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81)ドコサヘキサエン酸(DHA)は腸内の「痩せ菌」を増やす

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術81

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【腸内細菌叢が肥満の発症に関係している】

 肥満は心血管疾患や2型糖尿病のリスク要因であり、近年、全世界的に増えています。WHO(世界保健機関)の2014年の試算では、全世界で18歳以上の成人のうち、過体重(BMIが25.0〜29.9)が39%(19億人)、肥満(BMIが30.0以上)が13%(6億人)となっています。(BMI: Body Mass Index)

1980年から2014年の間に肥満の率は2倍以上に増加しており、欧米では成人の半数以上が過体重か肥満です。したがって、肥満を減らすことが、人類における健康増進と医療費抑制の重要な課題になっています。
 

肥満の発症には遺伝的素因(太りやすい体質)、食事(カロリーや糖質の過剰摂取)や生活習慣(運動不足など)が関与しています。

さらに最近の研究で、腸内細菌叢が、肥満や2型糖尿病や心血管疾患などの多くの代謝性疾患の発症に関与していることが明らかになっています。腸内には500から1000種類、100兆個に及ぶ細菌が棲息しています。この腸内細菌叢の変化が宿主の代謝性疾患(肥満や2型糖尿病や心血管疾患など)の発症に関与していることが明らかになっています。

腸内細菌叢が肥満に関連していることを最初に発見したのは米国のワシントン大学のジェフリー・ゴードン(Jeffrey I. Gordon)博士らの研究チームで、2006年にNatureに発表しています。

An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest(エネルギー収穫の能力の亢進した肥満に関連する腸内細菌叢)Nature 444, 1027–131 (21 December 2006)

腸内の微生物の99%は細菌で、そのうちの90%以上を占めるのがファーミキューテス門(Firmicutes)とバクテロイデス門(Bacteroidetes)です。その他にプロテアバクテリア門(Proteobacteria)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)などがあります。

ファーミキューテス門(Firmicutes)はグラム陽性の真正細菌の一種です。バクテロイデス門(Bacteroidetes)はグラム陰性の真正細菌の一種で、多くは桿菌またはらせん菌の形をとり、嫌気性で、多くの動物の消化器官に分布し、ヒトの腸内細菌の中でも最も大きなグループを占めています。
 

ゴードン博士の研究グループは、太っているマウスと痩せているマウスの腸内細菌叢を調べ、肥満のマウスにはファーミキューテス門の細菌が、痩せているマウスにはバクテロイデス門の細菌が多いことを明らかにしています。人間でも同様の結果でした。

同じ食事をしても、ファーミキューテスが増えると食物からのエネルギー摂取が増えて肥満を誘導します。逆にバクテロイデスは肥満を抑制する作用があります。つまり、バクテロイデス門の細菌がいわゆる「痩せ菌」と言えます。

「痩せ菌」は食物繊維を発酵して酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸を多く産生します。短鎖脂肪酸が腸から吸収されると、脂肪組織がそれを感知し、脂肪の燃焼が促進されます。また、短鎖脂肪酸は小腸からインクレチン(GLP‐1)というホルモンの分泌を増やします。インレクチンには食欲を落とす効果があります。短鎖脂肪酸は全身の代謝を活性化する作用もあります。このような総合的な作用によって腸内の痩せ菌は肥満を防ぐ効果を発揮します。
 

腸内細菌叢は、食事の内容、衛生状況、医療行為などによって変動します。このような腸内細菌叢の変化が、肥満、糖尿病、炎症性疾患、自己免疫性疾患、がんなど多くの疾患の発症に関連していることが明らかになっています。

太った人の腸内細菌を移植すると肥満が移り、痩せた人の腸内細菌を移植すると肥満が治ることが動物実験や人間の研究で明らかになっています。つまり、腸内細菌が宿主の代謝に影響して、肥満や2型糖尿病やメタボリック症候群などの代謝性疾患の発症に関与するので、これらの疾患の治療に腸内細菌移植が研究されています。


【オメガ3多価不飽和脂肪酸は腸内細菌叢の組成を変える】

 痩せ菌を増やすには水溶性食物繊維の豊富な食事が有効です。水溶性食物繊は痩せ菌の餌となって、腸内で痩せ菌を増やします。さらに、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)のようなオメガ3系多価不飽和脂肪酸が痩せ菌を増やすことが報告されています。

ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)のようなオメガ3系多価不飽和脂肪酸は、主に以下の3つの方法で腸内細菌叢に影響を与えます。

(1)腸内微生物の種類と量を調節する。
(2)エンドトキシン(リポ多糖)やIL17などの炎症性メディエーターのレベルを変更する。
(3)腸内の食物繊維の発酵で産生される短鎖脂肪酸のレベルを調節する。

一般的に、DHAとEPAは、腸内の腐敗菌の増殖を抑制し、ビフィズス菌の増殖を促進する効果を発揮します。さらに、腸管粘膜における炎症反応を抑制し、腸内細菌叢に有益な効果を発揮する可能性があります。
 
ラットを使った実験で、DHAとEPAを添加した食餌を与えると、乳酸産生菌とビフィズス菌の数を増やすことが報告されています。オメガ3系多価不飽和脂肪酸は、腸内微生物のバランスを直接的または間接的に変化させ、複数の疾患の発生と発症に寄与する可能性が指摘されています。   

EPAとDHAが豊富な食事は、腸内細菌叢の組成に影響し、有用菌(善玉菌)や酪酸などの短鎖脂肪酸を増やして腸内環境を改善し、全身の健康状態を良くすることが多くの研究で明らかになっています。例えば、以下のような報告があります。

Omega-3 polyunsaturated fatty acids critically regulate behaviour and gut microbiota development in adolescence and adulthood.(オメガ3多価不飽和脂肪酸は、青年期および成人期の行動と腸内細菌叢の発達を決定的に調節する)Brain Behav Immun. 2017 Jan;59:21-37.

【要旨】
背景: 神経発達は、母体および出生後早期の食事に強く影響される。オメガ3多価不飽和脂肪酸は、発達中の脳の重要な構造的および機能的成分である。腸内細菌叢もオメガ3多価不飽和脂肪酸の影響を受けるが、母親と幼少期のオメガ3多価不飽和脂肪酸摂取が、子供の腸内細菌叢の発達と、その後の中枢神経系の機能および行動の結果との相互作用に及ぼす役割についてはほとんどわかっていない。

方法: 妊娠中の雌のC57BL/6マウスとその雄の子供に、対照、オメガ3欠乏食、またはオメガ3補給食を与えた。青年期(4-5週)と成人期(11-13週)の両方で、雄の子供における一連の行動テストを通じて、認知的、抑うつ的、社会的行動を評価した。糞便微生物叢の組成は、青年期と成人期の両方で遺伝子解析によって分析された。

結果: オメガ3多価不飽和脂肪酸欠乏食を与えられた動物はコミュニケーション障害およびうつ病関連行動を示し、 オメガ3多価不飽和脂肪酸補給食を与えられた動物は認知力の向上を示すなど、子孫の幼少期および青年期の行動に微妙な変化を引き起こした。これらの変化は成人期にはさらに顕著であった。
オメガ3多価不飽和脂肪酸欠乏食マウスは、ファーミキューテス門:バクテロイデス門の比率の上昇とLPSに対する全身の反応性の鈍化を示した。対照的に、 オメガ3多価不飽和脂肪酸補給食マウスは、糞便中のビフィズス菌と乳酸桿菌の存在量が多くなっていた。

結論: 認知、不安および社会的行動に関連する精神行動の発達は、子宮内および生涯にわたるオメガ3多価不飽和脂肪酸の利用可能性に大きく依存している。さらに、オメガ3多価不飽和脂肪酸の摂取量の変更によって誘発される神経行動の変化は、腸内細菌叢の組成や炎症の包括的な変化と密接に関連している。
 

オメガ3多価不飽和脂肪酸のDHAやEPAの欠乏は、ファーミキューテス門:バクテロイデス門の比率(Firmicutes:Bacteroidetes ratio)が上昇することを認めています。これは前述のNatureの論文では、肥満マウスの腸内細菌叢の特徴です。肥満マウスでは肥満菌のファーミキューテス門が増え、痩せ菌のバクテロイデス門が減少しています。つまり、DHA/EPAの不足は、腸内細菌叢のファーミキューテス門:バクテロイデス門の比率の上昇をきたして肥満を促進する可能性を示唆しています。

DHA/EPAには肥満を防ぐ効果が知られていますが、DHA/EPAの抗肥満作用のメカニズムとして腸内細菌叢への作用が関与している可能性を示唆しています。(下図)

図:食事から摂取するオメガ3系不飽和脂肪酸とオメガ6系不飽和脂肪酸の比率が低下すると(①)、腸内細菌のファーミキューテス門が増え、バクテロイデス門が減少し(②)、肥満を促進する(③)。反対にオメガ3:オメガ6の比率が上昇すると(④)、腸内細菌のファーミキューテス門が減り、バクテロイデス門が増加し(⑤)、痩せる(⑥)。
 
 
実際に、オメガ3脂肪酸が腸内細菌叢の組成に影響して肥満や代謝異常を引き起こしていることが報告されています。以下の様な報告があります。

Maternal omega-3 fatty acids regulate offspring obesity through persistent modulation of gut microbiota.(母親のオメガ 3 脂肪酸は、腸内細菌叢の持続的な調節を通じて子孫の肥満を調節する)Microbiome. 2018 May 24;6(1):95.

この論文は、前述の論文とは別の研究グループからの報告です。マサチューセッツ総合病院とハーバード大学医学部の脂質医学技術研究所(Laboratory for Lipid Medicine and Technology)の所長のJing X Kang博士の研究グループからの報告です。Kang博士は遺伝子改変技術でDHAを合成できるマウスを作成してオメガ3不飽和脂肪酸の生理機能の研究を行なっています。
 

この研究では、オメガ3(n-3)系多価不飽和脂肪酸を体内で産生できるトランスジェニックマウスを用いた実験で、妊娠中または授乳中の母親の内因性 n-3 多価不飽和脂肪酸産生が、高脂肪食を与えられたオスのマウス子孫の体重増加と代謝異常のマーカーを大幅に減少させることを報告しています。

この効果が、腸内微生物叢組成の包括的な再構築によって媒介されることを明らかにしています。母体の n-3多価不飽和脂肪酸の産生が減少すると、イプシロンプロテオバクテリア、バクテロイデス、アッカーマンシアが大幅に枯渇し、クロストリジウムの相対量が増加しました。子孫の代謝と微生物叢の組成は、子宮内よりも授乳中の母親の脂肪酸プロファイルによってより深く影響を受けました。

この研究は、「成人期の体重増加と代謝機能障害が、腸内微生物叢の長期にわたる再構築を通じて母体の脂肪酸状態によって媒介される」という新しい証拠を示しています。
 
つまり、現代の西洋食によって長期にわたって維持されている腸内微生物叢の状態が、肥満や代謝異常の原因になっている可能性を示唆しています。



【オメガ3多価不飽和脂肪酸は抗炎症作用によって肥満を抑制する】

 DHAやEPAが肥満を抑制するメカニズムとして、DHA/EPAの抗炎症作用も重要です。以下のような報告があります。

A high ratio of dietary n-3/n-6 polyunsaturated fatty acids improves obesity-linked inflammation and insulin resistance through suppressing activation of TLR4 in SD rats.(食餌性n-3/n-6多価不飽和脂肪酸の比率が高いと、SDラットのTLR4の活性化を抑制することにより、肥満に関連する炎症とインスリン抵抗性が改善される)Nutr Res. 2013 Oct;33(10):849-58.

【要旨の抜粋】
n-3 / n-6多価不飽和​​脂肪酸の食事比率は、肥満、インスリン抵抗性、炎症、脂質組成などの代謝マーカーの調節に関係しており、2型糖尿病の発症にも部分的に関連していると推定されている。本研究は、肥満とインスリン抵抗性に対する食事のn-3 / n-6 多価不飽和​​脂肪酸(PUFA)比の影響を調査し、さらに、そのメカニズムを決定することを目的とした。 

ランダムに4つのグループに分けられた32匹のSD雄ラット(グループあたりn = 8)は、次のいずれかの食餌を16週間与えられた:通常の食事、高飽和脂肪酸、高n-3 /n-6PUFA比(1∶1)、または低いn-3 / n-6 PUFA比(1∶4)。肥満とインスリン抵抗性に関連する代謝パラメーターを測定した。

高飽和脂肪酸の食餌を与えられたラットと比較して、n-3 /n-6多価不飽和脂肪酸比が1:1の食餌を与えられたラットは、体と内臓の脂肪重量の減少、血中脂質の低下、耐糖能とインスリン感受性の改善を示した。
興味深いことに、これらの変化は、腫瘍壊死因子α、インターロイキン-6、C反応性タンパク質などの循環炎症性サイトカインの発現レベルの低下を伴っていた。
さらに、TLR4タンパク質とmRNAのレベルは、高飽和脂肪酸食と比較して高n-3 /n-6PUFA比(1∶1)によって著しく発現が抑制された。しかし、n-3 / n-6 PUFA比が1∶4の食餌を与えられたラットはこれらの変化を示すことができなかった。

総合的に、n-3 /n-6PUFA比の高い食餌は、炎症性サイトカインの重要な調節因子であるTLR4の活性化を抑制することにより、肥満および関連する代謝障害を予防する。
 

n-3はオメガ3、n-6はオメガ6と同じです。オメガ3系不飽和脂肪酸やオメガ6系不飽和脂肪酸は、最近ではそれぞれn-3系不飽和脂肪酸やn-6系不飽和脂肪酸とも呼ばれています。

トル様受容体(TLR)は動物の細胞表面やエンドソームにある受容体タンパク質です。TLRは、細菌やウイルスや原虫や真菌などに共通して保存されている病原体関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns)を認識します。

トル様受容体が認識する成分として、細菌表面のリポ多糖(LPS)、リポタンパク質、鞭毛のフラジェリン、ウイルスの一本鎖RNAと二本鎖RNA、細菌やウイルスのDNAに含まれる非メチル化CpGアイランドなどがあります。ある特定の分子を認識するのではなく、一群の分子を認識するパターン認識受容体です。
これらの受容体にリガンドが結合すると、そのシグナルによって自然免疫の応答が発動されます。


TLR4はグラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)で活性化され、炎症反応を引き起こします。炎症はインスリン抵抗性を高めて肥満を誘発します。インスリンは脂肪合成を促進して肥満を促進します。インスリン抵抗性が高くなるというのはインスリンの効き目が弱くなるのでインスリンの血中濃度が増えます。その結果、炎症は肥満を促進します。

つまり、DHAやEPAはTLR4の活性化を抑制することにより、炎症によるインスリン抵抗性亢進を抑制し、肥満を予防します。(下図)

図:グルコース(ブドウ糖)を摂取すると血糖が上がってインスリンが分泌され(①)、筋肉細胞と脂肪細胞へのグルコースの取り込みを亢進し、肝臓での糖新生を抑制して(②)、血糖を低下させる(③)。多価不飽和脂肪酸のオメガ3:オメガ6比率の低下は体内の炎症を促進し(④)、インスリン抵抗性を亢進する(⑤)。その結果、血糖をコントルールするためにインスリン分泌が亢進し、血中インスリン濃度が上昇する(⑥)。インスリンは脂肪合成を促進し(⑦)、肥満を促進する(⑧)。ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)の補充はオメガ3:オメガ6比率を高め(⑨)、肥満を抑制する(⑩)。


【DHA/EPAはアディポネクチン産生を誘導する】

 脂肪細胞の働きは単に脂肪を蓄えるだけでなく、様々なアディポカイン(アディポサイトカイン)という生理活性のあるタンパク質を分泌し、個体の恒常性維持や代謝の調節に大きく関わっています。アディポネクチンはアディポカインの一つで、肝臓や筋肉細胞の受容体に作用してAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、インスリン抵抗性を改善し、動脈硬化や糖尿病を防ぐ作用があります。

インスリン抵抗性を改善する効果は肥満を抑制します。DHA/EPAがアディポネクチン産生を誘導することが報告されています。

Polyunsaturated fatty acids of marine origin induce adiponectin in mice fed a high-fat diet(海洋由来の多価不飽和脂肪酸は、高脂肪食を与えられたマウスにアディポネクチン産生を誘導する)Diabetologia. 2006 Feb;49(2):394-7.

【要旨】
目的/仮説: n-3多価不飽和​​脂肪酸、すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)が豊富な食事は、げっ歯類のインスリン抵抗性と肥満から保護し、健康な人間のインスリン感受性を高めることが明らかになっている。EPAとDHAの抗糖尿病効果が、インスリン感受性を高める体内物質であるアディポネクチンの産生増強を伴うかどうかを検討した。

方法: 雄C57BL /6Jマウスで5週間にわたって肥満を促進する高脂肪食を与えた。DHA/EPA投与群では、高脂肪食の植物油をEPA/DHA濃縮物(6%EPA、51%DHA)で置き換えた食餌を与えた。食物を自由に摂取する場合と、食物摂取量を30%制限する場合の2つの方法で行なった。治療の最後に、脂質とグルコースの代謝および完全長のアディポネクチンとレプチンの全身マーカーを測定した。白色脂肪組織および単離脂肪細胞におけるアディポネクチンおよびレプチン遺伝子発現を定量化し、アディポカイン産生を評価した。
 
結果: 食物を自由に摂取できるマウスでは、血漿中の中性脂肪、遊離脂肪酸、およびインスリンレベルはEPA / DHAの存在下で低かった。
食餌摂取量を制限した場合は、血漿中性脂肪、ブドウ糖、インスリンおよびレプチンを減少させたが、アディポネクチンは減少させなかった。
EPA / DHAは、脂肪細胞でのアディポネクチン発現の刺激と、白色脂肪組織からのアディポネクチンの放出を反映して、食物摂取とは無関係に血漿アディポネクチンレベルを増加させた。
 
結論/解釈: EPAとDHAが豊富な食事の摂取は、食物摂取量や肥満とはほとんど無関係に、アディポネクチンの全身濃度を上昇する効果があり、DHA/EPAの抗糖尿病効果をある程度説明する。
 
 
アディポネクチンがインスリン感受性を高めるのは、このホルモンがAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase:AMPK)を活性化することが関連しています。すなわち、アディポネクチンは肝臓や筋肉細胞のアディポネクチン受容体に結合すると、これらの細胞内でAMP活性化プロテインキナーゼが活性化されます。

糖尿病治療薬のメトホルミンもAMPKを活性化してインスリン感受性を高めます。メトホルミンには体重を減らす効果があります。DHAやEPAもアディポネクチンの産生を増やし、AMPKを活性化するメカニズムで肥満や2型糖尿病やがんの発症を抑制すると言えます。
 
以上のように、海洋由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸(DHAとEPA)は複数の機序で肥満を予防する効果があります。

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ


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