我は今年で四十路である。
四十路である。
念仏のように己に言い聞かせている。
目を覚ませ、お前は今年で四十路だ。

それなのに厨二病が治らない。
己に刻まれた『厨二』という刻印を消せずにいる。

多感といわれる十四のころエヴァンゲリオンに出会った。
衝撃であった。
『キャッ党忍伝てやんでい』で育ち、『ミュータントタートルズ』で
なんか陽気な亀が下水道でピザを食べる、というものがアニメだと認識していたのほほんとしたペンギン村に突如としてセカンドインパクトがやってきた。

アニメオタクにとって90年代は冬の時代だった。
「えーマジアニメ！？キモーイwwww」
「漫画アニメが許されるのは小学生までだよねwwwww」
「キャハハハハハwwwwwww」
を割と地でいく世界で隠れキリシタンとしてサバイブしてきた。
自室にこもって『ﾌﾋﾋwwww』『ｺﾎﾟｫwwww』と作品を鑑賞するのが関の山だった。

何とか真人間になり、就職➡恋愛➡結婚ルートに入るべくcancam、VIVI、non-no、with、KERA、ゴシック＆ロリータバイブル、Cutie、小悪魔ageha等で『可愛らしい女の子』像を調査研究していた。研究だけでは圧倒的に不足している、と気づいたのは20年以上経ってからだった。

エヴァはブームだった。とにかくブームだった。エヴァを観るために一時間以上かけてオタク友だちと新宿まで出かけ、帰り道で『我々がチルドレンに選出される可能性』について話したことも覚えている。AIWAのラジカセで『残酷な天使のテーゼ』を流し熱唱した記憶も残っている。

オタクではあるが男にもモテたい、という両立不可能な野望を抱いたため、唯一仲良く語ってくれたオタク友だちを切捨てて『オタクきんもーwwww』というくそムーブをかましたりなかなかに最低な人間性を発揮しつつも性根にこびりついた厨二をぬぐいされずいる。

久々に観た『天空の城ラピュタ』の呪文詠唱『リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール』から要塞が火の海に包まれるシーンもしびれてしまったし、『ポプテピピック一期』で唐突に始まったゼーレっぽいキングレコード幹部の会議にも『あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ！！！！』とのたうち回ってしまったし、『パターン青！使途です！！！』って振り返るシーンとか何度見ても良いと思うし、ぶっちゃけやりたい。

油断したら黒い指ぬきグローブと赤いバンダナを装着してニヒルな笑いを浮かべてそうだし、普段糸目で飄々としているのにカッと目を見開くと最強になるキャラに未だに憧れてるし、ロボメカを整備する人たちが超カッコいいと思うし、脳内にはイマジナリーな二次元キャラがわんさか居て寂しくないし、『嘘だろうがよ！！！不惑なんざよぉ！！！！』の気持ちでいっぱいである。

厨二なる概念を知って20年ほどになるが、もしかして…この病、不治！？と嫌な予感がしまくっている。天才たちのように夭折できれば、老人になってから『やめてよぉ！やめたげてよぉ！！！！』と泣きたくなるような恥から逃れられるのかもしれないが、悲しいかな圧倒的凡人のためこの先もしぶとく生にしがみつくだろう。どうあがいてもガキのままならふてぶてしく人生を完走してやろう、とまた厨二みたいなことを今日も今日とて考えている。

※『ヘルシング』のウォルターは良いですよね、ほんと、最高です