見出し画像

frozen shoulder  時事英語 #7

by Y

それが始まったのは、夏の終わりでした。右の腕を上げると、違和感がある。とはいえ、最初はそれだけでした。行きつけのバーで「もしかすると、私にも来たのかもしれないんだよねー」と隣に座る友達に話したら「え、腕上げてみて」と言われ、上げてみせると「上がるじゃん。まだ若いし、違うんじゃない?」と片づけられました。ちょっと恥ずかしかった。そうか、違うのか。

でも、違和感はやがて「痛み」と形容するしかないものに変わっていきました。台所の換気扇をつけようとか、棚の奥の物を取ろうとか、特定の動きをすると上腕部にズキンとしたものが走ります。眠るときも、右側に寝返りを打つと肩から腕にかけて鋭いものが走るので、夜中に目が覚めます。そのうち腕は上がらなくなりました。

かと言って、それほど気にしていたわけではありませんでした。事実から目をそらしたかったのか、友達の「まだ若いし」を真に受けていたのか。そのころ、某化粧品メーカーのカタログに載っていた三浦しをんのエッセイと、たまたま読んでいた岸本佐知子『ひみつのしつもん』に同じ話題が書かれていました。なんでこんな話を立て続けに読むのだろう、引き寄せているのかな、と思ったものです。

11月の末、インフルエンザワクチンを受けに行きました。「右手を腰にあててください」と言われたのですが、この動作が痛くて痛くて。考えてみれば、服の脱ぎ着も難しくなっています。髪の毛を後ろでまとめるのもひと苦労です。家人も「尋常じゃないのでは」と言います。そんなわけで、観念しました。近所の整形外科に予約を入れました。

この整形外科はアスリートをよく診ているということで、私なんかが行ってもいいのかな、と思ったのですが、レントゲンを撮ったうえで真摯に診察してもらえました。そして言われたのが「週に2回、リハビリをしましょう」。でも、先生からその言葉は一度も発されませんでした。

ここから先は

1,955字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?