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NICUの子どもたちに漆の積み木を寄付するプロジェクト

「木に触れたことがない子どもたちに、漆の積み木を。」の記事を書いたところ、たくさんの方に読んでいただきました。

その後、次のような質問をSNSに投稿したところ思わぬ反響が、、、

Q.木のおもちゃを寄付してくださる方はおられますか?
Q.木のおもちゃの漆塗りを手伝ってくださる方がおられますか?

このプロジェクトのきっかけは、NICU(新生児集中治療室)看護師石田渉さんの、"木のオーナメントを漆塗りしてほしい"という想いから始まりました。

NICUに入院する赤ちゃんの一才の誕生日を、漆塗りのオーナメントで祝うことができ、喜んでくださったご家族の笑顔。
そして、家族の豊かな時間をつくりだした"漆の魅力"に石田さん自身が感動されたそうです

そして新たに、「漆の積み木を全国の病院の子どもたちに届けたい。」という、大きな目標を語り合ったことで、このプロジェクトが走り出しました。


予想を上回る反響に。。。

Instagramで募集したところ、予想を大きく上回るたくさんの木のおもちゃの寄付と、数百名の漆チャレンジャーさん達のボランティアの声が集まりました、、、。


この反響の裏には、実際に入院生活を体験した子どもたちのご両親や、早産を経験したご家族の想いなども聞くことができました。

そして現在、その想いを聞いて、ヌーの群れの"漆チャレンジャー達"が、積み木に漆塗りを施してくれています!

※漆チャレンジャーとは、全国での漆塗りワークショップ、zoom漆レクチャー会、漆塗りキットの販売などにより、「漆チャレンジ」と題して自宅で漆塗りを楽しむ方々のこと

賛同の声

賛同してくださった方のたくさんの声の中には、「木のおもちゃを専門に取り扱うショップオーナーさん」や、「積み木の製造をされている国内積み木メーカーさん」、他にも「木のおもちゃ作家さん」、「病院の関係者さん」などなど、、、僕たちの想いは人から人へ伝わり、ものすごい勢いで広まっていきました。

寄付いただいた積み木の箱の中には、熱い応援メッセージが。

↑いただいたお手紙。是非読んでみてください。

そして、熱い想いでお声がけくださった方々の声を、一部ご紹介させていただきます。
(念のためお伝えしておきますが、PRは一切含んでおりません。)


【国内積み木メーカー 小さな大工さん】

寄付いただいた積み木の一部

小さな大工さんは、福岡県久留米市にある材木屋さんで、20年以上積み木や木製玩具を作り続けておられます。

妻の千裕は、小さな大工さんの積み木を手にしたことも、木のおもちゃにどっぷりハマったきっかけの一つ。

「最近うちの子が入院してたのもあって、、。うちは積み木屋さんだから。積み木が病院の子どもたちの笑顔に繋がるなら、是非協力したい。」

代表の早田さんは、自身のお子さんが入院したときの経験や、積み木屋だからこそできることをしたい!と、ご連絡をくださいました。

社員のみなさんで研磨作業。「小さなお子さんをもつ従業員さんも多いため、みんなで協力体制です!」とのこと、、。

中川家の坊主たちが普段遊ぶ積み木も、KINDIで使っているレール積み木も、早田さんたちがつくる積み木を使わせていただいてます。

キャンプイベントでのワンシーン
外で積み木遊び


【愛知リトルベビーサークル 希望の光代表 五島香奈さん】

息子さんと五島さん

愛知リトルベビーサークル「希望の光」は、低出生体重児(2,500g未満で生まれた子ども)とその家族のためのサークルで、2021年9月から活動されています。
代表の五島香奈さんは、2014年12月に、742gで息子さんを出産しました。

当時、周囲になかなか報告できず、孤独な想いをされ、小さく産んでしまった自分を責めたり、検索しては情報に踊らされて落ち込んで…と、苦しい思いをしたそうです。

その経験から、NICUやGCUに入院しているリトルベビー家族の支えの場を作ろうと「リトルベビーサークル」を設立。
お子さんが大きくなった先輩ママさんや、NICU現場スタッフ、保育士さんまで参加されています。
今や、日本全国にネットワークが広がっています。

今後は何らかの形でサポートしていきたいとお声をくださいました。


【ご自身のお子さんもNICUにお世話になったと語る。名取省吾さん】

名取さんには大切にされているランタンがあります。

2018年製のcoleman バースデーランタン

「レモネード」というタイトルから始まるインスタの投稿に、2018年に製造されたColemanのランタンの写真と共に、大切な想いが綴られています。

キャンパーの間では「バースデーランタン」と呼ばれ、自分や家族の製造年のランタンを集める習慣があります。

2018年、名取さんの娘さんが生まれ、そして亡くなった年です。
一ヶ月という短い間をずっとNICUで過ごし、家で共に暮らすことは叶いませんでした。

お子さんの名前は、「明星(あかり)ちゃん」
明るい星のように輝く人生を歩めるようにと願いを込めて付けられました。
ずっとこのことを胸の中にしまって、周りには言えずに過ごしてこられたそうです。

2021年10月GNUも企画に携わった「キャンプのエピソードを投稿する企画」をきっかけに、自身が制作する「星のコースター」に想いを込められました。
「このコースターが、病院で頑張る子どもたちの笑顔に繋がるなら、是非協力させてほしい。」とご連絡をいただき、わざわざ長野から直接手渡しに来てくださいました。

想いを込めて自身で制作された星のコースター

想いのこもった星のコースターに漆を塗って、子どもたちに届けたいと思います。


【一般の方の声】

他にもたくさんのメッセージをいただいています。SNSに寄せられたコメントより。

NICUも小児科も以前働いていました。
子どもが生まれて木のおもちゃの素晴らしさに取り憑かれてました。
以前看ていた子どもたちのことをおもい出しては、このおもちゃで遊んであげたかったかなって考えていました。
今後は療育の現場で木のおもちゃで一緒に遊びたいと我が子が使わなくなったものも残してあります。
病院での木のおもちゃは消毒の面から諦めていました。漆を塗ればいいって知りませんでした。
今あるものが今必要な子に使ってもらえるならこんなに嬉しいことありません。ぜひ、協力させてください。

Instagramに寄せられたコメント
子どもたちが自分の使っていたおもちゃを寄付してくれました


集まったおもちゃを、漆チャレンジャーさんの元へ

お預かりしたおもちゃは、2024年2月3-4日名古屋東別院で行われたアーバンナイトオウルというイベントで、活動に共感してくださり漆塗りをしてくださる方々に手渡しさせていただきました。
今回使う漆は、GNUから寄付させていただきます。

ここから皆さんには、研磨、漆塗りをお願いしていきます。

GNUの活動を始めた3年間で「漆チャレンジ」という企画を続けてきました。
自宅にてDIY感覚で漆塗りを楽しんでいただけるように、漆塗りできるようキットを販売したり、zoomでレクチャー会を開いたり、作業でわからないことがあるとDMで質問にお答えしてきました。

今回、それによって漆チャレンジ沼にハマった方々が声をあげてくださっています。
イベントに来られなかった方も、今後は郵送などを検討しながら進めていく予定です。

中学生たちが漆塗りで協力!

2022年11月鈴木先生と多治見中学校1年A組漆体験授業

受け渡し会を終え、早速、漆チャレンジャーさん達に動きがありました!

以前、漆体験授業をさせていただいた岐阜県の多治見中学校。

そこには、技術家庭科の先生にヌーの群れの"漆沼男 鈴木祥司先生"がおられます。次年度には先生のご尽力により、多治見中の技術家庭の時間になんと「漆塗りの授業」が組み込まれました。

しかも、漆のことを座学で学ぶだけではなく、鈴木先生の授業では、漆塗り体験もやられます。

今回の積み木受け渡しのイベントの次の日には、校内放送でNICUプロジェクトのことを全校生徒に周知!!

鈴木先生Instagramより。

手伝ってくれる生徒を呼びかけたところ、40名以上の子どもたちで教室がパンパンになりました。

「大切なのは仕上りの綺麗さじゃない。心を届けるプロジェクトだよ」

NICUの子どもたちのこと。人の命の尊さ。それを漆塗りで伝えること。
まさに「漆沼男」鈴木先生の中に燃え盛る炎。言葉と体験を通して子どもたち一人一人の心に火を灯していかれます。

寄付してくださった小さな大工さんの積み木は、
多治見中の生徒たちが漆を塗ってくれてます!

木のおもちゃと漆で、人と人が繋るプロジェクト

スタート当初、これだけ多くの人が携わってくださるプロジェクトになるとは思ってもみませんでした。
ここには書ききれないほどのメッセージやお手紙、寄付のおもちゃが届き、そして漆チャレンジャーさんにお手伝いいただいています。

嬉しいのは、漆チャレンジャーさんが、途中経過をInstagramにて寄付してくださった方のアカウントをメンションしてくださっていること。
プロジェクト自体に一体感が生まれているように感じます。

そして、みなさんの想いは、NICUや小児科に入院する子どもたちの力になりたい。ということ。

今後漆塗りされたおもちゃは、最低でも3ヶ月は硬化期間を経て、石田さんを通じてNICUや小児科の子どもたちに寄付していこうと考えています。

引き続き、Instagramで発信しつつ、noteでも進行状況をお伝えしていきます。
寄付のおもちゃや寄付先の病院などの募集も引き続き行っています。

このプロジェクトの想いが多くの人に届くことを願っています。共感いただける方は、記事をシェアしていただけると嬉しいです。

多くの方が漆とつながり、感動のある豊かな人生になりますように。


GNU urushi craft / 中川喜裕

GNU urushi craftは、「漆文化を広めよう」を合言葉に、様々な”漆の新たな可能性”を探り、5代目塗師中川喜裕が”ヌーの群れ”と共に、漆文化を広める挑戦を続けるプロジェクトであり、コミュニティーであり、アウトドアブランド。


tsumiki salon KINDI / ちひろ

「子育ては幸せなもの」という、自身の出産後に感じた辛い経験を経て積み木に救われた感動を伝えたいと2023年12月活動を開始。
保育士であり二児の母であるCHIHIROが、おもちゃコーディネーターの知識をもとに、積み木の魅力を発信。
「子ども漆器」の開発も手がける。
募集後即完売の積み木サロンも不定期開催。


石田 渉
NICU 新生児特定集中治療室 看護師

救命救急士をしていた父の影響で、幼少期から誰かのために仕事をしたいと考えるように。少年時代に、男性看護師との出会いをきっかけに看護師を目指す。
漆塗りのオーナメントをきっかけに、病院の特殊な環境にいる子どもたちに、本物に触れ合える機会を提供できる可能性を見つける。
夢は「漆の積み木を病院の子どもたちへ。」


参考文献,記事

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