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オープン1年目にして、商業施設へ出店 ~おこめの菓子店~

【店舗開発事業インタビュー】
ぐるなびが、“食”による賑わいの場を創出することを目的に、商業施設の飲食エリアにおいて、コンセプト設計から飲食店誘致、フロア運営まで総合的にプロデュースする「店舗開発事業」のご紹介をいたします。
第2弾は、本事業を通じて新たな店舗形態に挑んだ和洋菓子専門店のエピソードをご紹介します。

鹿児島県産のお米を使用した和洋菓子専門店「おこめの菓子店」。
2022年4月に鹿児島県日置市でテイクアウト専門店として開業し、同年11月には鹿児島・天文館地区の商業施設「CenTerrace TENMONKAN(センテラス天文館)」にてぐるなびが手掛けるフードホール「ぐるなびDining Park」に、1号店とは形態が異なるイートインスペースを併設したお店をオープンされました。

同店の田知行(たちゆき)理子店長の料理人としてのルーツは、イタリア料理。「もともとレストラン出身なので、自分の作った料理を召し上がるお客様の笑顔を目の前で見ることが本当に嬉しいんです。」(田知行さん)とのことから、かねてよりイートイン業態の出店構想はあったそう。とはいえ、1店舗目の開業から新たな展開までの期間はわずか7か月。構想実現に向けた動きは非常にスピーディでした。

「おこめの菓子店」誕生のきっかけは、勤め先であるレストランの運営会社が発足した地域おこし団体が原点。「日置の名菓を生み出したい!」との想いから、日置米に着目したお菓子作りがスタートしました。

小麦から、お米へ。小麦を頻繁に使うイタリアンの世界で研鑽を積んだからこそ、小麦を使わないグルテンフリーの食品に対する需要の高さを実感されていたそうです。「小麦アレルギーのお客様は、どうしてもお断りしなければなりませんでした。もしグルテンフリーのお店があれば、今まで食べてもらうことができなかった方々に喜んでもらえるはずだと思いました。」と田知行さん。イタリアンレストランで働きながら、米粉を使った商品開発をスタート。当時、米粉特有の味わいを生かした素朴なお菓子が米粉スイーツの主流であった中、田知行さんはグルテンフリーであっても、小麦を用いたものと比べ遜色なく楽しめる生菓子類の開発を目指されました。

レストランでパンやデザートを作り多くの経験を積まれていた田知行さんでしたが、米粉を使うとなると工程はまったくの別物。今まで培った技術を一新しなければならない場面も多々あり「グルテンが入っていないと、食感の再現などがどうしても難しく、トライ&エラーの連続でした。」と田知行さん。「レストラン業務をこなしながら試作を重ねる多忙な日々でしたが、作ることが大好きなので、非常に楽しく充実した時間でした。」と当時を振り返ります。

こうして米粉を使ったショートケーキやチーズケーキなどの洋菓子が誕生。「小麦アレルギーの方だけでなく、体調改善などを目的にグルテンフリーの生活をされている方も多くおられ、改めてグルテンフリーのお料理に対する需要の高さを実感しました。」(田知行さん)。
そして2022年4月、満を持して日置市内にオープンした「おこめの菓子店」は、瞬く間に人気店となりました。

時を同じくして開業したのが、センテラス天文館。「実は当店とセンテラス天文館はオープン日が同じなんです。鹿児島を盛り上げるために、うちのお店も一緒に頑張っていけたらいいなと思っていました。」(田知行さん)と縁を感じていたそう。

なんと数か月後、同施設内にある「ぐるなびDining Park」に出店していたスイーツ店の紹介を通じ、出店の誘いが舞い込んできました。「正直、結構悩みました。ただ鹿児島にもっと雇用を生み出したいという当社理念の実践や、『おこめの菓子店』をより多くの方に知ってもらう絶好の機会だと思いました。」と、かねてより温めていたイートイン店舗の企画を実行に移すことを決意されました。

課題は、イートイン業態らしいメニュー作り。商業施設自体オープンから1年も経っておらず売上傾向や季節の動向といった商品開発に必要となるデータが不十分な中での挑戦でした。そうした状況ながらも商品開発に注力できたことについて、田知行さん曰く「ぐるなび店舗開発事業の皆さんのフォローがあったからこそです。その他コロナ禍による半導体不足の影響から機材が手に入りづらい中、設備の手配もお手伝いいただけたのは、すごくありがたかったです。おかげさまで初期投資費用の節約にもつながりました。」とのこと。

センテラス天文館店では現在、米粉生菓子およそ10種をメインに展開されており、一番人気は「塩生チーズケーキ」(350円※本稿執筆時点)。南薩エリアで作られるミネラル豊富な塩を使用されており、生クリームをまとったチーズケーキとの相性が抜群だそう。シンプルなスイーツはもちろん、複雑な構成でこだわり抜かれたケーキ、日置食材にインスピレーションを受けた季節・店舗限定メニューなども楽しむことができます。

商業施設に出店したことで、米粉生菓子のファン層を広げることにも成功されています。「センテラス天文館店には、高校生も気軽に立ち寄ってくださります。こちらで当店を知り、日置店へ足を運んでくださるお客様も多いですね。名菓へと育てるためには自分たちからの情報発信だけでなく、何よりもお客様に愛されるお店になることが重要。『おこめの菓子店』を幅広い年代の方に知ってもらう良いスタートを切れました。」(田知行さん)。

店舗開発事業インタビュー #01】でもお伝えした通り、センテラス天文館の「ぐるなびDining Park」に出店する3店舗は交流が盛ん。「右も左もわからない状況の中、すでに出店されていた他のお店の皆さんにいろんなことを教えていただきました。みんなで『ぐるなびDining Park』をより良くしていこうという結束力が私たちの強みかも知れないですね。」(田知行さん)。

さらに、センテラス天文館に出店したことで、知名度だけでなく信頼度もアップ。「センテラス天文館が立地するタカプラ(旧高島屋プラザ)跡地は、前身となる百貨店『大見高島屋』が1936年に開業して以来、長年天文館地区の中心として多くの人々の生活を支えてきた由緒ある地です。こうした背景を持つ場所に出店したということで、一目置いてくださる方もいらっしゃるんです。」(田知行さん)とのこと。田知行さんにとってもまた、思い出の場所。「高校時代の待ち合わせ場所といえばタカプラ前が定番でした。歴史ある場所から、新しいものを発信していけたら!」と意気込みます。

今後は、日置市内で栽培されているオリーブを使ったお菓子づくりを展望されており、「ぐるなびDining Park」への出店経験を活かした新たなパティスリーのオープンを計画中だそう。目標である名菓づくりに向けて、大きく着実に歩みを進められています。

(編集後記)
テイクアウト専門の路面店から、イートインスペースを併設した新業態による商業施設への出店ということもあり、データやノウハウの不足を懸念されていた田知行さん。「ぐるなび店舗開発事業」の役割は、単に物件や機材をご紹介するだけでなく、出店者が抱える大小さまざまな懸念をご一緒に解消することとの考えのもと、微力ながらお手伝いをさせていただきました。
今後もぐるなびは、「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパス(存在意義)を経営の基軸に、意欲と魅力に溢れる飲食店の挑戦と、食を通じた商業施設の賑わい創出を応援いたします。

【店舗情報】
おこめの菓子店 センテラス天文館店
住所:〒892-0843 鹿児島県鹿児島市千日町1-1 センテラス天文館2F
電話番号:099-210-7521
営業時間:11:00~21:30(L.O.20:30)
定休日:無休


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