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コロンボ生活立ち上げマニュアル

赴任地における生活立ち上げの経験を記録するべく、過去には「ジュネーブ生活立ち上げマニュアル」なる記事を執筆したことがある。

クアラルンプールに赴任した際は、日本語での情報が既にネット上にたくさんあったため、同様の記事は書かなかった。今回コロンボ編はどうしよう?と思っていたのだが、引越しする過程でネット上に情報が多くないと感じた。どうやら新型コロナ&経済危機の影響で、在留邦人の数がグッと減ってしまったようだ。

上記のような状況を踏まえ、私が2023年現在のコロンボでの生活はどんな感じなのか?をまとめる意味はあると考え、本稿を執筆することにした。尚、記事の内容は私個人の国際機関職員としての経験に偏っており、その点はご容赦頂きたい。


ビザ等の手続き

基本的には職場に任せておけば良いのだが、基本的な流れとしては、(国際機関職員の場合は)外務省及び移民局から各々入国許可証が降りた後に渡航する。入国すると1ヶ月滞在できる滞在ビザ (Visit Visa) が下りるので、パスポート(もしくはUNLP)を移民局に提出し、居住ビザ (Residence Visa) に切り替えてもらう。

ちなみにスリランカでは外国人配偶者という立場では就労を許可されていない。まぁスリランカ自体が移民をあまり受け入れていない国なので、外国人向けの求人は限られている。

引越し

私はマレーシア→スリランカへの引越しを経験したのが、Asian Tigers GroupやAGS International Movers等の国際引越し会社に見積もりを依頼して、結局Asian Tigers Groupにした。日通にも見積もり依頼したのだが、上記2社よりも高額で(繁盛期だったから?)選択肢から除外した。

荷物の送り出しはスムーズだったのだが、スリランカ側での受け取りに一悶着あった。国際公務員なので免税で受け取りできる(=個人輸入という扱いなので)のだが、その必要書類に不備?があったようだ。最終的には受け取れたので良かった。

SIMカード

スリランカにはSri Lanka Telecom (SLT)、Dialog、HUTCHの3大携帯キャリアがある。中でもDialogの方が売れてる印象がある。バンダラナイケ国際空港の到着ロビーでプリペイド式SIMカードを買えるし、市内でも買える。専用のアプリを携帯にダウンロードし、クレカ払いで通信容量をredeemできる。

ちなみに私は日本では楽天モバイルを利用しているのだが、楽天はスリランカでは海外ローミングできないので、注意が必要である。日本の番号を残しておきたい&料金を安くしたい、ということで楽天に乗り換えたのだが、Amazon等のSMS認証を受け取れなくて地味に困っている。

市内〜空港間の移動

バンダラナイケ国際空港はコロンボから北に約35km北に位置している。後述する配車アプリで行くことも可能だが、予約をキャンセルされたり信頼できない面もあるので、私はKangarooCabというタクシー会社を利用している。前日までにウェブ予約しておくと、所定の時間に乗車場所でスタンバイしてくれる。

市内移動

流しのTukTukに乗ろうとすると外国人はボラれることが多いので、基本的には配車アプリを使う。PickMeという現地のアプリかUberを用いる。ダイナミック・プライシングだが、市の中心部での移動ならスリランカルピー(LKR) 300~600/片道ぐらいで済む。まぁ両者ともドライバーから一方的にキャンセルされたり、雨の日は捕まりにくい等の不便さはある。

注意点としては、PickMeはスリランカのSIMがないと登録できない。またPickMeは走行距離に応じて料金が計算されるので、カード払い&ドライバーが走行終了ボタンを押し忘れると、不必要に課金されてしまうことがある。降車時にドライバーが走行終了ボタンを押したか確認する方が無難である。

もっと信頼できる移動手段が欲しいとなると、前述したKangarooCabを用いると良いだろう。アプリから配車できる。料金はPickMeやUberより割高だが、雨の日等でも比較的すぐに捕まりストレスが少ない。

ちなみに自家用車を買うのはどうなのか?と思われるかもしれない(注1)。私も検討したが、結局買わないことにした。スリランカでは(税金の関係なのかよく分からないが)車が非常に高額である。子供もおらず、契約形態もTAだったので、無理して買う必要はないと判断した。一応、国際公務員だと、赴任後最初の6ヶ月間は自動車の輸入が免税だそうだ。日本の中古車を輸入するブローカーがいるらしいので、依頼するのはアリだと思う。まぁそれでも高いが…

市外への移動(観光等による)

あなたが若くてバックパッカーなら鉄道やバスで旅行するという手もあるが、歳を取る&家族ができると、そんなスタイルの旅行は疲れてくる。楽に遠出するとなると現地旅行会社に頼むのが良いだろう。私は↓の会社を利用した。まぁ観光立国スリランカなので旅行会社は他にもあり、各人で調べて欲しい。

買い物

食材や日用品の買い出しはKeelsもしくはCargilsの2大スーパーチェーンのいずれかを利用することになる。Hyde Parkの近くにArpicoという大型スーパーもオススメである。他にもコロンボ市内には中華系食材店がいくつかある。日本食材店は「じゃらんか」という店が1件だけある。

食器や家具等のやや高額な買い物がしたい場合はODELやZ Den等に行くことになる。欧米ブランドの化粧品等はOne Galle Faceモール等に売ってはいるが、品揃えは悪く高額なので、一時帰国時に買いだめするのが良いだろう。

スリランカ生活で困った点は、何と言ってもモノがない点である。2021年頃から始まった経済危機に伴い、外貨準備高の不足から輸入規制が敷かれ、輸入品を中心に品薄な状況が続いている。2023年半ばには輸入規制は撤廃されており徐々に品揃えは改善されるだろうと期待されるが、IMF主導の経済再建は道半ばであり余談は許さない。

また酒類を買う際に少し困るかもしれない。大半のスーパーでは酒類販売コーナーがあり、市中にはリカーショップもある。しかし、スリランカは一応女性が酒類を購入してはいけないことになっているらしく、若干入りにくい雰囲気がある。外国人には適応されてないとのことだが、私家族は外国人がよく出入りしているリカーショップを利用している。ちなみにビールは国産の美味しいものがあるのだが、美味しいワインがなかなか見つからない。日本酒は売ってない。

住居

Expatsは基本的にはコンドミニアムに住むことになる。一軒家を借りるという手もあるのだが、メンテが大変なのと、ジェネレーターが付いていない、というデメリットがある。経済危機下のスリランカでは、しばしば停電に見舞われるのだが、コンドミニアムだとジェネレーターが付いているので速やかに電力供給が回復される。

コンドミニアム選びの原則だが、なるべく築浅を選ぶという点に尽きる。東南アジアのコンドミニアムは経年劣化が早く、メンテが行き届いてない物件もあるので、築10年とかだと住めたものじゃないコンドミニアムも少なくない。内装や景観等の好みもあるので、各人色々調べて欲しいのだが、比較的築浅でexpatsに人気のコンドミニアムを以下に列挙する。

  • The Emperor (日本人が多い)

  • The Residences at One Galle Face (新しい)

  • Colombo City Centre Residences (新しい)

  • Monarch Apartment (日本人が多い)

  • Hilton Colombo Residences (古い)

  • Empire Residencies 

  • On320 Residencies

  • Iceland Residencies (古い)

  • 7th Sense Apartments

  • Residences/Suites at Cinnamon Life (新しい)

  • Havelock City (新しい)

部屋は家電&家具付きであることが多い。部屋を選ぶ際のちょっとしたコツなのだが、内見時に備え付けの家電のメーカーを確認することをお勧めしたい。SINGERというローカルブランドがあるのだが、マジで壊れやすい。Samsung等の海外ブランドの家電の方が安心できる。

水道光熱費は、私の場合はコンドミニアムが一括して徴収していたので、直接払ったことはない。自宅のインターネット&ケーブルテレビは入居者が直接契約するケースが多いが、これもSLTとDialogの選択肢がある。まぁDialogの方が顧客対応等が良いのでオススメである。やはり公営企業に過剰な期待をしてはいけない。

ちなみにスリランカで賃貸契約する際のデメリットなのだが、家賃を向こう3~6月前払いしなければいけない点である。契約時点で、まとまった金を用意しておかなければならない。

銀行

居住ビザが下りた後に、職場の事務スタッフの助けを借りてHatton National Bank (HNB) という銀行で口座を開設した(注2)。スリランカの銀行口座は米ドル口座とLKR口座の両方がデフォルトで付いているので、対米ドルの為替レートが安定しない経済危機下の国ではありがたい。

ちなみにマレーシアでもそうなのだが、スリランカでもexpatがクレカを作ることは難しい。でもキャッシュカードにデビットカードが付いているので、日々の決済は特に問題ない。PickMe等のアプリでカード決済をする場合は現地のデビット/クレジットカードが必要なので、サッサと作ってしまおう。


注1:ちなみに私は運転免許証の書き換えに関する情報は持ち合わせていない。国際機関職員はドライバーを雇っていることが多いようだ。
注2:たまたま私がHNBだったというだけで、他の商業銀行でも問題ないと思われる。

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