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283プロのクリスマスは騒々しいくらいがちょうどいい/シャニマス『明るい部屋』感想

クリスマスと言えば、『いきなり!黄金伝説』という番組で、よゐこの二人が無人島生活クリスマス特番で『Last Christmas』を歌ってたシーンをよく思い出します。無人島での無茶苦茶な大騒ぎから一転、ふたり火を囲んでしんみり歌う静けさが、どことなく今回のシナリオイベントの流れに似てなくもない。似てないですね。



さて、みなさんはクリスマスシナリオ『明るい部屋』は読みましたか?回数を重ねるたびにシナリオの構成が上手くなっていくのを肌で感じるような、恐ろしくほど面白い越境シナリオでした。
今回のシナリオ、越境やシーン転換が特に多いし、単純にボリュームがすごい。そうなるとストーリーを追うだけ大変なので、話題をピックアップして書くことにします。


・黛冬優子はオタクを隠せない?

いきなり今回のシナリオの本筋と離れるが、冬優子にフォーカスしたい。

1話にて、現場から事務所に戻る車内でのシャニPと冬優子の場面。渋滞に巻き込まれる前に電車での移動を冬優子に勧めるP。どこで気づいたか、Pにこの後大事な予定があることを「女のカン」で察する冬優子は、生返事をするPに「さっさと行ってやんなさいよ」と言う。
Pの理解者というスタンスを取りつつ、Pの行動に発破をかける言葉を発する黛冬優子の姿は、「Pの最大理解者ポジ後方腕組幼馴染」と呼ぶべきだろうか。

4話では、あさひと果穂の幽霊を見つけた話に、適当な相槌を打って話を切り上げようとしたところ、智代子が歩み寄りと心配の両方で訴える言葉に敗北を感じる。ここのシーン、「この場で何を発言するのか正解なのか」を考えるせいで発言がワンテンポ遅れたり、智代子の発言を受けて脳内反省会をしたり、モノローグ(脳内)で智代子をフルネームで読んだり、冬優子さんなんというか、思考回路が、こう……オタクっぽくないです?

極め付けの6話では、キャロル隊として歌う愛依をちゃっかり見に来ていたり、歌唱を聴いて「まあまあね」と言いつつ満足そうな笑みを浮かべている。その姿は言い逃れできないレベルの「後方腕組彼氏面オタク」

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2020年は「ふゆたちは空中戦じゃ分が悪すぎるわよ…」「あんたはここで冬と死ぬのよ」など、本人の意図していないであろうミームがまとわりついていた一年だったが、半分くらいは冬優子自身の言動が原因であるのかもしれない。2021年、冬優子がどうなっていくのか、だれにも分からない。頑張れ冬優子、(ミーム汚染に)負けるな冬優子。


・はづきさんの感情を追う/シャニマスのシナリオは何を追求しているのか

今年のクリスマスは、はづきさんが話の中心にいた。2年目にして初めて知ったのだが、はづきさんの実家は大家族で、その家族の生活費を稼ぐために掛け持ちでバイトをしているという設定らしい。一応今回のシナリオでもそれを察することができるようになってるが、かなり前から掲載されてた情報らしく驚いた。

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OPからスーパーのパートで発注ミスの対応に少しイライラしてたり、寮の部屋の掃除でアイドルに怪我をさせないようにモノを片づけたり、子供の頃の苦い思い出が度々フラッシュバックしたりと、忙しくクリスマスに振り回されていた。おそらく、父がいなくなってから働き始めて以来、毎年このような忙しさで生きているのかもしれない。そう考えると、今回のクリスマスで得た報酬が同僚からのクリスマスケーキというのは、傍から見ると少ないように思える。

ここで、シャニマスのシナリオのスタンスを考えていきたい。シャニマスのシナリオは誰の目にも明らかなハッピーエンドや明確な正解を得るお話というよりは、登場人物たちが「納得しているかどうか」を重点に置いているように感じられる。
『薄桃色』の千雪も、負けることが分かっていても勝負をして「納得したい」という想いを貫いた物語だった。
『catch the shiny tail』のラストでも、イルミネは「アイドルのセンターとは何か」という問いに「そんなことより私の隣にいて欲しい」と世間一般的な正解を出すことではなく本人たちが納得できるものを見つける話だった。

オレは「納得」したいだけだ!「納得」は全てに優先するぜッ!!でないとオレは「前」へ進めねぇッ!「どこへ」も!「未来」への道も!探す事は出来ねえッ!!              (Steel Ball Run第8巻より引用)

シャニマスのシナリオの書き方は必ずしも大勝利展開があるわけでなく、時には失敗や痛みが残ったままだったりする。それでも、登場人物たちが自分の行動に「納得」を求めて進もうとする意志の尊さが、我々を惹きつけてやまないのだろう。

今回のはづきさんも、ミッシェルちゃん人形と父の言葉を思い出し、アイドルたちが頑張る姿を見て「私は自分がドレスを着るよりも、ドレスを着る誰かを手伝いたい」という自分の思いに納得するに至った。
頑張ってもすぐにはお金も貯まらないし、忙しさも変わらないけれど、彼女は心の中で答えを見出した。その答えは社会的な価値尺度では測れない、はづきさんの人生の大切なものなのだ。EDでのはづきさんの笑顔を見てそう思わずにはいられなかった。

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それはそれとして、やはり283プロに正社員で雇用されるべきなのでは?


・奥の部屋の幽霊はいったいなんだったのか/はづき父と社長の関係、Pと重なる部分

霧子が見た奥の部屋に入っていった影とあさひが見つけた寮の幽霊? は、いったい何だったのだろう。4話にて、果穂は「霧子さんが言うにはあれははづきさんだったらしい」と言っていた。
しかし、時系列を考えると少し妙だ。
はづきさんがおめかしをしてから事務所を出てPと待ち合わせに向かったのが1話、2話冒頭でこたつを出す作業中に霧子が奥の部屋に向かう影を見つけ、奥の部屋に入ってみたら蛾がいたので逃げるために千雪さんの部屋に避難したのが最初。同2話後半、時系列上ほぼ同時刻とみられる買い出し組がPと女性(はづきさん)を発見している。事務所と寮と商店街はさほど離れてはいないようだが、徒歩の女性がそんなスピードで往復できるものだろうか…?
寮に寄っていたとして、誰にも声もかけずに立ち寄ることは彼女の性格上、ありえるのだろうか。
加えて2話時点では、新しい寮を探すために物件を見て回るのだから奥の部屋をリフォームするという発想はまだ無いはず。はづきさんはあの奥の部屋に行く可能性は極めて低い…。
つまり、霧子が見たのは、はづきさんのようではづきさんでない、今は亡きはづきさんの父の霊だったのではないか。
幽霊として出てきたはづき父は何を伝えたかったのだろうか。娘にクリスマスの時期に複雑な思いをさせていることへの後悔か、ちょっと遅めのハロウィンか、特に意味が無いのか、真相はあの蛾とともに飛び去ってしまった。
……とここまで書いたけど、シャニマスのユニット合同シナリオイベントでは頻繁に不可思議な現象が起こって、更にそれが「夢でも見たのだろうか?」くらいでスルーされるされてるので、視聴者側も「はづきさんのお父さんが幽霊になってさまよってたのか~」くらいの感覚で処理していい話題だった。あの世界ナチュラルに異界に連れてかれるし、一体どうなってんだ。


はづき父の話題ははづきさんとの関係だけにとどまらない。天井努社長との関係が、多くは語らないゆえに、妄想を駆り立てる。
いつからの交友関係なのか。コーヒーとタバコが友好の証というのは相当付き合いの長い関係からくるものではないか。あの奥の部屋をはづき父が住んでいたのなら学生の頃からなのか。そもそもあの寮って社長の所有する物件だったりするのか。 「夢を応援する弁護士」ということは283プロ立ち上げに関わっているのだろうか。シャニPとはづき父の笑い方が似ていたりすることに社長は思うところがあるのだろうか。などなど。アイドルゲームなのに、中年男性(CV:津田健次郎)の意味深な過去の匂わせがオタクを苦しめる……。

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明るい未来

他にも寮組ならではの絡みだとか、真乃の「仲良くなった、の」にホロリと涙が出たり、ノクチルがアイドルとしての成長の兆しを見せたり、話の詰め方が半端じゃない。プレゼントが詰められてパンパンになった靴下か?最高のプレゼントをありがとうシャニマス。
次のシナリオや、三周年、ライブなど、シャニマスの未来は明るい。少なくとも、明るくできるように自分たちも微力ながら力添えしていきたい。でも闇鍋状態の衣装ガチャはやめてって何度も言ってるでしょ運営くん。



今回は一旦ここで区切って、次回は放クラメインで書く予定です(書く時間があれば)。よろしくお願いします。

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