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国と国、文化と文化、人と人の間に、橋をかける

今回の記事では、「ぐるる」な人が起業した「ぐるる」な会社を紹介します。

新たな国、新たな文化に出会ったとき、人は何をするだろうか。まず周りを見回して今までと何が違うかを見て、そこで自分が何をすればどう受け入れられるかを考えるのではないだろうか。新たな人に出会ったら、その人の話をよく聞き、自分を理解してもらうためにはどうしたらいいかを考えるのではないだろうか。Creative Minds社を起業した小木曽育子さんも、かつてアメリカに10年以上も住んでいた元帰国生だ。日本に帰ってきたときに居場所をつくるのに苦労したから、「聞く力・共感する力・考える力」が身についたと言う。
そしてそれが今、Creative Mindsでの仕事の基本になっている。

たとえば東南アジアから日本の東北地方に観光客を呼び込むにはどうしたらいいか。マレーシアとインドネシアで絶大な人気を誇るアニメのキャラが日本を案内する動画をつくって広める。これはファミリー層向けだ。もっと若い人たちに向けては、インドネシアの国民的コミックの主人公がインドネシア人の高校生たちといっしょに日本に“修学旅行”に来るという設定の動画をつくる。後者はとくにテンポが速く、情報量も多く、ひとひねりしたユーモアが若者に受けるものになっている。これがきっかけで、インドネシアと日本の高校が姉妹校にもなったそうだ。いずれの場合も、マレーシアやインドネシアのスタッフや学生を中心に、彼らが素晴らしいと思った東北地方の魅力を東南アジアの人々にとってわかりやすく面白く伝えている。

Fly With Yaya
マレーシア・インドネシアでは誰もが知っているアニメ『BOBOIBOY』のスーパーヒロイン、ヤヤちゃん
Fly With Yaya


コミックから始まり、アニメ映画やテレビシリーズになり、グッズやアパレルなど商品化もされた、インドネシアでは大人気のキャラクター、『Si Juki・ジュキ』。クリエイティブ・ビジュアル・デザイン専攻の大学生という設定で、人と違うことを誇りに思い、あたりまえの中に潜むフシギを鋭く突くのが得意。


イギリスで生まれた「キモかわモンスター」のファグラー。
Creative Minds社は、玩具人気が爆発している本IPの
日本でのグッズ発売の肝となる商品化ライセンス代理店。

日本の観光地の魅力を海外に訴えるにしても、海外の人気ブランドを日本に売り込むにしても、必要なのは海外と日本と双方の視点を行ったり来たりしながらクリエーターのこだわりとマーケットの特性を融合させていくことだ。AとBと双方の話を聞いてそれぞれに共感し理解したうえで、中間に立って比べ、調整し、何がベストかを考える。どちらに軸足を置くかはプロジェクトごとに異なるが、AとBのどちらでもありながらどちらでもない新たなものを生み出すことになる。まさにThird Cultureそのものだ。

ジュキの原作者は、やがて日本でアニメを作りたいそうだ。そのために、どれだけ日本的なジュキを生み出すことができるだろうか。どのクリエーターとコラボをすることによって日本でも人気が得られるだろうか。ファグラーの商品が日本市場で展開されるためには海外の権利元の意向を大切にしつつ、権利元には日本の商習慣を明確に伝え説得していく調整を行う。まさにThird Culture Kidsとしての力が求められている。興味が湧いたら、「ぐるるで読んだ」と添えてCreative Minds社のとびらを叩いてみるといい。「ものすごくフラットで楽しい会社ですよ」と小木曽さん。「今の仕事に違和感がある人、もっと自分らしく仕事がしたい人、そんな人に向いていると思います。自分がそうだったからこの会社をつくったんです」

文責:古家 淳


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