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【謎解き】どうして日本企業のゲームはIPものばかりなのか?

「日本市場は家庭用ゲームもスマホゲームもIPものばかり」という言葉を聞いたことありませんか?
そもそもIPものとはなんなのかということから解説します。
IPとはIntellectual Propertyの略になります。
直訳すると知的財産権のことになります。

版権ものという言葉で言い換えられることもありますが、要するに漫画、小
説、アニメ、映画などの知的財産を活用したものということになります。

IPものに対するものはオリジナルタイトルになります。
世界観、キャラクターともに独自に創出されたものになります。
これとは別にシリーズものというのがありますが、これはオリジナルタイトルでもIPタイトルでも、〇〇2、〇〇編といった形で継続的に発売されているシリーズタイトルを指しています。

昨今の日本市場における日本メーカーの発売するゲームは、そのほとんどがIPものかシリーズものになっており、新規のオリジナルタイトルは数える程しか発売されていません。
一方、欧米や中国などではオリジナルタイトルも活発に制作され、発売されています。
この違いはいったいどこから生まれているのかという背景について、書いていきます。

日本市場は家庭用ゲームソフトの売上はピークアウトしていて、主力はスマ
ートフォンゲームになっています。
各社の決算資料など見ると分かります。
この状況は他国とは異なっていて、他国では家庭用ゲームもスマートフォンゲームの市場も拡大しています。
スマートフォンゲームも当初は1億円程度で売れるアプリを開発できましたが、今では開発費と宣伝費など含めて10億円程度の投資をしないと戦える内容、物量、クオリティーのものを作ることが難しくなっています。
一方で、売れないまま鳴かず飛ばずで消えていくアプリが大多数を占めている状態が続いています。

要因はスマホゲームとは言え、同時に複数遊び続けるには時間もお金も消費することと、課金をある程度してしまうと辞めて新しいゲームをしようという気持ちにブレーキがかかるため、(万単位で課金したゲームを辞めたらそれまでの投資も努力も水泡に帰すので)滞留し続けるからです。
また、画期的に新しくて面白いゲームがリリースされれば、始めてみようかと思う人もいますが、死屍累々の市場になっていることと、運営の正攻法的なこともあるので、安牌に似たようなゲームシステムのものが裏腹に溢れているので、流動生が低くなっているためです。

そして多くのユーザーが遊んでいるゲームへとより人が集中するというメト
カーフの法則が働くビジネスモデルになっているためです。
1000人の中の1位より100万人の中の1位の方が価値がありますよね。
また、マルチプレイのモードがあるゲームが多いので過疎ってしまっていることが手に取るようにわかってしまうと、心理的に不安になったりゲームプレイの面白さが阻害されたりしてしまうのです。

そんな状態なので、誰も知らないオリジナルゲームを売ることはリスクを上乗せているので、みんなが知っているIPを使ったゲームの方が宣伝しなくても一定のお客さんを獲得できる可能性が高いですし、プロモーションコストも抑えられますし、アニメなどであれば法則枠でCMを流して、ファンにダイレクトにプロモーションできるといったメリットがあるので、増えています。
経営的な視点からは理解できますし、正しい選択です。
ただし、業界全体としてはIPの焼畑になってしまっているのと、似たようなゲームばかりでいずれユーザーの飽きを誘発することは自明のことなので、懸念もあります。

そんな中で中国企業が自国の広大なマーケットと、成長し続けている市場を背景にし、若き経営者たちがオリジナルゲームで世界を獲るぞという気概に溢れたチャレンジをしていて、自国で成功し、憧れの日本市場へ成功した資金を元手に進出してきています。
中国市場ではコンテンツの消費スピードが、日本市場以上に早いので膨大なアセットと豊富なゲームモードでないといけないため、日本企業が投資しているような額よりもっともっと多くの資金を投じている上に、技術的にも表現的にも肉薄しているので高クオリティー且つ、豊富なゲーム内容のものになっており、さらに豊富な資金力で莫大なプロモーション費を投じているので、ランキングの上位に食い込んできています。

この脅威に対抗するためには、今までとは異なるアプローチがないと席巻されてしまう危険性を少し感じています。
ちなみに上海のMiHoYo社が制作した「原神」は100億円を投じています。
初月の全世界売上は200億円です。
現在も各国市場でランクインを続けています。
さすがに100億円は特殊例ですが、突破口を開いて欲しいなと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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