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準備編その6:「プロファイルの作成」

 GiZAIYAだ。突然だが俺のtwitterをフォローしてくれ。 そして俺が自作の宣伝をしたり誰かの宣伝をRTしてたりしたら、お前も「いいね」と「RT」をするのだ。こんなことを云うのはダサイし俺も厭だが、最近の俺のフォロワーにはマジでうんざりだ。俺の作品の告知はスルーするくせにしょうもない下ネタや内輪話には「いいね」を押す。俺は友達が欲しくてSNSをやっているわけではないのに、気安く空リプを送ってるヤツらは俺の活動を応援しようという気配がまったくない。このままでは俺のSNS疲れは加速してしまうので、一度でもいいから「RT」と「いいね」そして応援する気がもしあったら感想を俺に送ってくれ。俺は正直なヤツなので、このようなコトも堂々と云わせてもらうぜ。(でもやっぱり恥ずかしい)


その6:プロファイルの作成


 もう一度確認しよう。これからお前は企画書に相当するものを依頼相手に送る。そのため前回、俺はお前に「相手の気持ちになって言葉を選べ」と云った。だが賢いお前はこう思ったはずだ。「まだ相手のことがよくわからない」と。よって俺はもう少し踏み込んだ話をお前にしておきたい。

 それはイラストレーターをプロファイリングすることだ。こういった言葉は刑事ドラマやサスペンス映画で耳にしたことがあるだろう。いわゆる『身辺調査』に該当するものだ。だがお前はCIAの特殊工作員でもなければサイコパスの精神を分析する捜査官でもないし、相手は犯罪者でもない。ここでいうプロファイルとは、相手のことを関して自分なりのメモを取ることだ。

 まず一言注意しておくが、お前が作るプロファイルはあくまでお前自身の個人的な見解に過ぎない。よって絶対に他人には見せるな。これを他人に共有することは、お前の評判を落とすだけでなく相手のイラストレーターに迷惑がかかると思え。

 重ねていうがプロファイルはお前が偏見で作った勝手な個人情報に過ぎない。間違っても共有するな。あくまでこれはお前が依頼文章を考えるためのメモに過ぎない。それをよく覚えておけ。

 俺自身こういったことを書くと批判されそうでイヤだし「プロファイルなんかするような人からの依頼は絶対に受けない」と云われるかもしれないが、そういったリスクを承知して書いておく。そういった資料を作ることで俺自身がクライアントとして失敗しなくなったからだ。相手に迷惑をかけないため、効率よく気持ちよく仕事をしてもらうための手段を考えた結果、行き着いたのがこの方法だ。


プロファイルの目的


 プロファイルを作る目的。それは次回もっといい仕事に繋げるためだ。相手が気持ちよく仕事しやすいように工夫して、最後には完成する作品の質を上げることだけではなく、イラストレーターとの良好関係を築く。自分が相手にとって気持ちのいい仕事相手になることだ。

 プロファイリング作業についてはイラストレーターとのやりとりの中で気づいたことをまとめておく。これだけでいい。例えば「何が好物か」を書けば、イベント会場などで差し入れをするときや欲しいものリストにある商品を送るときの参考になる。このように、イラストレーターのプロフィールを観に行かなくてもメモを開けば一発でわかるようなことでも書いておくと時間が節約できる。

 相手が毛嫌いする話題なんかも書いておくと、へんに不愉快な思いにさせずに済んだりする。 

 次に「作風」「描き易いもの」「業務的なメッセージに対する返信の早さ」「抱えている案件の種類」等々、作品の品質や仕事に関わる相手の制作スタンスなどを積極的にメモしていきたい。これは良い部分も悪い部分も書くことが大切だ。それは決して悪口ではなく、自分がクライアントとして次に依頼するときの参考にするための資料になると思って間違いない。こういったメモを重ねていくと、数度目の依頼で「前よりも早く原稿があがってきた」あるいは「前回よりも依頼側の指示通りに仕事をしてくれている」というような気付きがある。その場合考えられるのは、イラストレーターの調子が良い、描き易いものだった、スケジュールに余裕があった等々、理由は様々だ。しかし稀に「今回は発注の仕方が上手くて助かりました」と云われるようなこともある。そういったとき、今までのメモと照らし合わせてみると自分自身の発注の仕方で改善すべき点などが見えてくる。

 最後にひとつ。最も肝心なことを伝えておきたい。それはそのプロファイルを作るうえで「どういった依頼の仕方をすればモチベーションや作業に貢献できるか」を常に考えることだ。


プロファイルの例


 よりわかりやすいようテンプレートを作成した。前述したことも含めて、順番に説明していこう。人によっては項目を増やしたりするといい。

好きなもの:
苦手なもの:
趣味:
NG行為:
その他:

 まず『好きなもの』について。前述した通り、差し入れをするタイミングで参考にする。そのような時、「どういったものであれば喜んでもらえるか」それをいちいち迷わないようにメモをしているわけだ。イベント等で差し入れする時は荷物になりそうなものであれば控えるし、交流が深まればふとした会話のなかで「差し入れするので公開リストに追加しておいて下さい」とこちらから切り出すこともできる。

 『好きなもの』というのは何も差し入れするものに限った話ではなく、その人物が好きな作品などについても記録しておく。こちらもその作品を鑑賞すれば前回話した「共通のネタ」として応用を利かせることができるし、雑談のときに出すネタにもなる。企画者であるお前とイラストレーターはビジネスの関係だが、時に交流を深めたほうがいい状況というのもある。これはイラストレーターのスタンスによって変わるものの「極力クライアントとは話をしたくない性格の人」もいれば、中には「依頼者の人柄についてある程度把握しておきたい人」もいるからだ。そういったコミュニケーション能力は『技術』だ。クライアントとして技術を磨くために、俺やお前は依頼のなかで相手に対する最適な対応ができるよう、自分なりに心掛けなければならない。

 二番目の『苦手なもの』は食べ物であれば差し入れ時や飯を食べるときの店選びなんかに配慮できる。だが依頼内容のなかに苦手なシチュエーションがないかどうかをチェックするために最も役立つだ。これに関しては最初に依頼者と連絡をする際、「依頼的にNGなもの、または苦手な描写や表現などはありますか?」と聞くのがいいだろう。依頼内容のなかにグロテスクな表現が含まれ、相手がそれに対してNGを示した場合、引き受けてもらえるか相談するか、別の表現に変更する必要がある。避けたいのは後になってNGだったことが判明するという状況だ。それが原因でイラストレーターの筆が進まなくなるようなことがあれば、それはお前の力不足だと思ったほうがいい。間違っても「何で描けないんだよ」とは思わないことだ。それは会社の上司が部下に思うものであり、クライアントとイラストレーターの関係において抱くようなものではない。お前はこれまでの人生のなかで得手不得手というものが存在することを理解してきたはずだ。それはプロにも云えることで、むしろこうした『出来る出来ない』をきちんと話して合っておくのがプロとして力量を問われる部分なのだ。だから最初の段階でそれを明確にしておく。

 『趣味』は『好きなもの』の項目とほぼ同じ使い方をする。

 『NG行為』に関しては、例えば最近になって身内に不幸があった場合など、それを想起させるような言葉選びはなるべく避けたい。また尊重したい文化などがあった場合はそれを否定すると思われるような言動をしないよう気を付けることもできる。(つづく)

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