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【6/24開催】創造的に考えるワークショップ「クリエイティ部」

 こんにちは、グローカルセンターインターン生の高津です。本記事では、6月24日(土)にStudents Labで開催した創造的に考えるワークショップ クリエイティ部の様子をご紹介します。今回のワークショップの司会進行は、インターン生のみぞ(溝川彩夏)が行いました。

みぞの進行の様子
ワークショップのゴール
ワークショップの内容

ペアインタビューと他己紹介

 まずはじめにアイスブレイクとして、「ペアインタビュー」と「他己紹介」を行いました。ワークショップが始まっていきなり全員の前で話すのはハードルが高くなるため、まずペアになって話す機会を設けました。その後、他己紹介によって、全員に自身のことを知ってもらう形で、アイスブレイクを終えました。

ペアインタビューの様子

 その後、ワークショップの本題として、創造性を発揮する問題解決(以下、創造的問題解決)に取り組みました。ここでの創造的問題解決とは、「複雑で斬新で、定義が不明確あるいは構造化されていない問題に対して、独創的で質の高い解決策を生み出すこと」です。本ワークショップでは、そうした課題として、①マシュマロチャレンジと、②レゴブロックを用いたアイデアのプロトタイピングを行いました。以下では、それぞれの様子をご紹介します。

創造的問題解決①

 1つ目の創造的問題解決は、マシュマロチャレンジです。マシュマロチャレンジとは、パスタ20本、マシュマロ1個、90cmのマスキングテープ、90cmのたこ糸、はさみ、メジャー(計測用)を使って、マシュマロを頂点にしたタワーの高さを競うゲームです。

マシュマロチャレンジで使うツール

 この課題は「高いタワーを作る」という比較的明確な目標を持っています。ただし、最適なタワーにたどり着くまでに、どのようなプロセスをたどるのかは構造化されておらず、自ら手を動かして、試行錯誤する中で解決策を導くことが求められます。また、一般的にチームビルディングを目的として、チーム戦で対抗することが多いゲームですが、今回は「他者と協働する活動」というよりも、「問題を解決する活動」に重点を置き、1人で試行する機会をはじめに設けました。以下は、1回目の個人で取り組んだスコア、その後のふりかえりの様子です。

個人スコア
Aさん:20cm
Bさん:38cm
Cさん:33cm
Dさん:28cm
Eさん:0cm
Fさん:0cm

1回目の最も高いタワー(38cm)
ふりかえりの項目

▼ふりかえり(一部抜粋)
・「材料をどれだけたくさん使うか」と「創造性をどれだけ発揮するか」が高さに関わると思う。その点、材料をもっとたくさん使えば高くできたかもしれない。
・材料をたくさん使うことを意識したけど、上手く使い分けるということが難しかった。次は、最大限活用して、最大限の高さを出したい。
・考えるよりもまず手を動かして、行動してみることが大事。
・記録は0cmだったけど、高さを考える必要のない部分は折って強度を増すために使うなど、工夫ができた。
・たこ糸のより最適な使い方があったかもしれない。

 1回目の試行とふりかえりを行った後、2回目は、個人ではなくペアで行いました。

ペアで行っている様子

チームスコア
チーム1:70cm
チーム2:66cm
チーム3:-72cm

2回目の最も高いタワー(70cm)

▼ふりかえり(一部抜粋)
・(自チームのタワーは)芸術点として、ちょっと傾いてるのがいい。
・アイデアをペアで行うことにより、1回目の反省点を克服するアイデアを生み出すことができた。
・パスタ20本しかないからこそ考える余地がある。
・マイナス評価になったので、2人とも前回よりも低くなった。だけど、1回目の時はお互い土台がなかったことを反省して、それを活かすことができた。はじめは土台を三角形にこだわってたけど、それを捨てた瞬間が創造性の発揮を感じられた。
・なんでもやってみようとチャレンジ精神を持って取り組めた。一人でできないことも2人でやるからこそできた気がする。
・マシュマロ美味しそうに見えた。

 1つのチームは、最後にマシュマロを頂上に乗せた瞬間に机から地面に崩れ落ち、マイナスの記録(実質的には0cm)となりましたが、個人よりもペアで試行した方がとても盛り上がっている様子がうかがえました。ふりかえりの中で、「はじめは土台を三角形にこだわってたけど、それを捨てた瞬間が創造性の発揮を感じられた」とあるように、自らが利用している方法や、考えている枠組みに気づき、そこから脱却した新たな方略を生み出すことが、マシュマロチャレンジにおける「創造的」な要素かもしれません。

創造的問題解決②

 2つ目の創造的問題解決は、以下のシナリオに沿って、レゴブロックを用いて、新しい遊具のアイデアを開発し、そのプロトタイピングを行うことです。

問題のシナリオ(架空の会社)
創造的問題解決②のレゴブロック

 創造的問題解決②は、マシュマロチャレンジと比較して、さらに構造が複雑で、不明瞭な課題です。独創的で質の高い解決策をうみだすためには、自分の経験や知識を総動員して問題を解決する必要があります。また、目標も明確ではありません。「新しい遊具をデザインする」といっても、「いったい新しい遊具とは何なのか。どのような遊具が新しいと言えるのか」を自らで考え、定義して取り組む必要があります。こうした課題にペアで取り組みました。

ワークの様子①
ワークの様子②

 各チーム、非常に面白いアイデアを生み出していました。例えば、子どもが身近に触れる文房具が大きくなった世界を体験できる、「MONO消しゴム」をベースにした遊具を作っているチームなどがありました。

文房具をベースにした遊具

 作業終了後、各チームで作品のプレゼンを行い、他のチームからフィードバックをもらうことで、お互いのアイデアを評価し合いました。また、生み出したアイデアの創造性を評価する基準を用いて、自己評価も行いました。アイデアの創造性を評価するのは非常に難しい作業ですが、評価観点が明示された基準を用いて、評価を行うことは、様々な創造性研究で扱われている手法です。それを体験してもらいました。

評価を行っている様子
利用した尺度(白背景が独創性、黒背景が有用性・問題解決性)

▼創造的問題解決②のふりかえり(一部抜粋)
・独創的という点に関しては、ゲームセンターにあるものを公園に使えないかという考えで作ったので、あまり高いとは言えない。一方で、実現可能性は高いように思えた。活動の中で難しかった点は、最初のアイデアをどう考えるか。
・お互い実現可能性はそれほど高くない。柱の耐久性や、安全面が考えきれていないかもしれないけど、独創的なものに近づいていた気はする。難しかったのは、やはり初めのアイデア出し。お互い遊具で遊んでいた時期から時間が経っているので、どういうものが喜ばれるのかを考えるのが難しかった。それでも、自分が遊んでいた時の感じ方を大切にすることも重要だろう。
・独創性はお互い高い評価をした。ただ、実現可能性として、コストはあまり考えられなかった。安全性と楽しいを両立させるのは難しい。楽しませるには、危険が伴う。
・自分たちがあったらいいと思うものを考えるのが最適かもしれない。

 創造的問題解決②では、どのチームもかなり苦戦している様子がうかがえました。「組み立てる前に考える」のか、「組み立ててから考える」のか、進め方や課題の捉え方次第で、アウトプットも異なります。マシュマロチャレンジは高さというある種の明確な基準をもとに、解決策の質を評価できる一方で、新しい遊具を開発するという課題の解決策は、多角的な視点から評価する必要があります。実社会の問題解決では、1つの明確な基準のみで解決策の質を評価するケースよりも、様々な視点によって評価するケースの方が多いと思います。そのため、より現実場面に近いのは、創造的問題解決②の方かもしれません。

ワークショップ全体のふりかえり

 創造的問題解決①②が終了し、最後にワークショップ全体のふりかえりを行いました。そこでは、「今日1番の気づき」、「今日学んだことがこれからどのようなことに活かせそうか」、「感想」を共有しました。

▼今日1番の気づき
どっちものアクティビティに共通して、やってみない(手を動かしてみない)と、自分にどれほどのことができるのかはわからないということを学んだ。
・自分と違う背景を持っている人から出る意見は、全く違う視点のアイデアを含むところがあり、新しい観点に出会える。
・1人ではひらめかなかったことが誰かと考えるとひらめく。斬新なアイデアを生み出すことに繋がる。
・マシュマロチャレンジ、1人の時も楽しかったけど、2人でやるときの方が、より楽しさを感じた。自分の考えを伝えることで、それを受け止めてもらえると自分に自信が持てる。
・1回やってみて失敗することが大切。

▼どのようなことに活かせそうか
・大学で研究する時に、1人で突っ走るのではなくて、誰かとコミュニケーションを取ったりすることを積極的に行いたい。そうすると、自分1人では考えられない、より良いものが生まれると思う。
・(今日行った課題は)どちらもやってみようという好奇心やチャレンジ精神から出てくる課題であり、そうしたアクティブさを大切にしていきたい。
・学校で商品開発の課題があったりするので、そのときに、視野を広げて、色んな観点でアイデアを評価したり、他の人の意見を積極的に聞くことをしたい。

▼感想
・レゴで遊ぶの楽しかった。
・マシュマロが食べたかった。
・手を動かしながら学べるのは、貴重な時間だった。
・(自分は高校生なので)大学生と話せる機会になった。
・いつもの生活では出会えない人と出会えたのでよかった。

記事の終わりに

 記事を読んでいただきありがとうございました。
 本ワークショップは、私の修士論文のテーマである「他者との協調による創造性の発揮に関する研究-グループ(3人組)と個人の比較-」の実験を一部改変して、学びの要素を盛り込んだワークショップの形で実施しました。
 「創造性」は、なかなか曲者な概念で、非常に難解なテーマだと思っています。だからこそ、このようなワークショップを通して、「色んな人と創造性を発揮する方法をあれやこれやと考える」ことで研究のヒントがもらえると思っています。実際に、マシュマロチャレンジで見られたように、創造的に考えるということは、アイデアを生み出すことだけではなく、自らの思考の枠組みを脱却した方略を見つけ出すということも関係していることに気づかされました。
 大学がオンライン授業から対面授業に切り替わることで、学生は大学に行くことも多いのか、一昨年や昨年に比べて、Students Labは少しだけ閑散としています。しかし、Students Labのような学外の場だからこそ、出会える人や、作れる関係性、実現できる学びがあると思いますので、これからもたくさん企画をしていこうと思います。楽しみにしていてください。ご参加いただいた方はありがとうございました。

執筆者:
グローカル人材開発センター インターン生
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程1年
高津 遥

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