ごめんな。
「結婚」したんです。
末っ子の弟が。
12才離れてるんです、弟。
生まれたばかりの頃
本当に可愛かった。
もう、我が家のアイドルだった。
俺と真ん中の弟二人で
お前のほっぺにチュッチュやってたから
お前のほっぺたは
いつも赤かった。
気持ち悪い兄貴達でごめんな。
オムツを替えてあげたこともあるし
パンツを洗ってやったこともあるんだぞ。
なんかこう. . .ぐ. . .にゃ. . .
あ、そこの描写はいらないか. . . 。
一昨年のお正月
お前が紹介したい人がいるっつって
家族で集まった時
くだらない
変な話ばっかしてごめんな。
あまり慣れてない女の子がいたから
兄ちゃん、恥ずかしかったんだよ。
部屋にギター飾ってるって聞いて
「弾かなきゃギターが可哀想だろ」って言って
取り上げちゃってごめんな。
お前に貰った(弟曰く"貸してる")ギター
たまに. . .
毎日弾いてるよ。
御祝儀幾らにする?と妻さんが訊くので
「. . .万」と言う俺に
「そんなに!?」と驚いてたけど
「アイツがビビるくらい包んでやった方がいいだろ」って
言ってやったんだ。
そう言っちまった手前
内心
違う意味で兄ちゃんがビビっちまったけどな。
ふはは
兄ちゃんはな
見栄っ張りなんだぜ。
話は戻るけどな
あの時俺は高校生で
母ちゃんにお前の面倒見てろって
留守番頼まれてるのをいいことに
彼女を家に呼んでだな
部屋に連れ込んでだな
色々と素敵なことが起こりそうな予感が
最高潮に達しかけてたっつー時にだな
お前が部屋のドアを開けたんだ。
「兄ちゃん. . .」って
消え入りそうな
か細い声を振り絞りながら。
泣いてたなお前。
お前の切羽詰まった表情に気付いた
次の瞬間には
もう既に
部屋中に芳醇な香りが漂ってたっけな。
お前を風呂場に連れてって
服を脱がして
体を洗ってやって
着替えさせてから
兄ちゃん風呂場に戻って
洗ったんだ
ゴシゴシと
お前のパンツを。
なんかこう. . .ぐ. . .にゃ. . .
あ、だからそこの描写はいらないか. . . 。
一仕事終えて
さてと. . . 続きを. . .
なんてわけにもいかないから
その日は彼女には
悪りぃって言って
帰ってもらったよ。
お前がまだ小学生の時に
俺は家を出ちゃったから
あんまり沢山思い出があるわけじゃないんだけど
かと言って楽しい思い出が無いわけじゃないんだけど
お前との思い出で一番良く思い出すのが
この時のことなんだよ。
悪いことしたなぁ
ほっといてごめんなって
未だに胸が痛くなるんだよ。
ってゆー話を
毎年、正月にしてごめんな。
「またその話かよ」って
お前は苦笑いしてたけど
お前のお嫁さんになってくれるあの子は
笑ってたな。
兄ちゃん
なんか嬉しかった。
大して兄ちゃんらしいことしてやれなくてごめんな。
って
さっきから
謝ってばっかだけどさ
幸せにな。
おめでとう。
本当に
おめでとう。