コラム・謝罪会見でたまに思い出す人々

先ずは、女優、タレントなどで活躍する中村玉緒さん。
玉緒さんが「こんなに面白い人だったのか!」と世間に知られる前は、夫の勝新さんが大麻所持や事務所倒産での多額の負債、撮影中の事故などで度々世間を賑わせる度に、神妙な面持ちでお詫びする姿が世間から同情を買い、逆に心労を心配されるなど「無頼な夫に代わってお詫びする耐え忍ぶ妻」というイメージがありました。
しかし、さんまさんに見出され、バラエティ番組に出演し始めると、独特の笑い声や天然コメント、枠に収まらない自由奔放ぶり(エビの天ぷらの食べっぷりや無類のパチンコ好きなども最高)で、瞬く間にバラエティタレントとしてブレイクし、勝さんが多額の借金を抱えたまま亡くなっても「まだまだ見通しが付きませんグフフフ」と悲壮感0で笑い飛ばすなど、「理想の夫婦」像を確立。晩年、勝さんは、「中村玉緒は勝新太郎無くとも存在するが、勝新太郎は中村玉緒無くしては存在しない」と語るほどの稀有な存在として今もその唯一無二の存在感を発揮しています。

続いて夫で歌舞伎俳優の中村橋之助さんが大名跡を襲名する直前に起こった京都の芸妓さんとの不倫スキャンダルの際に、妻の三田寛子さんがマスコミへ向けた謝罪会見。
天然アイドルとして活躍していた頃と変わらない可愛らしさとアドリブの巧さで世間から絶賛の声が上がりました。雨が降る中、集まった報道陣に気配りを見せ、先代の芝翫さんが雨男で有名だった事から、自分に対し「しっかりとしろよと守ってくれている雨だと思います」という、気象と先代のエピソードを上手く絡めながら、「雨降って地固まるということわざもございますので私も頑張っていきたい」と粋な落ちで締め、夫の襲名に関して「ここからが彼の男としての見せどころになるのを肝に銘じ中村芝翫を継ぐべく人間として頑張ると申しております」とスキャンダルを逆に前向きな力へと変えて、視聴者やマスコミから「よっ!三田寛子!」と合いの手を入れられるくらいの称賛の嵐。帰り際に記者から「離婚は無いですか?」との問いにあっけらかんと「無いでーす!」とチャーミングな軽い返事をする所も完璧でした。自分の事を女の子と言ってしまう感じも違和感なし。
ただ、京都や関西方面の人達から視た三田寛子さんの会見に対する印象は未知数です。

最後は1997年、山一証券が倒産する際に会見を開いた山一証券社長、野澤正平さんの号泣会見。
天下の山一証券が倒産するという「バブルの残り香の完全なる終焉」を体感させる現実と、大会社の社長があそこまで泣きながら会見する衝撃のダブルインパクト。「私ら経営陣が悪いんであって、社員は悪くありません!どうか社員の再就職を応援してやってください!」と涙と鼻水をすすりながら、顔をクシャクシャにして会見する姿に私は、クスッと笑いながらも最後はウルッと来てしまう「人生泣き笑い」状態になりました。

やはり謝罪やスキャンダルに関しての会見は、その人の持っている個性や機転の凄さ、したたかさ、感情などがもろに出てしまう「ごまかしの効かないガチンコ勝負」の様相を呈する一か八かの晴れ舞台といった感じで一視聴者としては、その人の裸の姿が垣間見れる貴重な機会なんで、痺れます。

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