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初春の初子の今日の玉箒手に取るからに揺らぐ玉の緒

孝謙天皇が玉箒を下賜した際に大伴家持が詠んだ大変出来の良い賀歌。

まず音韻。「初」「の」「玉」の繰り返しで大変リズミカルでお祝いに相応しい。

構成。初春という大きな時間軸からだんだんカメラがズームインしていく。初春→初子→今日→玉箒→手と、どんどん小さいものになって、最後は玉箒の飾りと命という二重の意味を持った「玉の緒」で終わる。初春という大きな時間から命という個々の人間の本質に至る。

内容。玉の緒の二重の意味が最大限活かされている。玉箒を手に取った瞬間に飾りの玉が揺れる、その情景そのものがめでたいのはもちろん、手に取った瞬間に心が喜びに溢れる様が「手に取るからに揺らぐ」という句から目に浮かぶよう。私の生命そのものが喜びに打ち震えているのです、ということである。

ということで、本当に良く出来た、新春に相応しい歌です。

実は元旦にこの記事を書いて推敲しようと思っているうちにいろいろなことがあり
お祝い気分でもなくなってしまったのですが
これ以上大きな災いが起きないことを祈って。


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