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【WBC】謎のチームチェコの健闘に拍手


野球好きには何とも言えない幸せな季節である。

昼はプロ野球オープン戦。
夜はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。

仕事終わってWBC観て、その後録画のオープン戦を観て。
野球漬けの日々は楽しい。


WBCの1次ラウンドにて日本が全勝し準々決勝進出を決めたところで、『赤毛のアン』風に今回のWBCの感想を述べるならばこうである。

ここで突然の『赤毛のアン』登場に、読まれている方は「なぜ赤毛のアン!?」と思わずにはいられないと思うが、それは今私が読んでいる本が『赤毛のアン』であるから、と言う理由以外のなにものでもない。


ああ、あたし今ふるえているわ。こんなに素敵なことってそうそうあることじゃないもの。あたし今生きてるってことにとても感謝しているの。まだ生まれていない人はこの光景を観れないんですもの、とても不幸なことだと思うわ。ダルビッシュ選手と大谷選手が同じチームで活躍する日が来るなんて、思ってもみなかったことよ!ああ、とってもぞくぞくっとするわ。けれど「侍ジャパン」って名前はちょっとつまらないと思うの。あたしだったらもっと素敵な名前にするわ。そうね、「ためいきジャパン」なんてとてもいいと思わない?ちょっと神秘的な感じがするもの。それから「ダルビッシュ」って名前、とてもいい名前ね。「ダルビッシュ」って聞いただけでとても精悍な姿がぱっとうかんでくるの。あとヌートバー選手の日本名が「タツジ」なのもすごく味を感じて好きよ。ああ、あたしの名前が「え」なんてとてもつまらないわ。あたしの名前も「えうふぁみあ」だったらよかったのに。


400文字以上使ってしまった。
私にアンのような素敵なネーミングセンスがないのが残念。
何を言っているのかさっぱりわからなかったと思うので、真面目に野球のことを書きたい。


初めにワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について私なりに少しおさらいを。


WBCはメジャーリーグベースボール(MLB)による野球マーケットの拡大、MLBの世界進出を目的に2005年に発案された「野球の国別世界一を決める国際大会」である。

すなわちサッカーにおけるワールドカップのような大会を野球でもという気持ちで始まったWBC。
しかしMLBがすべてを一方的に決めてしまったため利益配分はMLB中心、すべてアメリカの審判員(第1回大会のみ)であること、さらに開催は調整しづらいリーグ開幕直前の3月、などなど問題が多く、当初日本は参加を渋っていた。

そんな日本にMLBは「お前らが参加せずにこの大会が失敗したらお前らに損失補填させるからな」「参加しなかったらお前らの事ハブるぞ」的な脅し説得を行い、日本は渋々参加を表明する。

2006年3月のWBC第1回大会に渋々参加した日本であったが、始まってみれば大盛り上がり。紆余曲折の末優勝を決め、日本でのWBC人気は絶大なものとなった。
2009年の第2回大会も優勝、2013年の第3回、2017年の第4回は3位という成績を残している。

ちなみにどの国(地域)で出場するかの資格はオリンピックと違いゆるゆる。
本人の国籍が無くても親が国籍を持っていればOK。(今回日本チームに参加のヌートバー選手はこれに当てはまる)
その国で出生、その国の永住資格あり、その国のパスポートの取得資格ありなどでもOK。



さて今回のWBC第5回大会、準々決勝進出を決めた日本であるが、1次ラウンドをがっつりテレビ観戦して個人的に興味深かったのがチェコ戦。
私の中でチェコといえばボヘミアガラスで有名なヨーロッパの国くらいの知識しかなく、失礼ながら野球の国際大会に出場するイメージは皆無だった。
事前情報ではほとんどの選手が野球以外の職業を持っているという謎の社会人チーム。
いったい日本相手にどんな野球をするのだろうと興味津々でテレビ観戦した。

日本先発の佐々木朗希選手はいきなり160キロ台の速球をバンバン投げ込むが、チェコの選手は力強くスイング。変化球には空振りが目立ったが、ストレートは打ち返してくる。
チェコ3番バッターのフルプ選手が佐々木選手自慢のストレートを見事にはじき返し二塁打にしたのはすばらしかった。その後エラーがらみとはいえ1点先制したのもお見事。

その裏、チェコ先発のサトリア選手(職業電気技師)の投げる球は球速120キロ台。何の変化球だろうと表示を見ると、なんとストレート。
驚いた。
日本では120キロ台のストレートを投げる投手は高校野球でもあまり見ない。遅い。佐々木選手の160キロストレートを見た後の120キロはとんでもなくゆるく感じた。
その後に110キロ台のぬるっとした変化球。これは何だ?と表示を確認すると、チェンジアップ。ストレートとチェンジアップの球速差はあればあるほど良い。しかしサトリア選手のそれは10キロほど。

打ち込まれてしまうのでは……。

余計な心配をしながら観ていると、不思議なことに日本の巧打者、強打者が面白いように空振り。あのぬるっとしたチェンジアップにまったくタイミングが合わない。皆、苦笑いを浮かべながらベンチに引き上げていく。

これは面白いことになったと思った。

私は野球好きだが、あまり理論的なことには詳しくないのでちょっと自信がないが、「チェンジアップ」という球種について。

まっすぐな軌道で投じられるストレートとまったく同じ腕の振りでゆるい球を投げ打者のタイミングを外す、いわゆるフェイント的な変化球。
ストレートだっ!と思い振ってしまった打者は緩い球を待ちきれずに空振りしてしまう、恐ろしい魔球。


失礼ながら実力では格下のチェコが野球大国日本に大健闘する姿に、わくわくし、いつしかチェコを応援している自分がいた。
その後もサトリア選手のチェンジアップは日本打者たちを翻弄し、ぬるっ、ぬるっと凡打を量産。
さすがに二巡目に入ると百戦錬磨の日本打者たちにタイムリーを打たれてしまったが、サトリア選手、3回3失点は素晴らしい投球だった。

チェコ選手たちの爽やかな戦いぶり、野球が楽しくてしかたがないといった様子を見ていると、これからチェコはきっと強くなる。
そんな気がしてならない。
佐々木朗希選手のヒーローインタビューをベンチで楽しそうに見守るチェコ選手たちを見て、うれしくなる野球好きの私であった。


さあ侍ジャパン、次は準々決勝だ。

楽しみはまだまだ続く。







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