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準備編その1:「クライアント化」

 みんな今日の朝飯はなんだった? 俺はポップコーンだった。知ってると思うが体操の内村も野球のイチローも偏食家だ。伊藤計劃はポテチをめちゃくちゃ食ってたせいで『ポテチに発がんの可能性がある』という話が広まった際は母親にマジでやめろと懇願されたらしい。宇宙海賊のコブラは毎日山盛りのコーンフレークを食べる。ウォルター・コバックスは豆だ。なにかを成し遂げる偉人には偏食が多い。俺は毎朝大量にポップコーンを食ってるので絶対に大成するし、この中ではコブラに割と近い位置にいるので間違いなくサイコガンを会得する。わかってくれたか? では真面目な話をするぜ。




準備編その1:クライアント化

 まずこの手の話に興味がある時点でお前は『依頼で描かれた絵』というものが「依頼をする側=クライアント」と「依頼を受ける側=クリエイター」の両者のやり取りによって生まれるものであるということは知っているはずだ。

 さて少しナンセンスな質問をするが、絵というものの誕生は一体どこで決まるのだろう。「ラフ画から?」「線画から?」「完成してから?」「修正してから?」「公開されてから?」作る人によって基準は各々あるだろう。俺は「自分の作品は子どものようなもの」なんていう人とは話が合わないことも多いが、それでも精子と卵子が合体しなければ赤ん坊は生まれないということは知っている。その例えで云うなら合体の前にはセックスという展開が必要だし、物陰に潜んだお前のおちんちんがビヨヨ~ンと伸びて遠距離系の異能力のように異性の陰茎に挿されない限りはセックスの前には出会いが必要で、出会いの前には互いの存在が必要だ。そのように絵の誕生にもきっかけがある。

 これは完全な自論だがイラストレーターとクライアントの関係の始まりは「イラストレーターに依頼すること」から始まるのではない。俺のなかでそれは『ステップ3』の行動であり、その前には2つのステップを踏む必要がある。その1つめがこのクライアント化だ。

 俺たちの関係の第一歩は、クライアントとなる人物がイラスト=『イラストレーターの仕事を必要とする』ことから始まる。個人クライアントは何らかの理由・目的があってイラストを、あるいはキャラデザ等の平面作品をイラストレーターに望むだろう。例えば、俺は文章系のアマチュア同人作家だから小説のイラストを頼むことが殆どだ。イベントで出す本の表紙とwebサイト用の画像。当然ながら小説はあまり買われないのでクリアファイルなどを売ったりもする。それらのイラストはすべて依頼したものだ。

 『クライアント化』の際に大切なのは「どうしてその絵がほしいか」を決めることだ。理由は人によって色々あると思う。ゲーム用の立ち絵だとか、宣伝だとか、用途はなく完全に趣味で「こういう絵が見たいから」という理由で仕事を頼む人もいるだろう。俺はそれをまず明確にして、自分用に簡単なメモをとって文書ファイルに書き出したりする。

 さてこの記事の読者の中には「この段階は省略してもよいのでは?」と思う人もいるかもしれない。そんな人になぜ俺がこれを最初のステップとして考えるか説明すると俺の場合「自分がどうしてクライアントになっているか」を自覚していない時の依頼文書はあやふやなモノになり勝ちからだ。

 自分の発注ミスで望んだような作品が上がって来ない、というような状況が往々にしてあった。その場合はそのまま受け取るか、調整できるようであれば修正を頼むか、一から再発注するかになってくる。いずれも予算と時間次第だが、受け取る以外の選択肢をした場合はその内容を伝えるための作業や思考の時間が増え、イラストレーターにも依頼側にも手間が増えるのは間違いない。

 要約すると「俺はこういう理由でこの人の描く絵が必要だ。だからクライアントになる」まずは依頼する準備として、その自覚を持たなければいけない。相手に仕事を任せる以上は遊び半分でやるわけではない、と自分に言い聞かせる必要がある。(つづく)


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