クライミングと法律

クライミングと法律?
関係ないんじゃないの? 

そう思っている皆さんに

「それは間違いです。インドアでもアウトドアでも、ぼくたちは法律の元にあります。このことを意識していないと、たいへんなことになりますよ」

というのが、このコラムを掲載する目的です。

友人と一緒にホルダーやルートを楽しんでいるとき、どんな法律が皆さんに作用しているのでしょうか? 

いくつかの具体的な例をあげてみましょう。

クライミングジム

・ジムに行くと同意書や誓約書という書類にサインや捺印を求められます。未成年の方の場合は、引率者や親権者の署名も求められるでしょう。なぜクライミングジムはこういったことを求めるのでしょう?

・もし誓約書に「事故が発生しても、すべて自己責任なので、ジム側の責任は一切追及しません」というような言葉があったとします」。ジムでケガをした場合、この誓約書にサインしたあなたは、ジムの責任をまったく追及できないのでしょうか? 

アウトドア

・クライミングジムで知り合ったクライマーAさんが、あなたを外岩に連れて行ってくれました。

「ちゃんと支えるから大丈夫」とAさんは自信タップリです。信用したあなたはボルダーから飛び降ります。

しかし、Aさんはあなたを支えきれず、あなたは背中を岩にぶつけ大ケガをしてしまいます。

Aさんはこう主張します。

「そもそもクライミングは危険なスポーツだ。ケガの治療費は自分持ちだ。私には責任はない」。

あなたはどうしたら良いでしょうか?

・ハイキング中にあなたは魅力的な岩を見つけました。大喜びのあなたは、岩についたコケをはがし、金具を打ち込んでルートとボルダーを作りました。

素晴らしい作品になった。
傑作だ、とあなたは大満足です。

ところが、その岩のある場所は国定公園でした。さらに、その岩自体が天然記念物でした。

あなたはどうなるでしょうか?

本コラムでは、 以上のような問題を、 法律上の視点から、実際に発生した事故や裁判例も紹介しながら解説してゆこうと思います。

なお、判例も裁判例もないケースについては、必要に応じて弁護士の皆さんと意見交換をした上で、書いてゆこうと思います。

GoClimbing 創刊準備号より

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