「桜の樹の下に自分の死体を埋めに行く」
月曜日に休みをとった。日曜日の夜、外に出ようと思っていたからだ。日曜日の夜ならそんなに人はいないだろうと思ったからだ。
公園にはちょいちょい人がいた。ベンチに腰掛けるカップルや大学生、おばさんがいた。
大学生が俺の向かいから歩いてきて、お互い気付かずぶつかりそうになった。
俺は何も言わなかった。向こうは「すんません」と申し訳なさそうに俺を避けた。
俺は振り返った。大学生は足早にカーブを曲がっていき、消えた。
今、25歳だ。今年で26歳になる。
高校生のころ、自分より身長の高い中学生にゲームセンターで睨まれたことを思い出す。
デジタルカードゲームの新台をやりたかったのに、その中学生が怖くなって、結局何もせず帰ったのだ。
さっきぶつかりそうになった大学生は身長が170センチ後半ぐらいだった。俺は170センチ前半だった。
俺はもう、世間でいうアラサーだろう。
さっき大学生は申し訳なさそうに謝ってきた。
今、俺が片手に持っているのは酒ではなく、ジュースだ。甘ったるい、子供っぽい。
俺は月曜日に休みをとった社会人3年目だ。
朝起きる人が多い中、俺は13時まで寝るつもりだ。
きっと11時くらいに1度起きて、全然心は休まらないままいるんだろう。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
屍体がないなら、進んで死んでみるのもありだ。
これは比喩的でもあるし、そのまんまの意味でもある。どっちにしても、適当な人との集まりより楽しいだろ。
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