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なぜ今、学生がグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションを学ぶのか?(1)

ここ数年で、大学や高校を中心に、日本各地でグラフィックレコーディングや、ビジュアルファシリテーションを学生が学ぶ授業が加速度的に増えてきています。

BRUSHメンバーも、2017年11月には青山学院大学、千葉大学からお声をかけていただき、授業を行ってきました。

今回はその授業の様子と、先生方の思いをレポートします。そして「なぜ今、学生がグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションを学ぶのか?」についてをお伝えしていきます。

▼もくじ
・千葉大学工学部デザイン学科 『コミュニケーションデザインⅱ』(講義:和波里翠)
・青山学院大学地球社会共生学部 『ジオメディア』&古橋研究室(講義:和田あずみ)
・なぜ今、学生がグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションを学ぶのか?~社会という大海を航海していくために~

千葉大学工学部デザイン学科 『コミュニケーションデザインⅱ』(講義:和波里翠)

まずは木村博之先生からご依頼を受けて、BRUSHメンバー和波が千葉大で行った授業から!
多様な人と「伝え合い」「つなぐ」コミュニケーションデザインの技術を身に着けるために、というのが授業全体のテーマ。そのために、2週かけて『情報の可視化』『思考の可視化』『対話の可視化』を、グラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションという手法を通じて学んでいきます。

最初のワークは、「隣の人を食べ物に例えてみよう!」
相手のことを知って、そこからどんなイメージかを考えていきます。

最初は悩みながらも、どんどん描き出す学生さんたち。

大事なキーワードも一緒に描いてくれた学生さんもいました!

実は『例える』という行為は、可視化には欠かせない行為でもあります。
何かに例えて対象を描くということで、描く人が対象を深く理解する必要があるのと同時に。絵を見ている人は絵を見ながら、例えられたものを通じて新たな意味を見出して、考えを深めたり、発見をしていく手助けをしてくれるからです。

続いては、スケッチブレスト!
テーマは『新しい世界一周旅行』です。
同じテーブルの人のアイデアを、スピーディーに描いていくワークです。

アイデアを聴いて、そして描くということを同時にやってみて「難しい~!」と叫びだす学生さんが続出!
しかし、そんな声の量と比例するかのように、どんどんペンも動いていきます!

机の上に、たくさんのアイデア!!
こうしてでてくると圧巻ですね!

こうしてアイデアを描いて共有する、を繰り返して。
アイデアスケッチをやってみた感覚を振り返ります。

多くのグループで「思い通り書くのが難しかった!」という難しさを語り合った後、そしてだんだん効果についても話し合われていったのが印象的でした。
「絵の方がアイデアが伝わる!」「アイデアが一発で分かる!」「素早く描くのが大事なんですね」「アイデアを考えるのが楽しくなる!」
そうした絵の持つパワーを、身体で学んでいきます。

そして最後は『新しい記念日』を考えるワーク!
アイデアをチームで俯瞰して考えるために、グラフィックファシリテーションにおける構造化を手法を学びました。

そしていよいよワーク開始!
まずは個人、そしてチームでアイデアをだしあい、アイデアをブラッシュアップ。
今回は実際にポスター形式にまとめ、プレゼンテーションするのがゴールです!

机の上のアイデアを見て、近づけたり、離したり、カテゴリ化したり。
チームでアイデアをブラッシュアップていきます。

発表時間がせまってくるよ!
「どうすれば、アイデアが人に理解してもらえるか?いいと感じてもらえるのか」を、短い時間で手を動かしながら考えていきます。

そして発表!様々なチームが、模造紙に描いたものをスライドに投影して、自分たちが考えた休日が「誰にとってうれしいのか」「どんないいことがあるのか」について語っていきます。
終始笑顔の絶えない発表会となりました。

そして、最後には授業の振り返りと『コミュニケーションデザインとは何か?』という話に。
「千葉大学工学部デザイン学科の目的である『気づく→見出す→考える→表現する→実践する』の中の、この矢印の部分。こここそが、コミュニケーションデザインです。

学生さんからは「普通の話し合いより会話が増える」「もっと難しいのかと思っていたけど気軽に取り組めてよかった」という声に加えて。
「ファシリとグラレコは別の人間が担うべきか?」というファシリテーションへの質問や、「企業とコラボして実際のPJに対してアイディエーションする」といった今後のアイデアなど、より学んだことを活かしていくにあたっての声もきくことができました。

数年後学生さんたちが社会に出たとき、様々な現場でこの矢印をつなぎ、深めていく役割が大いに求められていくことでしょう。

「可視化するくせをつけることは、ビジネスの世界に入ったとき力になる」と担当の木村先生が強くおっしゃっていたのが印象的でした。

>>なぜ今、学生がグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションを学ぶのか?(2)に続く

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