【漫画】いじわるキツネとピュアなクマ56「失業ドッキリ」
あれ?キツネ君もう帰ってたの?
あぁ。
どうしたの?部屋の電気もつけないで。
あぁ。
今から晩御飯の準備するから、お腹空いてるだろうけど、もう少しだけ待ってね。
あぁ。
どうしたの?もしかして体調悪い?
あぁ。
何かあったらいつでも相談してね。
あぁ。
(どうしちゃったんだろう。キツネ君。)
(ククク。鈍感王国・国王のクマも、流石に俺の異変に気づいたようだな。そう、これは「俺が突然会社をクビになったらドッキリ」。もう少し落ち込んだ様子をさらに奴に見せて、さらにリアルさを醸し出してやる!)
ご飯できたよ。キツネ君。
あぁ。
やっぱり、体調悪い?少し横になった方が良いんじゃない?
あぁ。
しんどかったら、無理しないでね。それじゃあ、僕先にご飯食べてるよ。もし良かったら、キツネ君も後から来て。
あぁ。
(良いぞ、良いぞ!この調子。クマは俺の体調不良を心配しているようだが、実はそうじゃないんだな。)
(ま、と言っても。実際クビになったのはドッキリで、本当は全然元気なんだが。ククク。)
(それにしても俺。今日は一段と極悪なイタズラ思いついちゃったなぁ。やっぱり、俺はイタズラの申し子。神から選ばれた存在ってことか。)
キツネ君まだそこに座ってたの!?ダメだよ。疲れてるなら、ちゃんとベッドに行って寝なきゃ。
あぁ。
ほら、僕が部屋まで一緒に行ってあげるから。さ、立って。
あぁ。
もしかして、会社で何か嫌なことあったの?
・・・。
何があったか知らないけど、キツネ君は全然悪くなんかないよ。気にしないで!
(クソ。コイツ優しいにも程があるぞ。だが、もう少し。もう少しで、俺のイタズラはフィナーレだ。耐えろ俺。)
明日会社に行きたくないなら、お休みもらったら?一日ぐらい仕事空けても大丈夫でしょ?
(待ってましたその言葉!)
クマ。俺実は会社クビになったんだ。
え、嘘!
って嘘なわけないか。ごめん。そんな大事なことキツネ君が嘘つくはずないもんね。
(そう言われると、逆にムカつくが、ここは黙って演技を続けるしかない。)
すまない。クマ。お前いつも俺のために頑張って支えてくれてるのに、急に俺がダメになったりして。
そんな。ダメだなんて思ってないよ!
正直に言ってくれ!仕事がない今の俺なんて、おっちょこちょいのスカタン野郎だって。
キツネ君が今戦えなくても、代わりに僕が戦うから心配しないで!逆に今がチャンス。こんな時ぐらいしか、キツネ君ゆっくりできないでしょ?
お前・・・。
さ、そうと決まれば、今日はとりあえずゆっくりしよ。疲れた脳みそじゃ、解決しようにも解決できないもんね。
いや。その実はだな、クマ。これはド・・・
ご飯冷めちゃうよ!早くキツネ君も食べよ。
よし、そうだな!
ってそうじゃなくて。
くそ。完全にドッキリだって言える雰囲気じゃなくなっちまった。こんなことなら、最初から嘘なんてつくんじゃなかったぜ。チクショー!
おしまい。