見出し画像

【24/2/6】製造業への新たなる挑戦: EU『修理の権利』法案とその波紋

おはようございます!
GSJ代表の深野です。

2024年2月2日、
EUの主要機関が消費者が家電製品を「修理する権利」を認め、
一つの製品をより長く使える環境整備を企業に義務付ける法案で
大筋合意しました。

この報道がなされたことが
製造業に与えるインパクトは大きなものとなります。

EUで多国間連携で決められたものは
世界のスタンダードになることが
これまでよくありました。

仮にこれが標準化すると、
製造業には以下のインパクトが考えられます。

1.設計と生産プロセスの変革

EU市場への製品供給を続けるためには、
家電メーカーは、一般人が修理できるように
モジュール式化や部品共通化のための設計が必要となります。

当然、修理マニュアルも必要です。
また、製品のライフサイクルが長くなることを前提に
再設計しなくてはいけません。

2.コスト増への対応

1の対応によって初期コストがかかります。
さらに、在庫管理の最適化が必要となります。
一方で、しっかり対応できるメーカーは
ブランド価値を高めることができます。

3.保証とアフターサービスの拡張

顧客が自分で修理することになれば、
何をもって保障とするのか前提が大きく変わります。
なぜなら、顧客が自分で修理する権利があるからです。

また、いかに顧客が自分で修理できるよう
サポートを提供するかが重要になります。
ここにはAIが活用されることが考えられます。

アフターサービスの評判が商品の購入動機に
大きく影響してくることが予想できます。

私は、20年ほど前、
日本のフラットスクリーンが活躍した時代から
韓国メーカーに市場を奪われていく
市場の動きと技術の内側を見てきました。

当時、電子部品の専門家の方が、
日系メーカーの電子部品の品質と
中国で量産している韓国メーカーの違いを解説してくれました。

当時日本製だった電子部品は10年もつようなクオリティでした。
一方、韓国メーカーは、3年くらい。運が良ければ、4、5年くらいじゃないか?
とおっしゃっていたことを今でも覚えています。

では、このEUでの「修理する権利」が
市場とメーカーに与える影響はどうだろう?

私は、日本企業にとって、チャンスになりうると考えます。
良いものを長く使うという素晴らしい文化が
まだこの国のものづくりに残っていることを期待します。

一般社団法人Glocal Solutions Japan
代表理事 深野裕之

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?