなティーンたちの、ダークで、はちゃめちゃにキラキラしていて、悲しくて、寂しくて、キツいサバイバルドラマ。

製作にドレイクが名を連ねているだけあって、何もかもが、超絶にオシャレ。音楽、映像・シネマトグラフィ、カラートーン、ファッション、メイク・・・これでもかこれでもかこれでもかーー!!!ってくらいに、バッキバキにオシャレ。これは当事者であるティーンたちが真っ先に夢中になるであろう。って感じ。

登場人物たちの多様性がまた素晴らしい。トランス女優やプラスサイズモデルを起用しているが「ポリコレ意識」感は一切ない。ただ、現代のティーンたちの自由で境が曖昧なジェンダー観・セックス観・恋愛観を等身大に反映しているように見えて、胸熱。異性愛も同性愛もとても曖昧でいつでも行き来できてしまうような、自由な愛情の感覚・・それが孤独という昏いキャンバスを背景に、ビビットに描かれていてグッとくる。

同じように多様性高く、インクルーシブなティーンドラマでも、ティーンたちの孤独を抉るように描いている点で、結局は明るく優しい気持ちになるSEX EDUCATIONとは対になるようなドラマだ。

大好きな主演のZendayaも最高だった。彼女が普段から持ち合わせている少年性、無頓着さ、飄々とした佇まいに加えて、この役独特の壊れやすさ・繊細さの表現。もともと、Spider ManのMJはキャラクターとして好きって感じだったし、モデル・アイコンとして好きだったけど、このドラマで心底素晴らしい女優だと思った。大好きだよ・・・

メイク可愛かったなあ〜〜〜。自分がティーンだったら真似するかも。

次のシーズンも楽しみだけど、、キツイな〜〜w

まだまだあるけど今日はこの辺で。

4.最近のわたし

そうねえ・・最近ねえ・・

まあ3月下旬からセルフ・ロックダウンしていたので、これまでにないほど長時間、一人で家にいるわけですけどね。

なんか五感の全てに膜が張っている感じというか、何もかもに対して自分の感覚が鈍っているような気がする。感情の抱きようがない、というのか、いや、それとも、感情を感知する感覚が鈍っているのか。何も感じない、というわけではないんだけれど、何もかもに疎くなっている感じ。

わたし、時々こういうことあるかもしれない。自分の外で起きていることに対して、悲しさや怒りが募ると、どこかで「遣る瀬無い」スイッチが入って、諦観のプールの中に潜って水面から外の世界を眺めるような精神状態になる。

だから、ネット上で「今自分に何ができるか」と考えて発信して実践している有名人・市井の人たちを見ると圧倒される。

今自分に何ができるか?できるかぎり自宅にいて、仕事を続けることしかないよ。

長く広告産業・メディア産業にいるわたしの仕事はいつでも”extra”,余剰な活動だ。震災の時も真っ先に暇になった。今は、コーポレート・スタッフだから、社内向けにやることがたくさんあってそれなりに忙しいけれど、大きな意味でいうと、”essential”な産業の人たちとは全然違う。

でも、仕事が完全になくなることはないし、すぐに潰れることもない、豊かな会社だ。5月で役職が上がるから、なんなら手取りの金額はこの環境でも増やしてもらっている。でも、別に、世の中の役に真っ先に立てる仕事か、って言ったらそうではない。

給料が途絶えないこと、会社組織がそれでも回ること、従業員の安全を優先できる経営陣であること、感謝は絶えないけれど、「意味のある仕事をしている」感は薄い。

それに、ニュースを見ると、自分や家族が罹ったら、という不安で眠れなくなるから、あまりパラノイアになって追いかけないようにしている。

だから、プールの水底から外を眺めているような、五感が鈍り、文字通り「隔離」されているような感覚が募るのかもね。

noteも何回か書こうとMac開いたんだが、書くことを思いつかない日が続いた。今日だって別に書くことを思いついたかでいうと思いついていないんだけど、とりあえず今日は、無理をしない日と決めてなんとなくMac開いていたら、ドラマの感想は書けそうな気がして、それをよすがに、ここまで進んだ感じ。

5月いっぱいは間違いなく続くだろうな。アジャスト、アジャスト。自分の生活や生き方がどう変化していくのか見守ろう。

みんな、安全にね。

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