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花の香り

こんなこと喋ったらダメだ。
そう思って押し込めていた言葉を外に出したら、ものすごく楽になった。
iPhoneがふるえて、いいねがついたことを知る。ほんの小さなことなのに、まるで世界に受け入れられているみたいに安堵する。インターネットがあってよかったな。わたし一人じゃない。だから変化できる。

感動的なことがあった。#Kutoo の国会答弁がすばらしい形で終わった。
一年前、石川優実さんが口にしなければはじまらなかったこと。
わたし自身、デパートで働いていたころ、当然のようにパンプスをはいていた。同じ仕事をする男性職員は履いていなかったのに。そして、足の痛みに耐えかねてやめた。それを当然、仕方がないことだと思っていた。
だけど違った。おかしいことだった。石川さんが言葉にしてくれなければ、おかしいということにすら気がつけなかった。

今日、#Kutooが、真っ暗で希望のかけらもない国会で、与党と野党の懸け橋になりかけた。
なった、と言い切るのはまだ時期早々、楽観的すぎると思う。でも、本当に嬉しかった。
だから、これをはじまりにする。おかしいと思っていたことを少しずつ口に出す。絶対に黙らない。言葉には力がある。そして、人が話す、その行為にはわたしたちが思う以上の力がある。言葉を信じる。言葉を使う自分の力を信じる。
わたしは、君は、けして、取るに足らない存在なんかじゃない。

今日は3月3日だから、本当だったら子供たちは、ちらし寿司とひなあられの給食が出ただろう。わたしはこのことを忘れないでおく。
明日は花を買いに行く。できれば桃の花。部屋に飾って、香りを鼻腔いっぱいに吸って、お前たちが忘れたってわたしは絶対忘れないんだと、言葉にする。かつて、道なき道を道にしようと命をかけて、おかしいことをおかしいと言葉にした人々が、そうしたように。わたしは誓う。春の訪れとともに。

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