現場でけがをしたと
社長が労災の事故の報告に来る
「がいじん なんですよね」
がいじん
という なに人でもない ニンゲン
長い名前をカタカナで書いてもらう
「大工。で いいですか」「いいですよ」
床をね くぎ打ち機で打ってて
ドンドンドンって
ドンの次に
自分の右足のくるぶし
ドンと打っちゃって
70ミリもね ズドンと くるぶしの骨砕けちゃって
釘の頭だけ残って
刺さっちゃったんだよ
日給月給でね
外注なんでね
29さいです。

何年ぐらい働いてる人?
1年半くらいかな
永住権あるのかな。
よくわからないなあ

がいじん としか
社長は言わなかった
がいじん という モノが 欠けて使えなくなった
がいじん という 使いやすい モノが
従業員でもないかれは
これからどうなるだろう
元の身体に戻れるだろうか
大工仕事に復帰できるだろうか
もともと建売現場で
日給月給の低単価で働いていた
がいじんの大工のかれは
日本で
どうなるのだろう





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