Global Research『都市計画・地方創生・SDGs』

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イギリス在住都市計画・地域活性化・SDGsコンサルタント 英/日/EUで活動:リサーチ、翻訳、視察、コンサル業務 日本のまちづくり・地方創生を応援《役立つメルマガ発行中》https://globalpea.com/

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「この割れ切った世界の片隅で」を読んで:東京から見た片隅とは?

「この割れ切った世界の片隅で」を読んで「この割れ切った世界の片隅で」というnoteを読みました。長崎の女子高生が夢をもちながら努力するうちに自分ではどうしようもない壁にぶちあたり、自分の「ふつう」は多くの人の「ふつう」とは違うのだと気が付いてしまう。そんな17歳が自分の経験と気持ちを正直に語りかける。 読む人に「あなたのふつうを教えてください」と呼びかけた投稿が多くの人に響いたようで、たくさんのスキやコメントが付いています。自分の気持ちを代弁してくれたと共感する人も、逆に地

    • パーミアブルな町をひたすら歩く

      引っ越し先の田舎町 イギリス北西部にある長年住んでいた家からノッティンガムシャーの小さな町、Southwellに引っ越しました。イングランドの真ん中あたりにある小さな田舎町です。ここは「パーミアブル」な町の作りがウォーカブルなので、ついついふらふらのんびりとあちこちに足を延ばしてしまいます。 緑あふれる田舎道やミンスター(教会)に付随するガーデン、公園はもちろんですが、町中の街路や小道を歩くことが多いです。この辺りは公共交通機関もまばらで車がないと不便な所。マイカーで通勤

      • イギリスで広がる「ウォームバンク」と暖かいコミュニティ

        12月のはじめから中旬にかけてイギリスには寒波が訪れ、気温が零下になる日が続きました。そんな中、低所得者層に食料を無償で提供する「フードバンク」に続いて「ウォームバンク」が全英に広がってきています。エネルギー価格高騰の冬、誰もが暖かい場所で過ごせるようにという取り組みです。 イギリスの寒波と光熱費の暴騰 11月末に日本に一時帰国するまでは、イギリスで「今年の冬はあまり寒くならないね」と言っていたのですが、12月になってイギリスから「気温がマイナス5度になった」と凍り付いた

        • イギリスの住宅街:新しい袋小路にできた広場で遊ぶ子供たち

          近所にあった病院の跡地が住宅地として再開発されていたのですが、どうなっているのかと気になっていました。通り抜け道路に面した住宅はよく見ていたのですが、袋小路になったところには足を踏み入れたことがなかったのです。好奇心に駆られて散歩の途中に寄ってみると、新たな発見が。 病院跡地の住宅開発 イギリスの我が家は市街地に向かう幹線道路から横道に入った住宅街にあって、建物のほとんどが普通の一戸建て住宅です。年代的にはヴィクトリアンの1890~1900年くらいに建てられたものがそのま

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          地方自治体の人事について:イギリスと日本のちがい

          最近日本からのニュースで山口県阿武町の誤振込の事件について聞きました。詳細が分からないので、事件そのものについては何とも言えないのですが、地方自治体の人事異動について考えるきっかけになりました。日本とイギリスの自治体の人事配置がジェネラリスト養成か専門性を追求するかで対照的だからです。 自治体人事 山口県の阿武町は人口3,000人あまりの、村と言ってもいいほどの小さな町で、こんな「事件」でもなければ、誰も知ることもなかったようなところです。日本中にこういう町や村があって、

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          ブルシットジョブとエッセンシャルワーク

          イギリスで日本相手に仕事をしていると、無駄な仕事にお互いが時間とエネルギーをさくはめになり、日本の労働生産性が低いのもさもありなんと思うことが多いです。労働時間が長いのも、真に必要な仕事をしているのではなく、無駄な「ブルシットジョブ」を几帳面にやっているからではないかと思います。その反面、本当に必要な「エッセンシャルワーク」は、コロナ禍でその価値が再評価されました。コロナを機に、仕事について今一度考え直す人が多く、新しい働き方を模索する時かもしれません。 「ブルシットジョブ

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          ブルシットジョブとエッセンシャルワーク

          まちづくりにおける市民参加:神宮外苑開発再考

          以前、神宮外苑開発についての記事を書きましたが、今回は開発案そのものの是非とは別に、日本の都市計画制度における大きな問題点について述べます。神宮外苑の例で明らかになったのは、首都の重要な地域での大規模な開発について、一般民が知らないままにことが進んでいくということです。神宮外苑の再開発案について最近になって初めて知ったという人が多いのが、それを物語っています。このようなことにならないためにどうすればいいのか、市民参加のまちづくりという観点でイギリスから学ぶところがあるはずです

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          女性に関する失言パレード:年長男性が無意識バイアスから脱出するために

          少し前に話題になった吉野家の「シャブ漬け」発言は、日本社会に根強く残る様々な場面での女性差別問題について改めて認識を強くするものでした。でも、イギリスから見ている私にとっては「またか」だったり「私は逃げ出せた」と一人勝手な安心感でつい済ませてしまいがち。神奈川県の女性活躍事業の話もあいまって、日本で意思決定層として活躍している年長男性の方に一言申し上げたいことを自己反省も込めて書きます。 社会人向け大学講座での「生娘シャブ漬け」発言 吉野家「シャブ漬け」発言についてはご存

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          女性に関する失言パレード:年長男性が無意識バイアスから…

          東京五輪の陰で家を追われる人々

          日本で東京五輪が行われていた時、イギリスBBCが取り上げたのが「東京のホームレスの隠れた姿」という話題。東京五輪のかげで路上生活者たちが行き場を失っているというものです。 東京五輪とホームレス 東京五輪が決まった2013年以降、五輪会場周辺などで生活しているホームレスの人々を当局は厳しく取り締まってきたとBBCは伝えています。日本政府や東京五輪当局は外国メディア、海外の五輪関係者や訪問客に日本のいいところだけ見せたいと望んでいて、目につく場所にホームレスがいたら困るからと

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          日本の難民受け入れ:難民鎖国ニッポン?

          ウクライナから国外に避難した難民が500万人を超えました。ポーランドやルーマニアなど近隣ヨーロッパ諸国を中心に難民の受け入れが進んでいます。日本政府もかなり早い段階でウクライナから避難する人を受け入れると表明しましたが、日本がこれまで他の国からの難民の受け入れに消極的だったことを考えると異例の対応と言えます。これを機会に世界中のすべての難民受け入れへの議論が広がることを期待します。 ウクライナからの難民 ロシアによるウクライナ侵攻開始から2か月近くとなった4月19日時点で

          日本の難民受け入れ:難民鎖国ニッポン?

          「勝利のために耕そう」

          前回、紛争が起こった時には食料安全保障について考えなければならないという話をしました。戦時の食糧不足という問題はこれが初めてではなく、第2次世界大戦時にも多くの国で経験したことです。庭好きな人が多いイギリスでは「自宅の庭のバラや芝生を取っ払って畑にし、自給自足しましょう」というキャンペーンが行われました。 第2次世界大戦時のイギリス イギリスは小さい島国で、あまり農業には適さない国です。狭いだけではなく、日照時間が短く気温も低いときて、天候条件もいいわけではありません。じ

          アロットメント:イギリス市民農園

          イギリスにはアロットメント(Allotment )と呼ばれる、日本でいうところの「市民農園」が全国中にあります。似たような制度は日本を含め世界中に広まっていますが、イギリスが発祥とのこと。その起源や移り変わり、現在の事情について紹介します。 アロットメント・ガーデン「アロットメント」または「アロットメント・ガーデン」と呼ばれる制度は農業を専門としない一般市民が小規模な土地を借り、主に自家消費のために野菜などを栽培するものです。 イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国、米国、

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          ヨーロッパのパン籠がからっぽに?

          ロシアのウクライナ侵攻によって起きるエネルギー問題については既に書きましたが、ロシアとウクライナという2大穀物大国で思いのほか長く続く戦争によって、食糧についても同じような危機が懸念されます。それはこの2国だけの問題、または穀物だけの問題ではなく、世界の食糧事情に大きくかかわってくるのです。 「ヨーロッパのパン籠」の食料生産この紛争が始まるまで、ウクライナという遠い東欧の国については知らないことばかりでした。今ではおなじみになった、青と黄色の国旗についても、紛争が始まってか

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          ゼレンスキー演説から学ぶ発信スキル

          ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1か月になりましたが、未だに戦争は終わりの兆しが見られません。ウクライナのゼレンスキー大統領は各国に向けて支援を要請する演説をしていますが、日本でも行われたので聞いた人もいるのでは? 全く異なる話題ですが、気候変動やSDGsについての情報拡散が難しいという悩みをよく聞くので、彼の発信方法からヒントを学べるのではないかと思いました。 ウクライナ政府の情報戦略戦禍のさなかにある国の大統領が外国の国会向けに演説を行うのは異例のこと。デジタル化

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          脱ロシアと脱炭素:エネルギー安全保障

          ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁の影響から、欧米諸国の脱ロシア化が始まっています。ロシア産エネルギー資源の依存度を下げるために、石油やガスの供給をロシアに大きく頼るヨーロッパ諸国ではエネルギー政策を抜本的に見直さなければならなくなりました。「脱ロシア化」を契機に「脱炭素化」のスピードが速まることになるかもしれません。さらに、世界中でエネルギー政策全般が再点検され、各国は「エネルギー安全保障」について真剣に考えざるを得ないようになってきます。 ロシアのエネルギー資源

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          ロシア経済制裁:ESGとSDGs

          毎日、ウクライナ紛争のニュースが入ってきて、はらはらしています。爆撃などによる被害の様子を見て早く戦争が終わってほしいと願いつつ、自分ができることは何もないという無力感もあります。そんな中、「ESG」とか「SDGs」などの一見関係のないようなキーワードが出てきて、遠い外国に住む私たち一般人でもできることがあるかもと思い直しました。 ロシアのウクライナ侵攻 イギリスではここ数週間毎日、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースばかり。ニュースから流れてくるウクライナ国民の被害の様

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