見出し画像

【ザゴール2編8:「自社対顧客」ではなく「(自社+顧客)対課題」の構図を作る】

このマガジンの過去の記事は上記に入れてます。

 過去のマガジンで改善の理論学習と実践をしてきた紫耀(ショウ)も入社して15年になる中堅社員となりました。製造で現場管理を経験した後、IT推進課を経て再度製造部に戻ってきたようです。
そんな時、紫耀(ショウ)はある日工場長の哲也に呼ばれ、製造管理だけでなく事業管理についても携わってほしいと内示を受けます。そこで、参考に哲也は、問題解決とは何ぞやについてザゴール2を使って紫耀(ショウ)に解説していくことに。今回は第5章「現在から未来へ」を解説します。

・・・・・・・・

◆相手と背景を共有する

🧒;おはようございます。

👨‍🦳;おはよう。今日は5章に入っていこう。前回ダイナ印刷という売却される予定の1社でのトラブルで終わっていたな。少量のロットオーダーで客先の在庫の縮小やキャッシュフローの改善という問題をか解決を提案していたのを覚えているな。出だしはよかったのだが、注文が全然取れないという状態に陥っていたんだ。

🧒;でも社長がトップ営業に行けば、注文は取れていたのですよね。

👨‍🦳;ああ、そうだ。そしてその改善を藤堂さんという女性が任されることになった。そこで前回は終了したな。

🧒;でも、またなんで注文が取れなくなったんでしょうか?アイデアは良く、実績も上げていたのですよね?

👨‍🦳;だよね。そこで、藤堂さんは何が起きているか一緒に商談の場に行ってみたんだ。

🧒;なにごとも現場ですね。

👨‍🦳;そうそう。そうしてみると、営業さんは、ダイナ印刷の提案条件がどれだけすごいか、どれだけお金を節約できるかをいきなり売り込んでいたことが解ったんだ。

🧒;なるほど、これまでの背景が解っている場合はそうかとなるかもしれませせんが、いきなりいいことばかり言われても、引いてしまうというか警戒してしまいますね。

👨‍🦳;その通り。その状況を見た藤堂さんはある行動にでる。

🧒;ある行動?

👨‍🦳;現状ツリーを見せながら説明したんだ。

🧒;現状ツリーをそんなところまで使うのですか?でも客先は現状ツリーを理解してくれるものなのですかね?

👨‍🦳;してくれると思う。最初はなんだ?と思うかもしれないけど、ロジカル時事情を説明したいんだといえば、そういうやり方をしている会社さんもあるんだという形で話は聞いてくるだろう。当然関係性にもよるがね。

🧒;確かに、その業界のプロですから書かれていることが整理されていれば、受け入れやすいですね。

👨‍🦳;つまり、現状にツリーに書き出されたUDEを示して、現状の構造を説明すした上で、ダイナ印刷はこれまでのコストを下げるため、「大業発注をすれば単価が安くなる」という見積しか出せていなかったということを話す。

🧒;そこで、自社の事情つまり背景を理解してもらうわけですね。ここから変わるぞと。

👨‍🦳;そう。そこから、大量に印刷してしまっては、多くの印刷物が余る可能性が高く残った在庫のために客先に割高なコストをかけさせてしまっていたということを説明するんだ。

🧒;おお、そうすると客先は、そうなのか!となって、じゃあどうしようかという話になってきますね。

👨‍🦳;その通り、そこで、新しい現実と新しい要望を客先から導くことができるというわけだ。

🧒;そうなると新しい行動が理解されていくのですね。その新たな行動が、少量発注でコストが上がらないダイナ印刷の新しい受注方針というわけですね。なるほどです。現実→要望→行動のサイクルを作っていくのですね。

👨‍🦳;その通り、少量のロットでの受注を提案するという行動の後、さらに、顧客の現実が出てきくる。それは、「あまりにうまい話過ぎて顧客は不安になる」ということなんだ。

◆ネガティブブランチを切り取る

🧒;確かに、うますぎたら怪しみますね。。その場合はどうするのか・・。

👨‍🦳;その時藤堂さんは、「ネガティブブランチを見せる」ということにしたんだ。

🧒;ネガティブブランチ??

👨‍🦳;自社のネガティブな部分をあえて示すということだ。これが新たな行動になる。それは、

「本当は小さな注文なのに、1個当たりの価格を下げるために大きな注文を取って、発注し、1枚系の納品後に残りの注文をキャンセルする客がでるリスクがあることを消したい」だから、「新しい取引条件を結ぶ(発注は二か月単位、納品は二週間単位。その代わり第一回納品後はいつでも残りの注文を無条件でキャンセルできるようにする。)

というものだ。つまり、「自分たちは客先が、都合よく行動するリスクも理解している。でもその心情はそれはわかる。だから、両社にとって都合いいような取引をしましょう。これが自分たちの考えている“裏”である」ということも客先に見せるんだ。

🧒;なるほど。そうすると、「お宅の“裏”はそれね。なるほど、じゃあうちも利用させてもらいますよ。」となりますよね。

👨‍🦳;この一連の流れは下記のような、現実→要望→行動のサイクルが入っている。これを実施すること自体が客先を巻き込むことになっていくんだ。

 現実;顧客は、印刷会社との取引であまりいい経験をしてない
→要望;顧客は印刷取引を改善したい。
→行動;現状ツリーを使って自社の方針のせいでUDEが引き起こされていたこ とを説明する。
→新しい現実;顧客は顧客自身の問題を理解してくれる人がようやく表れてと思う
→要望;顧客側は、問題の解決策を知りたいと思う。
→行動;新しい取引条件を提案する。
→新しい現実;客先は不安を覚える
→要望;何がその裏があるか気になる
→行動ネガティブブランチ(裏)を見えるようにして説明 


画像1

👨‍🦳;本書の状況ではどうやらここまで来て、客先から逆に提案が出てきたそうだ。これ現実でもあるよな。

🧒;それはすごくわかります。現場でも一緒ですね。こちらからの改善提案している中で、幾度と対話しているうちに現場側からアイデアがでる。それが問題解決につながるというのはあります。

◆「顧客」対「自社」の構造から「顧客+自社」対「問題」の構図にする

👨‍🦳;そう。ここまでくると客先との関係の構図、問題の構図が変わってくるんだ。それまでは、どうしても顧客を説得しようと、「顧客」対「自社」という構図になるけども背景や問題をシェアしネガティブブランチを共有することで、「一緒に考えよう」という構図になる。Tまり「顧客+自社」対「問題・課題」ということになるんだ。そうすると一気に顧客を巻き込むことができるし、本質な課題解決になってくる。ここがすごく重要なんだ。

🧒;顧客と一緒に両社の課題を解決するということですね。それはすごく面白いです。結果として、注文も取れる客先へ価値も与えられるというわけですね。

👨‍🦳;その通り。OK。これで5章の前半は終わりだ。次回後半に入っていこう。次は売却予定の3社のうちのアイコスメティック社でも改善案検討に入っていくよ。

・・・・・・・・・・・

今回は第5章の前半を解説しました。ここは面白いですね。客先を巻き込むことが重要なんてよく言われますが、それって一体何なのかということですよね。それは、こちらから先手を取って状況を解説し、対話し、ネガティブブランチを見せ、そして提案をしてもらえる状況にして一緒に考えるということかなと思いますこれは、客先とだけでなく、自分が扱う製造現場での現場メンバーとのやり取りでも同じですね。さて、次回は5章の後半に入っていきます。

 なお、下記noteにものづくりに携わる人であれば、必要であろう知識について、本マガジン同様に対話形式で解説しています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。

休憩がてら、番外編マガジンもあります。

#ザゴール2
#推薦図書



この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?