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絶望してないで努力しよう

非常に遅まきながら話題になっていた本を読了した。その本とは、

「the four GAFA −四騎士が創り変えた世界−」である。

非常に有名な話だが、google, apple,facebook,amazonという世界的な影響力を持つ大企業を指して、頭文字を並べたものをGAFAと呼ぶ。本書ではこれらの強大な力を持つ企業を騎士になぞらえている。ここでいう騎士とは、ヨハネの黙示録に登場する、地上の人間を殺す権威を持つ者たちであり、4企業の持つ力の強大さを示している。
タイトルにある通り、世界の常識はどんどん創り変えられているのだ。できることが増え続け、無限に便利になっていく。四騎士がいかにして現在の強大な存在までのし上がったか、その過程での犠牲や、今後騎士になりうる企業についても紹介されていて読み応えたっぷりだった。

とはいえ、通読して私が個人的に受け取れたメッセージは以下の二つだけだ。

1.自覚しておく
2.自分の器を磨くしかない

少数の者が持つにしては余りにも強大な力を、筆者は危惧している。世界を発展させる影響力とは裏返せば、世界を傾けてしまう恐れがあるということだ。これに対しては、1.自覚しておくのが自己防衛の第一歩だ。

私たちはこれらの企業が決して善良ではないと知りつつ、最もプライベートな領域への侵入を無防備に許している。営利目的で使用されることを知りながら、自らの最新の個人情報を漏らしているのだ。

心当たりがありすぎる。
私のiphoneの機種が第7世代であることはいつの間にか知られていて、最新機種がお得に買えることを教えてくれる。また、google検索という行為を通して自分の欲望や行動のパターンだってバレバレだ。更にすごいのは「なぜ知っている?」と不信感を抱かせるだけの隙を与えないところだろう。でも、その違和感すら感じ取らずにいたら、人生はいつの間にか支配されていく。

また、終盤で筆者はこのように述べている。

このかつてないほどの規模の人材と金融資本の集中は、どこに行き着くのだろうか。四騎士のミッションは何なのか。がんの撲滅か。貧困の根絶か。宇宙探検か。どれも違う。彼らの目指すもの。それはつまるところ、金儲けなのだ。

目指すものの第一に金儲けがある限り、情報の濫用が起きたり囲い込みに晒される危険がある。四騎士にあなた個人を救う義理などない、と、改めて知らせている。同時に、ある程度の経済的自由を得て、生きていくために必要な事柄も記してくれている。

・大学に行くこと
・資格や証明を得ること
・何かを成し遂げた経験をすること
・都市に出て働くこと 等々10項目を超える

たくさんの項目を具体的に挙げてくれているが、最初に挙げられているのが内面的要素である心理的成熟だ。

一般的には、頭が良くて働き者で他人に親切な人の方が、考えの筋が通らず怠け者で他人に不快感を与える人よりも出世しやすい。これはいままでも、そしてこれからも変わらないだろう。ときどきなぜこいつがと思うような例外はあるが。
しかし、才能ある人が一生懸命働いても、食い込めるのは世界の上位10億人というレベルだ。デジタル時代の精鋭をふるい分ける要因は他にある。
何より重要なのは心理的成熟である。特に20代では、人によって大きなばらつきがある。一人の上司のもとで決まった作業をする。そしてその形態が頻繁に、そして大きく変化することはほとんどない。そういう前提で仕事をする分野はどんどん少なくなっている。デジタル時代の労働者は数多くの関係者に対応し、一日の間に様々な役割をこなさなければならないことが多い。そのような状況では、成熟した人間の方が有利だ。

ここでいう成熟とはつまり、自分の役割を固定することなく、必要だと感じたものを取り入れられるよう2.自分の器を磨くしかないということだ思った。

自分を取り巻く環境を正しく認識し、できること一つ一つに誠実に取り組む。積み上げた信頼をもとに、時代や企業の波に乗りながら、積極的に新しい自分を創る。

難しいことしか言っていないが、これを逆にすると、

自分を取り巻く状況に無自覚に踊らされ、できることだけこなし、時流を無視して、いつまでも変わらないまま滅びていく。

となる。滅ぶのが嫌ならやるしかない。絶望してないで努力だ。

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