CPRして下さい

今日はHさん(ヘレンさん仮名)について書こうと思います。

彼女はダウンタウンにあるセクションエイトと呼ばれる低所得者用のアパートに住んでいた患者さんでした。ダウンタウンの患者さんは車を停めるのが本当に大変なのであまり取らないようにしていましたが、一緒に働いていたPTの依頼で彼女の照会を受けました。

話はそれますが、低所得者のアパート、それは綺麗で豪華でとても素敵なのです。車椅子でアクセス出来ないといけませんから、バスルームもクローゼットもパティオもとても広々としています。

窓も防音の二重窓で素材もいいです。普通の人が同じような作りのアパートに住んだら月額$2000はしそうな感じで。

サンフランシスコにもありましたね、そう言えば。どこの町にもあると思いますが、セクションエイトの立地はどこでもかなりいい方だと思います。

さてそのHさん、まだ60代の若い方でした。

肺炎を拗らせて入院していたので、ちょっとした動きにも最初はすぐに息が上がってしまっていました。

でもそれも徐々に良くなっていき私をアパートのロビーまで迎えに降りて来られるくらいにまで回復しました。とても気さくな良い人で好きな患者さんでした。

なぜ彼女がロビーまでわざわざ降りてくるのかと言うと内側からドアを開けないと私が入れなかったからです。たまに中に入る住人にくっついて入ることもありましたが、それは稀で大抵迎えに来てもらってました。

ある日、住人にくっついて入ってHさんの部屋まで行きました。

彼女はドアを開けて

Hi Giselle, I’m not feeling well

ジゼル、あまり調子が良くないの

と行ってそのまま後退りし、ソファーに倒れ込むように座ってしまいました。

酸素飽和度を測ると70%しかなくてびっくりした私は

ヘレン!ヘレン大丈夫?いつから調子悪いの?呼吸が苦しいの?

全く返答がありません。

すでに意識はありませんでした。

続く